酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

変則紙面は今日でおしまい?

2011-03-31 06:06:36 | Weblog
 3・11大震災発生の翌日、12日付けから新聞各紙はテレビ欄を中面に移した特別紙面を続けている。読者サイドからは「不便だ」「見づらい」などの苦情も寄せられているようだが、中央紙、地方紙とも足並みを揃えている。

 ページ数や紙面の質に関係なく同一価格という(産経などは例外もある)横並び(談合)体質の業界のことだ。「年度内はこの紙面で」などと言い交わしているのかもしれない。

 中央紙が震災報道に力を入れているのは、地方紙攻略ためでもあろう。阪神大震災の際、読売を筆頭にした販売攻勢で、神戸新聞が大きな痛手を受けたことはよく知られている。震災被害とのダブルパンチで、グロッキー寸前になったらしい。

 今回、最大の標的となるのは50万部弱を抱える地方紙の雄、河北新報だ。阪神の後、「被災地で目に余る拡販活動はしない」との申し合わせができたともされるが、実効性はどうか。読売が春の大攻勢を企図していたことは、セ・リーグ開幕日程のごり押しぶりからも明らかだ。パ・リーグが早々と延期を決め、選手会や世論これを支持した。ところが、セは激しく抵抗、文科省の指導でようやく先延ばしに応ずるという醜態を演じた。それもこれも、ナベツネ読売が予定通りの実施にこだわったからだ。

 なぜ、読売は延期が嫌なのか。年度末、年度始めは新聞拡販の好機である。読売は毎年この機に大攻勢をかける。売り込みの最大の武器が「プラチナペーパー」巨人戦のチケットである。開幕延期や日程変更は困るのだ。

 新聞業界も震災の影響を受けている。用紙やインクが品薄らしい。減ページが続いているのはそのためだろう。で、明日から4月。各紙一斉にテレビ欄を最終面に戻す予感がするが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都知事選の行方を占う

2011-03-26 06:43:24 | Weblog
 都知事選が告示され、11人が立った。どんぐりの背比べというか、すねに傷持つ連中ばかりというか…。しらけた戦いになりそうだ。

 いま、都民の最大関心事は東電福島第1原発の動向だろう。原子力安全委員会が、25日になって、放射線量の24時間積算数値の公表を始めた。30キロ圏で年間許容量を上回る数値が出たところがある。

 《文部科学省は25日、福島第一原子力発電所の北西約30キロの地点で、23日正午過ぎからの約24時間に1437マイクロ・シーベルトの放射線量を観測したと発表した。

 年間に自然界や医療行為以外で人が浴びてよいとされる許容量1000マイクロ・シーベルトの1・4倍にあたる。

 同原発から北西方向ではこれまでも比較的高い放射線量が観測されているが、政府の原子力安全委員会は25日の記者会見で「風向きや地形の影響で局地的に計測されたと考えられる。全体的に放射線量は減少しており、健康に影響が出る状況ではない」と述べた。24時間積算でのデータ発表は初めて》=読売online=。

 水道の問題もある。1000万都民は今後、風向きや雨に一喜一憂することになる。こんな気分で知事選などといっても、上の空に近いのではないか。低投票率になるのではないかと憂慮する。

 で、4月10日に万歳するのは誰なのか。石原、東国原、渡辺、小池(以下省略)の順とみるが、全くのあてずっぽうである。それぞれ弱点が多すぎて、もう少しまともな玉が出ていたら「全員落選」のメンバーだ。小池は他の3人とは違うが、「共産党単騎」では勝負になるまい。きちんと政策を訴える「本来の戦い」か。

 東国原が突如出馬を決意した理由は何だろう。石原の「天罰」発言が引き金ではないか。「ひょっとするといける」。「鳥インフルエンザや口蹄疫など数々の危機に直面してきた。私の経験を生かして」とまくし立てているが、どんな経験なのか疑問だ。

 石原は言わずもがな。引退声明の原稿を書いていたが翻意して立候補を決意したという。「地震から立ち直る原動力は東京だ。その東京がガタガタになったら日本はおしまいだ。だから出る」。ということらしい。ご自身がガタガタではねえ。

 和民の会長は、よく分からない。週刊誌などがあれこれ報じているが、半分当たり・半分外れだろう。「政治に信を取り戻す」ために出馬したという。その言や良しではあるが、鏡に身を照らすことも必要だ。

 原発の動きなどによって、有権者の行動は大きく揺れそうだ。ひどいことになれば石原が大勝、落ち着きを見せれば、「そのまんま」のおっさんが奇跡を起こすこともあり得る。あとは投開票日のお楽しみ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発危機報道の危うさ

2011-03-21 09:34:15 | Weblog
 東京電力福島第1原発の危機が続いている。3号機への大量注水など、一部では明るい兆しも見えるが、状況を転換させるにはほど遠い。枝野官房長官が「予断を許さない」と繰り返しているのは、決して政治的発言ではない。

 メディアは眼前で起きている事象に囚われ、全体像が描けていない。政府や東電への質問に鋭さがないのは(テレビや紙面で見る限り)そのためだろう。

 ここ4、5日の報道は3号機と4号機への注水に焦点が当たった。3号機のプールにはプルトニウムを放出する恐れがある使用済みmox燃料が浸かっているため、政府・東電の危機感は強く、これが報道に反映された形だ。

 放水は大掛かりな作戦であり、作業に当たる人が被曝する危険性も高い。ドラマチックともいえよう。メディアが大きく取り上げたくなるのは当然だろう。英雄譚やお涙頂戴でない、正確な報道を心掛けてもらえればいい。

 問題は「その他」の重大事の伝え方である。まず、1~3号機の炉心の状況だ。いずれも冷却水が減少し、燃料棒が露出している。海水の注水を継続中というが、溶融が止まっているのかどうかは不明だ。1~3号機の炉心の状況は東電も正確に把握していないと見られる。メディアはこの核心についてもっと突っ込んで報道すべきだ。

 「最悪の事態」「東日本がつぶれる」などの言辞が官邸からも聞こえてくる。《「最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」。菅直人首相は16日夜、東京電力福島第1原発の事故をめぐり、首相官邸で会った笹森清内閣特別顧問にこう語った。放射性物質の飛散により、広大な地域でさまざまな影響が出かねないとの危機意識を示したとみられる》=16日時事=。

 ところが、テレビも新聞も「最悪の事態」「東日本壊滅」とは何かについて沈黙している。これでは国民の不安をあおるばかりではないか。危機を危機として見据え、「最悪を最小化する」具体的な行動が求められているときに、最悪の定義すらできないようでどうするのか。

 大量、大規模な放射能拡散が回避されたとしても、事態は限りなく深刻だ。原発安全性の3要素は「止める」「冷やす」「閉じ込める」とされる。前の二つは「閉じ込める」ための前提条件といえる。その最後の砦が崩れた。かなり長期間にわたって放射能が出続けるということだ。食料や水道水にも汚染が広がっている。

 風評被害やパニックを回避しつつ、正確な情報をどう伝えるか。政府発表が「大本営化」し始めている中で、メディアの責任は重大である。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続NHK原発報道

2011-03-16 06:16:03 | Weblog
 NHKは福島原発の報道で「映像隠し」だけでなく、学者を動員した情報操作を行っているように見える。

 昨夜のニュースウオッチ9である。解説に出てきた東大の某教授は、4号機と5、6号機を取り違えた青山祐子の言葉をそのままひきとり、4号機の状況の深刻さが伝わらない話し方をしていた。

 この先生、3号機周辺で観測された最高線量についても400シーベルトを300シーベルトと「言い間違える」など、ひどすぎた。

 次に出てきた老学者はさらに怪しい。TMI事故に派遣された経験があるのが「売り」らしいが、繰り出す楽観論に何の根拠もない。こういう人の「大丈夫」を聞くとかえって不安が増すばかりだ。

 老先生いわく「福島は全号機が停止した。運転中だったTMIやチェルノブイリとは全く違う」。止まった後、暴走しそうになっているのが大問題なのに、何たる言い草か。「発熱量は小さいのでやがて収束していきます」などというに及んでは、正気とは思えない。こんな人物を使うNHKは、何を考えているのか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHK の「映像隠し」を疑う

2011-03-15 08:58:05 | Weblog
 東北関東大震災は、原発被災も重なって悲惨と混乱を極めている。目下最大の懸念は東電福島第1の3基が冷温停止できるかどうかだ。これまで挙動が伝えられていなかった2号機が、いきなり炉心溶融し、圧力抑制装置で爆発を起こした。1、3号機とは違うステージに立ち至ったと考えざるを得ない。

 《15日午前6時10分頃、福島第一原子力発電所2号機で爆発音があった。原子力安全・保安院が会見で明らかにした。原因は不明という。
 また、東京電力も同日朝、記者会見し、圧力抑制室の圧力が低下し、何らかの異常が発生していると思われると説明した。
 注水作業に直接関係のない社員や作業員は退避させたという》=読売ONLINE=。

 冷却系が機能不全に陥り、最後は廃炉覚悟で海水注入、それでも安定せずに水素爆発を引き起こす。これが1号機と3号機がたどった道だ。2号機はより心臓部に近い圧力抑制室が破壊された。圧力容器そのものではないにしても、相当重大な事象であることは間違いあるまい。

 1号機と3号機の爆発で気になることがある。いずれもNNN系列の地元テレビしか「その瞬間」の映像を捉えていないのだ。中でも、奇怪なのはNHKである。東電福島第1の全景を望める位置に固定カメラを設置していると推測できるが、なぜか爆発時の映像がない。昨日の3号機の場合で見ると、爆発前と白い煙が上がっている爆発後の絵はあるのに、真ん中の爆発時がない。いかにも不自然だ。

 3号機の爆発をNNN系で見ると、高く噴煙が上がって相当の威力の爆発と分かる。政府・東電はなるべくこの映像を隠そうとしているのではないか。「国民の動揺を防ぐため、ショッキングな映像については控えていただきたい」。こうした申し入れがNHKに行われた可能性がある。

 情報操作で信頼を失うのは、行った当事者だ。政府、東電は事実を事実として公表しなければならない。NHKが自主規制していたとすれば、報道機関としては自殺行為だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未曾有の国難だ

2011-03-12 15:26:23 | Weblog
 想像を絶する映像の連続に胸がつぶれた。大津波の恐ろしさは頭では分かっていたが、これほどの猛威とは! NHKが伝えた越前高田の映像は、すさまじいの一言。一気に津波に飲み込まれた建物の中に人はいなかったのだろうか。名取市を駆け上がる瓦礫交じりの黒いうねりもすごかった。

 いまのところ、死者行方不明は1400人以上と伝えられているが、この数倍に上るのではないかと憂慮する。福島第一の炉心溶融が収まるかどうかも非常に気になる。

 これだけ広域、大規模な災害である。救助や支援は、まだできるところからと言う感じで系統性や戦略性が感じられない。全体状況の把握ができていないし、現場に入り込むのも容易ではなさそうなので、いまの段階ではいたし方あるまい。

 しかし、事は急を要する。もっと大規模に自衛隊の偵察部隊を投入して、本格救助作戦立案に資すべきだ。状況判断がすべての根幹になる。

 経済や産業活動への影響も甚大だ。被災者支援、地域復興へ直ちに5兆円規模の補正予算を組む必要がある。財源は国債だ。場合によっては大震災臨時特別税を立法化してもいい。

 救助も支援も復興も「戦力の逐次投入」ではだめだ。未曾有、恐らく1000年に一度クラスの国難に対処するには断固たる決意が求められる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山鳴動浪人ひとり!?

2011-03-04 06:12:02 | Weblog
 「受験体制の根幹を揺るがす事態」と大騒ぎした入試問題ネット掲載事件が、あっけなく解決した。仙台の予備校に通う浪人生の仕業だった。当方の見立てとは違って、「本当に合格したかった」のだという。

 《京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京都府警は3日、仙台市の予備校生(19)を京大の入試業務に対する偽計業務妨害容疑で逮捕した。

 府警などによると、予備校生は先月25、26の両日に実施された京大の文系数学と英語の入試で、携帯電話を使って問題をインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿し、入試業務を妨害した疑いが持たれている》=毎日jp=。

 4日付けの朝刊各紙は1面トップに白抜きカットで「19歳逮捕」と大はしゃぎだ。そこまでの価値はあるのかねえ。これまで大々的に報じてきた行き掛かりでこんな扱いになってしまったということなら、それこそ問題だ。

 共同が配信した専修大准教授・山田健太の談話がこの点を指摘している。

 《「今風」のカンニング行為が社会の関心を集めることは分かるが、一連の社会の反応は過剰と言えるのではないか。事細かな通信内容に始まり、本人や家族のプライバシーが身ぐるみ剥がされていく勢いを報道からは感じる。カンニング行為は偽計業務妨害罪に該当するとのことだが、通常なら受験資格の剥奪で終わる話であり、身柄拘束の必然性があるかについては議論があるのでは。警察は逮捕理由として社会的な影響の大きさを挙げているようだが、報道がそうした雰囲気をつくってしまっている》。

 逮捕には「みせしめ」「一罰百戒」的な思惑も込められているのだろう。携帯で既存のサイトを使ってカンニングすれば、必ず足がつく。これが事件の教訓だ。

 各紙が「携帯禁止の妙案なし」などと大学の困惑ぶりを書いているのは、お笑いである。携帯でのカンニングを心配するより、問題の適正化など、別な気配りをしてほしいものだ。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞が消費税上げの旗を振る?

2011-03-01 06:14:07 | Weblog
 先月26日、政府の社会保障改革に関する集中検討会議が開かれた。ここで、論議のたたき台になったのは朝日、毎日、読売、日経、産経各紙の主張だという。それだけではなく、朝日を除く各社は社会保障問題を担当する論説委員らが会議に出席、意見を開陳なさったのだとか。

 《税と社会保障の一体改革を担当する与謝野馨経済財政相は26日、「社会保障のそれぞれの分野でどういう効率化ができるのかを議論しなければならない」と述べ、改革案を4月にまとめる際に、給付抑制策も検討する考えを示した。この日開かれた一体改革の「集中検討会議」後の記者会見で語った。

 (中略)この日の検討会議は、報道機関の年金改革案などを議論した。自社案を公表している毎日、読売、日本経済、産経の4紙が参加した。日経は基礎年金を全額消費税でまかなう方式への変更を主張。他の3紙は、現行の社会保険方式を維持する立場だ。
 朝日新聞は、シリーズ社説「希望社会への提言」などで社会保険方式を維持し、増税分は年金よりも医療や介護に優先して投入すべきだとする論を展開している。論説委員室に会議への参加依頼があったが、社説など資料提出にとどめ、参加しなかった。

 大軒由敬・朝日新聞社論説主幹の話 朝日新聞は新聞の中立性を守り、政策などの主張は紙面を通じて行うことを原則としています。こうした会議に出席して論議に参加することは、政策立案に関与することになると判断し、お断りしました》=27日付け朝日=。

 他紙への嫌味たっぷりな朝日だが、言っていることは正論だ。同じ日、1面と2面でこの会議を報じたのは読売だ。2面には横カット縦見だしでこう言う。

 「消費税上げ不可欠」 集中検討会議 社会保障の財源に 新聞4社の見解一致

 はいはい、消費税上げの旗振り役ご苦労さまです。こういうのを翼賛メディアというのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする