酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

オバマも所詮はバブル?

2008-08-30 06:47:48 | Weblog
 アメリカ民主党大会が終わった。最後はデンバー・ブロンコスのホームスタジアムを埋めた8万人余の支持者を前に、オバマが「一人一人が夢を追いながら一つのアメリカの家族として団結することは可能だ。一つのアメリカを一緒につくろう」と呼びかけてお祭りを締めくくった。

 ヒラリーとの激戦を制し、米メディアの寵児にのし上がったオバマは、6月時点での各種世論調査ではマケインに15ポイント前後の差をつけ、さらに引き離す勢いだった。それがここに来て両者の支持率は急接近、24日のCNNは「47%(誤差3.5%)で互角」と報じた。


 20日発表のロイター&ゾグビー調査はマケイン46%、オバマ氏41%だった。両党の党大会終了時点での調査でどんな数字が出てくるのか。


 それにしても、なぜこんなに急激に風向きが変わるのか。メディアのマッチポンプ的報道が影響しているように思われてならない。



 民主党予備選が始まって以降、オバマの優勢が確定的となるや米メディアは一斉に「オバマドリーム」の膨らませに掛った。テレビ放映時間や新聞紙面の占有率で、マケインはオバマの半分以下という状況で共和党は「偏向報道」だと息巻いた。


 《主要メディアが、共和党指名候補となるマケイン上院議員よりも民主党のオバマ上院議員に大きな関心を寄せ、共和党側から「偏向している」との不満が高まっている。一方で注目の高さはオバマ氏にとって、もろ刃の剣でもある。

 主要テレビ番組の内容を調査しているアンドルー・ティンダル氏によると、両党指名候補の確定後1カ月間に、3大ネットワークのニュースがオバマ氏に計114分を割いたのに対し、マケイン氏は半分以下の計48分にすぎなかった。

 オバマ氏の欧州・中東歴訪には、主要テレビのメーンキャスターがそろって同行し、新聞各社もこぞってベテラン記者を派遣。一方、3月にマケイン氏が欧州・中東を訪問した際の同行記者はわずかで、メディアの“オバマびいき”が如実に表れている》=共同=。



 共同特派員が「両刃の剣」と指摘していることに注目したい。人気が高ければ高いほど、落ち目になれば一気だということである。メディアに出ずっぱりで、消費され続ければ劣化も早い。内実が伴わなければなおさらである。オバマ人気はバブルだったといっていい。


 ここにきてメディアの「オバマ担ぎ」に腰が入らないのは、世界恐慌並みの大不況と米ロ対立の激化に戸惑っているからだ。若いオバマにこの難局を託せるのか。こうした不安心理がオバマ離れ、マケイン寄りのスタンスを取らせている。メディアはもともと無定見であり、変身はよくあることだ。


 これで流れがマケインにいくかといえば、そうでもなさそうだ。


 71歳のマケインはベトナム戦争の英雄、議会活動20年のキャリアが売りで誠実な人柄とも伝えられる。しかし、いずれも現実の政策とは無関係だ。危機的な経済状態をどう乗り切るか。共和党のばら撒き路線が通用する情勢ではない。


 バブル・オバマと高齢のマケイン。形の上では盛り上がるだろうが、凡戦なりそうな予感がする。世界史の進行に大統領選が追いつけない展開になる可能性が高い。ブッシュは既に脳死状態。新大統領が就任して動き出すまであと5カ月、取り返しの付かないことになっていなければいいが。
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改革クラブ

2008-08-29 06:37:35 | Weblog
 民主党の渡辺秀央参院議員が党を離れ、ぶって姫らと一緒に「改革クラブ」なる新党をきょう29日に旗揚げするという。


 いつあってもおかしくない次期衆院選後に、どこぞの党に高く売り込もうという算段だろう。渡辺は小沢一郎の党運営について「非常に政局的」「稚拙に過ぎる」などと公然と批判しているという。いや~、よく言えますね。


 彼らの離党、新党結成こそ政局そのものの動きではないか。目くそ鼻くそを笑うとはこのことだ。

 
 メンバーがまた素晴らしい。最古参の渡辺は拓大出身。総長だった中曽根康弘のカバン持ち→秘書を経て新潟3区選出の衆院議員となった。田中角栄と同じ選挙区で、常に当落線上を綱渡り。金にもシビアで、いくつか訴訟も抱えていたようだ。せがれは昨年の統一地方選で見附市選挙区から県議に立ったが、あえなく落選。地元での渡辺の人望のなさがしのばれる。


 大江康弘はかつて「参院のドン」とも言われた玉置和郎の秘書を経て政界入り。玉置は中曽根内閣の総務庁長官であり、渡辺とは中曽根つながりである。中曽根と同名なのは偶然か。県議からのたたき上げで、台湾ロビーでもある。

 姫井由美子はバカバカしいので省略。
 荒井広幸は自民党→新党日本→無所属と良く動く。政界の一寸法師を自称するだけのことはある。政治信条が定まっていないということでもあろう。



 松下新平などという名前はうかつながら知らなかった。自身のHPを見る限り親台湾、新自由主義的傾向がうかがえる。



 概観したところ、中曽根大勲位の影がちらつく。平沼赳夫らと絡む局面があるかもしれない。しかし、政治的影響力は国民新党にも遠く及ばない。渡辺をはじめ顔触れが悪すぎる。次期衆院選後、どこまで命脈を保っているかが最大の見所では、しょせん徒花である。
 渡辺、大江は比例選出の議員であり、離党即、議員辞職が筋だが、そういうことを気に掛ける連中ではない。
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脱北者、実はスパイ

2008-08-27 22:10:06 | Weblog
 命からがら北朝鮮を脱出してきた女が、実はスパイだった。


 あれだけ多くの脱北者がいれば、中にこういう手合いがいると考えるのはむしろ自然だろう。いままで一人も見つかっていなかったことの方が不自然だ。


 《韓国の夕刊紙、文化日報は27日、北朝鮮脱出住民(脱北者)を装って韓国に亡命した女性(35)が北朝鮮のスパイとして活動、韓国の軍事機密などを北朝鮮側に送っていたとして、国家保安法違反容疑で韓国の捜査当局が身柄を拘束したと報じた。

 
 同紙によると、女性は2005年に脱北して韓国入り。ソウル近郊の軍部隊の将校らと親しい関係になり、軍施設の写真や軍事地図、兵器情報などを電子メールで中国にいる北朝鮮の公安機関、国家保衛部の幹部に送付していた。

 女性は韓国でスパイ活動を行うため、北朝鮮でスパイ教育を受けていた。女性に協力した軍将校ら2人も拘束されたという》=共同=。



 韓国の警備・公安もなめられたものだ。取調べ段階で怪しいとは思わなかったのだろうか。やつれ方や言葉の端々で察知できるのではないか。取調官も色仕掛けでやられてしまったか。


 この報道はなかなか示唆に富む。北を逃れてきたと称する人物の中に、かなりの数のスパイが紛れ込んでいることを暗示している。妙齢の女が、涙を流しながら北の惨状を訴える。かなりの堅物でなければイチコロだろう。さすがスパイ映画が好きな金正日さまだ。芸が細かいねえ。



 ここから汲み取るべき教訓は何か。脱北者だとか、政治的迫害を理由にした亡命者だとか言っても、頭から信用するのは考え物だ。金日成のころから、北から南への浸透作戦は続いている。韓国の政治的デモやストライキにこれらの人物がかかわってはいなかったか。


 これは韓国にとどまる問題ではない。北朝鮮の罠は思いがけないところに仕掛けられている(それでこそ罠といえるのだが…)。一つ一つの事象を注意深く見守る慎重さが求められている。軽率な行動で窮地に陥っている大物がいるとも伝えられるが、さて。
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北島に国民栄誉賞だって?!

2008-08-27 04:16:34 | Weblog
 官邸が北島康介に国民栄誉賞を出す方向で検討しているという。なんべん馬鹿なことを繰り返せば気が済むのか。アスリートの勲章で五輪のメダルに勝るものはない。不人気の首相の人気取りに利用されるだけでは、もらった方がいい迷惑だ。余計なことを考えず職務に精励してほしい。


 スポーツ選手への国民栄誉賞授賞問題は01年と04年に賞を打診された際のイチローの回答で決着済みだ。「プレーのモチベーションが下がるのはご免だ」である。20代や30代の現役選手に与える賞ではない。


 そもそも国民栄誉賞は法的根拠も原則もない、いい加減なものだ。時の首相の気まぐれと言ってもいい。第一号は福田首相のオヤジが1977年に本塁打の世界記録をつくった王貞治に授与した。就任一年、貧乏神にも似た当時の首相の人気は陰りだしていた。


 以来、2000年の高橋尚子まで受賞者は15人、うちスポーツ関係者は王、山下泰裕、衣笠祥雄、千代の富士、高橋の5人である。


 その他は芸能関係が中心で、古賀政男、長谷川一夫、美空ひばり、藤山一郎、長谷川町子、服部良一、渥美清、吉田正の顔触れだ。マッキンリーで遭難死した冒険家の植村直己もいる。


 文化勲章に縁のない人たちに光を当てる賞があっても悪くはない。それならちゃんとした選考機関を置き、基準も明確にすることだ。高橋尚子への授賞が田村亮子と比較され、物議を醸したことを思い出すべきであろう。


 長谷川町子が該当するなら手塚治虫はどうなのか。遺族が断るだろうが赤塚不二夫が受賞しても不思議ではない。

 北島に国民栄誉賞などといっているようでは、五輪を政治的に利用した中国を笑えない。こういうことをしているからスポーツ後進国、スポーツ文化のない国と言われるのだ。


 ロンドン五輪組織委員会会長はあのセバスチャン・コーだ。メダリストを宣伝の道具としか考えていない国とは大違いである。
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五輪は愚民政策の集大成だ

2008-08-26 05:43:19 | Weblog
 昨日、25日付けの朝刊各紙は「北京五輪閉幕」一色で読むところがない。朝日は中国総局長の署名記事「宴の後こそ向き合う時」を掲げ、読売は運動部長が「17日間 輝いた『個』の力」を書いていた。互いの記事とポストが入れ替わっていても何の違和感もないだろう。まあ、それだけ平和の証でもあるのだが…。


 2、3面あたりでは各紙とも過剰演出、行過ぎた警備、インチキなデモ許可制度やチベットその後などを取り上げ、「変な五輪」だと指摘しているが、これも行きがかり上書いてみましたという程度だ。


 我らがNHKは夕方になっても「ソフトボールの選手が職場で祝福を受けました」なんてのを流している。ほんと感動して涙が流れます。


 新聞やテレビの五輪報道を見ていると、これこそが五輪だと実感する。世の中の矛盾や問題点を五輪というラップで覆ってしまうのだ。「世界は一つ、人類兄弟」の歌声が聞こえてくるようではないか。


 五輪に国民を総動員しようとしているのは中国ばかりではない。日本もまさにその一員だ。どさくさにまぎれて、シーレーン防衛論が声高に語られている。大型補正だの15カ月予算だの、財源もないのににぎやかだ。



 世界大恐慌の一歩手前、人口減少と高齢化の進行が著しい日本にとっては、この不況はとりわけ深刻なものになる。そうした不安を一時的にも忘れさせる麻酔薬が五輪なのだ。メダルを手にした選手は感極まってこう声を絞り出す。「頑張って…。…。夢を、あきらめないで…、追い続けてきた甲斐が、ありました。目標に向かって、努力すれば、夢は必ずかなう…、そう信じてきました」。


 五輪は壮大な愚民政策の集大成だ。開催国であろうがなかろうが関係ない。国がスポーツ強化に金を出すのはそのためだ。インチキ企業が有名選手を抱え込む理由もそこにある。今回は何人のメダリストが変な企業や国の広告塔に変身するのだろうか。

 スポーツの自立はチベット独立よりさらに難しいかもしれない。
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五輪が終われば弾圧と粛清の嵐?

2008-08-25 04:10:40 | Weblog
 17日間の「北京の暑い夏」=オリンピックが終わった。閉会式と閉会セレモニーもまた、豪華絢爛、光と音の大ページェントであった。万事に大げさな中国流を貫いたのはさすがというべきか。


 五輪後半から、チベットでの弾圧や「デモ公園」の利用実態などが報道されはじめ、中国の人権状況がむしろ後退していることが明らかになってきた。


 《北京五輪期間中に北京市内3か所の公園内に限って認めるとされていたデモ行動は、24日の閉幕日を迎えても、1件も実施されないままに終わる見通しとなった。

 指定会場の紫竹院、世界公園、日壇公園の3か所では同日、パトロールする警察官の姿だけが見られ、デモを行う市民はいなかった。

 北京市公安局の18日の発表では、今月1日以降、外国人3人を含む149人から77件のデモ申請があったが、1件も認められないまま、すべて取り下げられた。国境なき記者団(本部・パリ)によると、このうち15人の中国人申請者が拘束されたという》=8月24日=読売


 《フランス訪問中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は22日付ルモンド紙のインタビューで、中国軍が18日に中国のチベット民族が住む「カム」地方で群衆に向けて発砲したと指摘した。犠牲者数については確認が必要だとしながらも、中国当局による弾圧を非難した。

 
 ルモンド紙の記事は、ダライ・ラマが「(カムで)140人が殺害された可能性がある」と述べたとしているが、ダライ・ラマの事務所はその後、本人が犠牲者数を140人と述べたとの記述を否定した》=共同


 「祭りの後」にくるものを想像させる出来事である。デモ申請をした人たちの動向が気に懸かる。一族郎党、ご近所のみなさまもろとも、労働刑務所などにぶち込まれる恐れがある。外国メディアの監視能力が問われるところだ。


 チベットでの発砲も事実だろう。ラサなどに外国メディアを常駐させておく必要がある。五輪の開・閉会セレモニーから伝わってくるのは「ばれなければ何をやってもOK」という姿勢である。


 偽ブランド品、毒餃子、日本の地名商標登録…などすべて同じ考え方から導き出されている。世界がきちんと見ていないと、何をやらかすか分からない。


 閉会式を伝えるNHKにはあきれた。開会式での偽装の数々を全く封印し、「民族融和と世界平和の祭典」のPRに熱中した。多く太鼓が登場する場面では「55の少数民族に伝わる太鼓を象徴しています」「これは少数民族に伝わる競技です」などと説明していた。開会式で少数民族の子どもをでっち上げたことや口パク事件など眼中にないようだった。


 大体、24日夕方の「7時のニュース」は何だ。延々と「五輪感動シーン」を流しまくっていた。これを当日のトップニュースと報じる感覚は理解できない。NHKはもはや報道機関の名に値しないということか。


 話がそれた。中国である。五輪後の中国の動向にこそ注目すべきだ。

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海賊を撃退するには

2008-08-24 06:30:08 | Weblog
 アフリカ・ソマリア沖で日本船籍のケミカルタンカーなどが海賊の襲撃を受ける事件が相次いでいる。

 《国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)に入った連絡によると、ソマリア沖のアデン湾で23日、日本企業が運航するパナマ船籍の貨物船が海賊とみられる高速艇2隻に追跡され、発砲を受けた。乗組員に日本人はおらず、ケガ人の情報はない。

 貨物船は速度を上げるなどして高速艇側から乗り込まれるのを回避したという。

 アデン湾では19~21日にも、日本企業が管理するケミカルタンカーなど4隻が、相次いで海賊に乗っ取られている》=共同=。



 俄然色めき立っているのが、国防族国会議員の方々である。臨時国会ではインド洋派遣自衛隊の延長問題が焦点となる。「インド洋などでの日本のプレゼンスを低下させるのは、海賊対策面でもマイナス」というわけだ。


 《政府は日本人乗組員がいなかったとはいえ、海上自衛隊が米軍などの多国籍軍に対して洋上補給をしているインド洋につながるソマリア沖で事件が起きたことを重視している。
 首相は21日夜、「アフガニスタンの対策のため各国の艦船が出ているが、海上の安全を図ることも大きな任務だ。そういう活動をする艦船に補給し、間接的に海賊行為取り締まりに協力している」と指摘。インド洋での補給活動を可能にする新テロ対策特別措置法の延長は必要だとの見解を改めて強調した》=共同



 かなり強引な論理だ。新テロ特措法には「海賊」のかの字もない。公海上での海賊防止パトロールをどうするかは、アフガンとは別個の話だろう。国際機関や関係各国が艦船や人員、カネの分担について協議するのが筋だ。場合によっては日本が海上保安庁の船艇を出すことも考えられる。


 自民党内などに「これをてこに、シーレーン防衛策の強化に乗り出そう」などと言う声が上がっている。アフリカ沖のインド洋からマラッカ海峡に至るシーレーンの防衛など、旧日本軍にだってできない。そんなところに日本の軍艦がうろうろしては国際的な不信を買うだけだ。



 海賊から身を守るには船員法や船舶法、銃刀法などを改正して外航船乗組員を武装させるのが手っ取り早い。日本に帰国したら入管に武器を返還すればいい。もともと船長は、船舶の秩序維持のため特別司法警察員の資格を与えられている。この権限と能力を拡大するだけのことである。



 自己防衛能力を高めることが、国家、船舶、家庭、会社を問わず求められている。その際、最優先されるべきは「内なる体力の強化」である。よろいや鉄砲玉で身が守られるわけではない。滅び行くもののほとんどは、内側から腐り、錆びていく。武道で心身の鍛錬を~などと考えているようじゃ話にならない。
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星野ジャパンの敗因は覇気のなさだ

2008-08-23 17:09:41 | Weblog
 北京五輪の野球で、日本代表は金メダルを獲得するどころか銅さえも逸した。


 野球はサッカーと同様、紛れの多いスポーツで番狂わせはつきものだ。しかし、この大会の日本は9戦して4勝5敗の負け越しだ。たまたま負けたのではないことは明白だろう。韓国とアメリカにはそれぞれ2敗した。結果は「相手が上」と語っている。


 選手個々の力量で日本が劣っているとは思わない。走攻守のバランスを考慮すれば、日本の選手が最も上位にランクされるかもしれない。だが、その力を試合で発揮できないのでは何にもならない。ファンをイライラさせるだけである。


 なぜ普段の力がでないのか。星野監督は「ある意味、選手がかわいそうだった。野球そのもが不思議でしょうがない。最初のゲーム(キューバ戦)で恐々しているというか、(ストライク)ゾーンがまったく他の世界でやっているというのか、それでおかしくなった」と敗因を説明している=23日日刊スポーツ電子版=。


 これはおかしい物言いだ。監督自身が初めからストライクゾーンに違和感を感じていたという。だったら、その時点で修正をするのが監督やコーチの務めだ。ストライクゾーンが分からないまま戦って勝てるわけがない。


 投手交代をはじめ、選手の起用もちぐはぐだった。ベンチワークを期待するのは無理な顔触れとはいえ、首脳陣の無策は際立っていた。


 「ベンチがアホだから負けたのか」。そうではあるまい。最大の敗因はチャレンジャー精神の欠如だ。これまで日本は五輪で優勝したことがない。公式競技としては最後となる今回金メダルを逃せば、「五輪の金」は永遠の夢に終わるかもしれない。ならば、死に物狂いで掴みにいかなくては。


 追い詰められた悲愴さはあったが、決死の形相で向かっていく覇気はなかった。相手投手も威圧感を感じなかったのではないか。細かく継投する日本に対して、韓国もアメリカも先発を長いイニング引っ張った。日本の打者が与えたプレッシャーが小さいことの証明だろう。


 体調面に問題があるのかもしれないが、村田やG・G・佐藤の固まり方は異様だった。不安で体が動かないようでは、代表の名前が泣く。


 元気のいい川崎が使えなかったのは痛い。チーム全体が沈んでしまう。プレーでナインを引っ張る選手がいなかった。星野好みの渋い選手が多く、ベンチの勢いに欠けた。選手選考にも問題があったということだろう。


 この結果をもって、日本の野球が負けた-などと考える必要はない。五輪に選ばれた連中が負けただけのことである。それに、たかが野球だ。でもちょっと腹が立ちますね。
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日本女子ソフトボールを称える

2008-08-22 05:29:47 | Weblog
 北京五輪で日本女子ソフトボールチームが悲願の金メダルを獲得した。アトランタ4位、シドニー銀、アテネは銅。どうしても超えられなかった米国の壁をついに突き破った。おめでとう。

 日本がチームスポーツで金メダルを獲得したのは76年モントリオール大会での女子バレーボール以来24年ぶりの快挙である(体操団体などは得点合計競技であり、チームスポーツとは考えない)。次は野球が奮起する番だ。


 予選と決勝トーナメントで米国に連敗、予選のオーストラリア戦や台湾戦はぎりぎりの勝ち方だった。そのチームが、もがきながら掴み取った金メダル、見事なものである。

 優勝の原動力はやはり主戦上野の力投だ。20日はアメリカとオーストラリアを相手とした変則ダブルヘッダー21回を一人で投げぬいた。そして翌日の決勝も7回を1失点に抑えた。テレビで解説していた宇津木前監督が「気力だけで投げている」と評したように、投げることだけに集中したのがよかった。


 肉体、特に下半身の疲労は歴然としていた。フィールディングのミスを連発したのは、筋肉の疲れによるフットワークの乱れが原因だ。決勝の登板は志願したのだろう。チームの柱が「行く」といっているのに、「やめろ」では志気にもかかわる。斎藤監督はそう判断したのだろう。


 試合後のセレモニーで、二番手投手の坂井がさりげなく上野の肩に手を回していたのが印象に残った。13日、14日に連投するなどここまで4試合に登板、防御率1・00は上野を上回る内容だ。北京を目指して現役に復帰した選手である。上野よりは3最年長だ。


 決勝で投げたかったに違いない。自信もあっただろう。だが、地元の新聞に坂井は「上野の負担を減らすのが自分の役割」と語っている。そうした思いが詰まっているチームほど強い。



 それにしても、ソフトボールの決勝トーナメントは強行日程に過ぎる。オーストラリアはメダル確定を懸けたカナダ戦に勝った喜びに浸るまもなく、メダルの色を決める日本戦に突入した。日本も1日2試合だ。こんな無理な日程を組まなければ試合を消化できないとも思えない。まあ、北京が最後だから改善の余地はないのだが…。


 さて、これで日本の金メダルは9個になった。当ブログの見立ては「3~7個、ソフトボールと野球は運次第」だった。上方修正は喜ばしいことだ。柔道の上野と石井はよくて銀と見ていたので、これもうれしい誤算だ。
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カフカスの火遊びをやめよ

2008-08-21 21:19:26 | Weblog
 グルジア・南オセチアの紛争が勃発してから2週間になる。サーカジビリ大統領の思惑がどこにあったのかはいまだはっきりしないが、事前にアメリカとの間で何らかの情報交換が行われていたと考えるのが自然だろう。


 ロシアの反撃を待っていたかのようなポーランドとのMD協定調印、米海軍の黒海派遣…。一連の行動はあらかじめ準備をしていたとしか考えられないほど手際がいい。軍事的にはロシアの圧勝に終わったかに見える今回の紛争だが、真の勝者は誰かとなると、判定がつけにくい。


 ロシアが旧ソ連各国(CIS加盟国)をいまだに自分の属国と考えていることがはっきりした。バルト3国やウクライナなど、ロシアの脅威にさらされている国にとって今回の事態は喉元に匕首を突きつけられたようなものだろう。


 資源で締め上げられている上、いざとなれば空爆されるかもしれない。アメリカにすがりたくなる心情は理解できる。


 アメリカが軍事介入するのは、資源が絡んでいたりや地政学上の要衝であったりするケースが大半だ。脅威の度合いより優先しているかもしれない。北朝鮮を大目に見て、イラクやイランに厳しく出るのもそうした傾向の反映だろう。


 数年前までアメリカはロシアの軍事力など歯牙にもかけなかった。ところが、今は違う。アメリカが景気低迷で身動きが取れないのに対して、ロシアは原油高に支えられて国富を増大させている。兵器の近代化も一気に進んでいるようだ。


 アメリカがロシアを疲弊させる手段として重用してきたのが軍拡である。グルジア紛争もこの観点から眺めてみる必要がありそうだ。


 米海軍艦船の黒海派遣は挑発の一種だ。ロシア海軍はバルト海、黒海、太平洋の3艦隊からなる。ロシアの内海とも言うべき黒海に、星条旗を掲げた米国軍艦が遊弋する。ロシアにとっては屈辱以外の何物でもない。


 米国もロシアも「腐ってもタイ」だ。面子がぶつかり合えば、対立がエスカレートする。まして、現場はバルカン半島以上ともいえる危険地帯である。火遊びは許されない。
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