酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

いったいこれは誰の子だ

2008-12-14 11:30:59 | Weblog
 赤の他人の精子や卵子を用い、しかも体外で受精させて出産する。産婦人科の医師らでつくる学会の新方針だそうだが、何とも面妖な話だ。 



 《不妊治療を行う医師らでつくる日本生殖医学会(岡村均理事長)は、夫婦以外の第三者から提供された精子・卵子を使った非配偶者間の体外受精を認める方針を決めた。

 兄弟姉妹や友人からの精子・卵子提供も認める。学会の倫理委員会は来年3月までに実施条件を定めた指針を策定する。

 非配偶者間の体外受精は、厚生労働省の生殖補助医療部会が2003年、「匿名の第三者」に限り精子・卵子提供を認める報告書をまとめたが、その後の法制化は進んでいない。学会による初の指針が策定された場合、国の規制がないまま、非配偶者間の体外受精の実施が医療現場で一気に進む可能性も出てきた》=読売web=

 
 学会の倫理委員長は「法整備の見通しの立たない中、放置することは職業倫理的にも許されないと考える。きちんとルールをつくって対応するべきだ」(共同)と述べている。患者の意向に沿うことが医師の倫理だとの主張である。


 患者をここまで誘導してきたのは、ほかならぬ生殖学会である。子どもを持つことを諦めていた夫婦に「こんな方法もありますよ」と宣伝してきたのではなかったか。長野の根津医師はそのトップランナーだ。



 子どもを持ちたいという男女の悲願に応えたい。医師としてそう思うのは当然だ。だが、技術的に可能だからといって、どんな方法を用いてもいいということにはならない。臓器移植にも通じることだが、一線を越えると社会規範までおかしくなる。


 医学の進歩が暴走になってはいないか。患者に「それはできません」というもの医師の大事な仕事だ。ここがぐらついている。「患者の支持」を盾に手を染めてはいけない分野にまで突き進んでいるように見える。


 人は必ず死ぬ。子どもを産めない人はいる。当たり前のことだ。


 定見のない医師がこの大原則を覆そうとして無謀な挑戦を始めると、とんでもないことになる。精子、卵子とも他人から提供を受け、誰かの腹を借りて妊娠させ、最後に妻の腹に戻して出産する。こんな事態も想定される。ガイドラインを設けるというが、そんなものが守られるはずがない。生殖学会に集う医師らは率先して国や産婦人科学会の指針を破ってきたではないか。



 こうまでして生まれた子どもはいったい、誰の子どもなのか。将来的には子どもに提供者名を告知することも可能だとしている。そこで引き起こされる諸問題にどう対処するかなどについては、考えてもいないようだ。


 不妊治療といえば聞こえはいいが、これが治療に値しないことは誰の目にも明らかだ。治療とは患部と症状をなくすることだ。体外受精のどこが治療なのか。


 医療は手品ではない。不可能を可能にするかのように喧伝してはいけない。

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ビッグ3 破綻もありだろう

2008-12-13 09:32:13 | Weblog
 GMなど米ビッグ3につなぎの公的資金注入を可能にする救済法案が廃案になった。中南部出身の共和党議員が反対に回ったためという。


 《米自動車大手3社(ビッグ3)の救済法案が廃案となり、米政府は金融安定化法に基づく公的資金7000億ドル(約63兆円)の活用による支援の検討に入った。ゼネラル・モーターズ(GM)などが経営破綻(はたん)した場合、影響が大きいためだ。ビッグ3は、米国で20万人以上を雇用し、周辺産業を含め大量失業は免れそうにない。ビッグ3に投融資する金融機関の経営不安にも波及し、金融危機がいっそう深刻化することも予想された。


 救済法案のつなぎ融資は最大140億ドル(約1兆3000億円)で、GMとクライスラーが来年3月までの運転資金として求めた額。法案が成立すれば、両社は当面、破綻を回避できるとみられていた。既にGMはスズキ株を売却するなど「換金しやすいものは売り尽くした」(業界関係者)とされ、すぐにでも手元資金が底をつく可能性が高い》=毎日web=


 ブッシュ政権は、民主党が中心になってまとめた救済策にはあまり乗り気でなかったらしい。20億円前後の資金を動かすのにさえ、監督官の許可がいるなどの厳しい内容は「自由な経営を損なう」というのだ。


 加えてオバマ民主党の支持母体であるUAW(全米自動車労組)が法案に反対した。待遇の切り下げは認められないというのだ。


 ブッシュは自分の政権でビッグ3を破綻させたくはないので、金融安定化法の70兆円枠を割いて救済に乗り出すだろう。とりあえず年を越して、後はオバマに任せるのではないか。


 金融安定化法は文字通り金融機関の目詰まりを解消するための法律である。メーカーにまで対象を広げるのは趣旨が違う。ただ、GMなど3社が抱える負債は計30兆円を超えており、これが回収不能となると銀行にも打撃が及ぶ。それを回避するために公的資金を注入する--という理屈が立たないわけでもなさそうだ。


 朝日など日本のメディアは「破綻回避」を求める声が強い。かつての日本の金融危機の際、国内メディアの多くは公的資金注入に疑問を投げかけた。ところが、今回は金融だけでなく、メーカーにも公的資金を入れろという。筋が通らないのではないか。


 3社すべてを丸ごと救済するのは間違っている。連邦破産法11条による破たん処理の方がスピード感が出るかもしれない。単に「破綻させるかさせないか」の議論にはあまり意味がないと思われる。
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天皇の病状とストレス

2008-12-10 05:40:43 | Weblog
 不整脈のため一時公務を離れ、静養していた天皇が、公務に戻ったと思ったら宮内庁がやけに詳細な「病状」を公表した。通常、ここまで詳しく発表することはない。何かの意図があるのは間違いないだろう。


 
 《宮内庁は9日、不整脈などのため一部の公務を取りやめていた天皇陛下(74)が内視鏡検査の結果、胃から十二指腸にかけてびらんと出血のあとが確認されたと発表した。身体的、精神的なストレスが原因とみられるという》=共同=



 NHKは「今年初めに行った検査ではそうした病変はなかった」と伝えている。この夏以降、ストレスが増えたということなのだろう。


 肉体的、精神的ストレスというが主因は何なのだろう。思い浮かぶのは東宮夫妻と確執があるのではないかということだ。雅子妃が「発病」してからもう5年になる。適応障害という診断はついているが、詳細はよく分からない。御所に訪ねる機会が少なく、両陛下が宮内庁を通じて苦情を漏らしているとも聞く。さらに、東宮と秋篠宮家、とりわけ皇位継承問題をめぐって気を病んでいるとも考えられる。



 東宮と天皇夫妻の関係について秋篠宮は11月30日の誕生日会見で以下のように述べている。


 《秋篠宮さま 羽毛田長官が今年の初めに発言したこと=『皇太子夫妻はもっと参内の機会を増やしてほしい』=は、参内の回数ということも言っていましたけれども、自分の発言したことを大切にしてほしいという、それが一番の趣旨だったと私は理解しております。そのことから言うと、まあ私もですね、小さいことも含めて、あまりこれはね、言いたくはないんですけれども、いろいろと頼まれて安易に引き受けて、それでその後、間に合わなくなって周りのいろんな人に迷惑をかけたりしていることが、多々あるというわけではありませんけれども、時としてあります。そのような自分自身のことを考えますとですね、やはり自分が言った言葉を大切にするというのは、私自身もですね、心しておかなければいけないなと、いうふうに思います 》=朝日web=



 この前のフレーズでは愛子ちゃんと秋篠宮家の子どもたちの交流ぶりなどを熱心に語っている。記者団から問われたこととはいえ、ここで間接的な表現ながら皇太子に「心しなさい」と警告したのには驚いた。


 どんな親でも子どものことは気に掛かる。天皇がその例外とは思わない。皇太子が雅子に引きずられて天皇から離れていこうとする様子が感じ取れるのではないか。それがストレスとなって体を蝕む。


 雅子妃は8日で45歳になった。9日には誕生日を祝う会が宮中で行われる予定だった。だが、本人が6日から発熱しているとかで、キャンセルとなった。そこへ天皇の病状発表である。あまりにタイミングが良すぎる。


 宮内庁の発表は東宮へのサインと見るべきだろう。「東宮よ、雅子と一緒にもっと公務を手伝ってくれ」。もうじき75歳を迎える親に、こんなことを言わせてはいけない。
 
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判決文偽造だって?!

2008-12-09 20:29:32 | Weblog
 京都家庭裁判所の書記官が有印私文書偽造行使の疑いで埼玉県警に逮捕された。裁判所の権威と振り込め詐欺の被害者救済システムを悪用した前代未聞の犯行だ。



 《虚偽の判決文に基づき凍結解除された銀行口座から現金を不正に引き出すため、偽名の振り込み依頼書を使ったとして、埼玉県警捜査2課と熊谷署は7日、京都市伏見区伯耆町(ほうきちょう)、京都家裁書記官、広田照彦容疑者(35)を偽造有印私文書行使容疑で逮捕し、京都家裁などを家宅捜索した。県警によると、口座は振り込め詐欺に使われた疑いがあるとして一時凍結されたが、広田容疑者が民事判決文を偽造し、解除した疑いもあるという》=毎日web=



 埼玉県警が内偵に乗り出したのは10月中旬である。これまでに明らかになっているだけでも、広田容疑者は東京や札幌など4カ所以上の地方裁判所に偽造判決文を送りつけて凍結口座の解除を企んだとされる。警察と裁判所の連携も今後問題となろう。



 メディアはそれなりに報じてはいるものの、あまり危機感が感じられない。もっと深刻に受け止めるべきではないか。


 裁判所からの公文書は、通常「特別送達郵便」で届く。各種の宣告がこれによって告げられるケースは多い。それの真贋が問われているのだ。司法制度の根幹を揺るがす事態といっていい。逮捕状や家宅捜索令状を突きつけても「これは本物ですか」と言われかねないのだ。



 広田容疑者が偽造した判決文は、形の上では「正本」である。これが通用しないという意味を深く考えるべきだ。



 埼玉県警は単独犯と見ているらしい。おそらくそうなのだろう。だが、その筋のものに脅されたか、結託していた可能性は否定しきれない。目端の利く連中は「この手があったか」と作戦を練っているかもしれない。


 いずれにせよ、日本社会がグチャグチャになりかけている一つの証であるのは間違いない。

 
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東金市女児殺害事件

2008-12-07 06:55:34 | Weblog
 千葉県東金市の女児殺害事件で、近所に住む21歳の男が死体遺棄容疑で逮捕された。容疑者には知的障害があるらしい。いやな展開になりそうだ。



 《千葉県東金市東上宿の路上で9月、同市田間の看護師、成田多恵子さん(38)の次女幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)の遺体が見つかった事件で、県警東金署捜査本部は6日午後、遺体発見現場近くのマンションに住む無職、勝木諒容疑者(21)を死体遺棄容疑で逮捕した。調べに対し、「パトカーが来る前に死んでいる5歳くらいの女の子に出会った。その後のことについては覚えていない」などと供述、具体的な話になると黙り込むという。捜査本部は幸満ちゃんが死亡した経緯についても追及する》=毎日web=



 容疑者は調べに対して「気が付いたら死んでいたので、捨てた」と供述しているようだ。おそらく、連れ帰って「おもちゃのように」いじり回したのだろう。そのうち、ぐったりした。嘘は述べていないのではないか。


 殺意はなかった可能性が高い。警察は「責任能力あり」とみているようだが、そう簡単にはいくまい。


 秋葉原、次官襲撃事件とは異質だが、定職のない若い男性という点は共通だ。巷では首切りの風が吹き荒れている。自暴自棄の犯罪がさらに増えないかと気に掛かる。


 精神障害者や知的障害者への偏見と取締りがさらに強まる恐れがある。いま、小学校の周囲などには「変質者発見場所」「見知らぬ人に気をつけましょう」などという看板があふれている。


 若い男が一人で散歩していても「変な人」と後ろ指を指されかねない。今回の事件の展開によっては、障害者に対する保安処分などという話がぶり返すかもしれない。



 知的障害のある容疑者は、警察の調べの前には何の抵抗力もない。筋書きを示されれば、そのまま受け入れてしまうだろう。経過も注意深く見守る必要がある。
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たばこ頼みとは情けない

2008-12-05 06:29:26 | Weblog
 社会保障費の削減枠2200億円を撤廃するため、またまた、たばこが値上げされそうな雲行きだ。


 《中川昭一財務相と舛添要一厚生労働相は4日、2009年度予算編成をめぐり閣僚折衝し、医療や介護などの社会保障費について抑制額を圧縮する原資として、たばこ税引き上げを検討、調整を本格化させることで合意した》=共同=


 財源に窮すると、たばこの値段を上げる。ここ20年ほど、そんなことを繰り返してきた。

 たばこは体に悪い。吸っている本人だけでなく、周りの人の健康にも悪影響を及ぼす。こういう品物は税金が高くて当たり前だ。概ね、こんな論理で「適当に」引き上げていた。でも、まだ先進国の中では安いほうではある。



 1本につき1円税金を上げれば、500億円の増収になるという。5円引き上げれば2500億円になり、社会保障費削減枠を200億円も上回る。


 値上げすれば確実にたばこ離れは進む。5円上げなら、普通のブランドは1箱400円になる。500円玉でおつりがくる範囲という計算もあるのだろう。この大不況期、たばこの値段を30%以上も上げれば、どっとやめる人が出てくるに違いない。税収はかえって減ってしまうかもしれない。


 厚生労働省は、喫煙人口が減るのでそれでも大歓迎ということなのだろうか。そもそも、「有害」と断定しているものを販売させ、その上前をはねるなど、ヤクザの手法だ。国・地方合わせたたばこ税の総額は、年間2兆5000億円にも上っている。覚せい剤商法とどこが違うというのか。


 ヤクザが行えば犯罪。国がやれば財源。いっそのこと、この際、大麻や覚せい剤も解禁しちゃって、8割ぐらいの税金をかけてみたらどうか。暴力団は大きな資金源を失う。税収は上がる。麻薬がらみの犯罪もなくなるから、司法に掛る経費も圧縮できる。


 太郎くんは物分りがいいから、意外とこの案に乗ってくれるかもしれない。

 
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トキ放鳥は何のためか

2008-12-03 21:02:51 | Weblog
 9月25日、「野生復帰」させるためにトキが放鳥された。以来2カ月半。1羽はその日から行方不明になったままだ。メスの1羽は佐渡海峡を越えて本土に飛来、越冬できるかどうか気をもませている。10分の8が健在なら好成績ではないか。でも、「野生復帰」とやらを唱える人たちにはこれでも不満らしい。


 
 《 トキの放鳥後初めての「トキ野生復帰専門家会合」(座長・山岸哲山階鳥類研究所長)が8日、東京都内で開かれる。佐渡市で試験放鳥された10羽のうち1羽が日本海を隔てた関川村で確認されるなど想定外の事態も発生。今後は降雪による餌不足も懸念される。会合では、学者ら鳥類の専門家が餌不足でトキが衰弱した場合の対応を議論。保護のタイミングなど、どの段階で人が介入すればいいのかを中心に話し合う。

 放鳥されたトキは現在、8羽が佐渡市、1羽が関川村で確認され、残り1羽は放鳥以降、一度も確認されていない。環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官は「(佐渡の)8羽を中心にモニタリングはできており、おおむね順調」と総括する。

 だが、県内もこれからが冬本番。心配されるのが、降雪によってドジョウやカエル、昆虫などトキの餌となる生物の不足と、餌不足によるトキの衰弱だ。

 専門家会合ではこれまで、厳冬期で極端にやせるなど餌不足と判断される場合、利用頻度の高い餌場にドジョウを放流するなどの緊急的給餌を行う方針を確認している。しかし、トキが餌場を求めて飛び回ることも考えられ、給餌を行うタイミングや、どの程度衰弱したら捕獲するのかといった難しい判断に迫られる》=3日 新潟日報web=。



 一体この人たちは何を考えているんだろう。野鳥が餌に悩まされるのは当たり前だ。むしろ、鳥たちは餌を獲るために生きているといってもいい。それができないなら死を待つしかない。それなのに、弱った様子が見えたら給餌するという。放鳥した鳥と飼育舎にいる鳥の区別がついていないというしかない。



 放鳥は「野生復帰」のためだろう。あらゆるケースがこれからの教材だ。余計な手を出せば、客観的なデータが失われてしまう。それぐらいの判断ができないで、よくも「野生復帰」などといえたものだ。



 行方不明の1羽は、とっくにテンに襲われて死んでいる。これは佐渡現地では半ば公然の秘密らしい。でも、「放鳥のトキは死んでいた」という衝撃に耐えられなくて公表を控えているのだという。



 トキの消息は国民的関心事である。万一死なせたなどということになったら、責任問題になる。環境省や新潟県、佐渡市の当局はそう考えているのだろう。大事にしたいのはトキなのか、自分の立場なのか。



 《トキ野生復帰専門家会合の座長を務める山岸哲山階鳥類研究所長「個人的にはぎりぎりまで自然に任せたいが、違う考えもあるだろう。(どの時点で介入するかは)慎重な判断が必要だ」と話す》=新潟日報web=。



 山階の所長は一応筋の通ったことを述べている。「違う考え」の人とは誰のことを指しているのか興味深い。


 放鳥した以上、介入すべきではない。そんなにトキの命が大事なら放鳥などしないことだ。しょせん中国トキ、「野生復帰」などということ自体、不自然なのだ。
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連合の限界

2008-12-03 05:58:22 | Weblog
 連合が2009年春闘で8年ぶりとなる賃上げ要求を行うことを決めた。


 《連合は2日、東京都内で中央委員会を開き、「物価上昇に見合うベア」と8年ぶりにベア要求を盛り込んだ2009年春闘の闘争方針を正式決定した。


 闘争方針では「定期昇給にあたる賃金カーブ維持分を確保した上で、1%台半ばと想定される08年度の物価上昇に見合うベアで、勤労者の生活を維持する」ことを賃上げ要求の基本とした。パート労働者については「時給1000円程度、または時給30円程度の引き上げ」を求める。

 高木剛会長は「株安や円高で実体経済に深刻な影響が出ているが、賃金にも雇用にも応える力がある企業は多い。09年春闘は、景気回復や社会の安心がかかった春闘になる」と訴えた=12月2日読売online=》


 労働組合が賃金の引き上げを求めるのは、仕事のようなものだ。だが、全国ユニオンである連合が、こういうタイミングで「一斉賃上げ」の大号令を発する神経は理解に苦しむ。こんなノー天気なことを言っているから組織率が2割を切るようなことになるのではないか。


 余力がある企業は個別に上げればいい。問題は業績悪化が著しい製造業でベアが可能かどうかということだ。片手で非正規労働者の首を切っておいて、もう一方の手で賃上げの袋を差し出すような行為を、連合は容認するのか。


 経営陣が意識改革を迫られていると同時に、労働側も正社員優先の考え方を見直すときではないか。


 09春闘は雇用確保が最優先されるべきだ。連合は思い切ったワークシェアの旗を掲げるべきだろう。合言葉は「非正規を切るな」である。名目はそのままで、実質的な賃上げを目指す方法もある。休日増と労働時間短縮を図るのだ。その分を非正規の人に働いてもらえばいい。


 パート賃金の引き上げなども春闘要求に盛り込まれて入るが、実効性は乏しい。組織労働者が身を切って非正規の雇用条件向上に取り組む。そうした姿勢を見せて初めて働く者の一体感ができてくるのだと思う。


 そうはいっても、連合は変われないだろう。大企業や公務員出身者が牛耳っている大組織の限界が見える。この組織には「改革」の波が及ばない。これも日本の不幸の一つだ。
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壊れるNHK職員

2008-12-02 05:56:31 | Weblog
 またNHK職員が万引きで捕まった。あのプロジェクトXの統括プロデューサーだったというから、エース級の人材なのだろう。

 《NHKは1日、同局の人気番組だった「プロジェクトX」を制作したプロデューサーが11月末、東京都渋谷区の衣料品店でマフラーやシャツなど4点(7300円相当)を万引きしたとして検挙されたと発表した。店側の110番通報で発覚。警視庁はこのプロデューサーを窃盗容疑で書類送検する方針。

 NHKは1日午後、記者会見し、検挙されたのは今井彰エグゼクティブプロデューサー(52)だと明らかにした。警視庁の調べに万引き容疑を認めたという。

 今井プロデューサーは同日夜、日本経済新聞の取材に「売り場が混雑していたため、たばこを吸おうと会計前の品物を持って店外に出たところ店員らに両腕をつかまれた。暴言などもあった。精神的に追いつめられ(警察には)品物を持ったまま店外に出たことは認めたが、会計する意思はあった。万引きではない」と述べた》(01:45)=日経web=


 NHK富山の局長も万引きがもとで依願退職している。放火やセクハラ事件もあった。1万2千人も職員がいれば多少の不心得者がいるのは仕方ないともいえるが、こうも立て続けでは組織に問題があると思わざるを得ない。


 気になるのは「愚行」の主が壊れてしまっているいるのではないかということだ。例えば、放火した25歳の記者である。公判で彼は「上司から虫けらのように扱われた」と述べ、職場内にパワハラが蔓延していることをうかがわせた。


 これで病気になり、気晴らしに? 火をつけた。もちろんこんな行為が許されるわけはない。だが、ある意味で彼も被害者だ。


 今回のプロデューサー氏はどうか。日経が書いているように、犯罪かどうか微妙な点もある。犯意はなかったと見ることもできる。「ついふらふらと。気が付いたら商品を持って外にいた」ということは大いにありうる。でも、これも病気だろう。


 日経は「たばこを吸うため」、共同などは「気分が悪くなって」商品を持ったまま外に出た--と彼の言い分について伝えている。少しぐらい店が込んでいたからといって、レジを通らずに煙草を吸いに行ったり、気分が悪くなるというのが理解できない。働き盛り、分別盛りの男ではないか。


 栄光のプロジェクトXの後、何をしていたのか。そこら辺にポイントがありそうだ。金に困っての万引きではないことは確かだ。エグゼクティブ・プロデューサーといえば部長級だろう。少なめに見積もっても1300万円を越す年収があるはずだ。もっとも、荒っぽく使えばいくらあっても足りないだろうが。


 以前にも書いたが、メディア、特にNHKと朝日新聞の記者らに精神的変調をきたしている者が目立つ。官僚主義と足の引っ張り合いがもたらす病弊だろう。心と体を鍛えて出直してください。
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新聞の再編が始まる?

2008-12-01 06:36:00 | Weblog
 共同通信加盟の有力地方紙グループである火曜会(河北、新潟、信毎、京都、神戸、中国など)メンバーの南日本新聞が、朝日新聞の印刷を受託することになったという。


 《南日本新聞社(水溜榮一社長)と朝日新聞社(秋山耿太郎社長)は27日、鹿児島県全域と宮崎県南部向け朝日新聞約5万4000部について、鹿児島市与次郎1丁目の南日本新聞社本社の印刷工場(与次郎工場)で2010年4月1日付から受託、委託印刷することを発表した》=南日本web=。


 どういう神経なのか知らないが、南日は写真付きで掲載している。朝日常務の笑顔と南日本社長の仏頂面が好対照のナイスショットで、おかしい。

 地方紙と全国紙は商売敵である。それが印刷で手を組み、やがて輸送・配達も共同化の方向らしい。新しい印刷拠点を自前で造るより、委託したほうがはるかに安上がりだ。受託する方は数億円の手数料が入る。双方にメリットが多い。これが受託印刷の論理だろう。


 経営がぐらついては気骨のある報道はできない。だから財務基盤を磐石にしたい。南日本にすれば、そう言いたいところだろう。だが、朝日と金のつながりができるデメリットも大きい。優れた報道はライバル社との競り合いで生まれることが多い。朝日と南日本はこの緊張関係を維持できるのか。


 南日本はきょうから夕刊を廃止する。毎日北海道、魁などが今年に入って夕刊を廃止している。夕刊トップからストレートニュースを排除した新潟のような例もある。地方紙の火の車状況が伝わってくる。


 朝日と読売による地方紙囲い込みは、来年以降活発化するだろう。電通や博報堂もここに絡んでくるかもしれない。地方紙を束ねる共同通信の焦りも相当なものだろう。


 《11月4日に共同通信社の創立63周年記念式が開かれた。ほとんどの新聞社が厳しい経営状況にある中で、58の加盟社からの分担金や契約社から­の契約料による収入も右肩上がりは続かない。

 文化通信によると『石川聰社長は①夕刊廃止、定価改定といった経営方針の変更に関して情報を共有、理解し、支援する­②システムの共有化を推進、互いのシステム開発費、保守管理費の大胆な軽減を図る③取材経費削減のため、地元紙の役割分担を明確化し、相互に提供しあい利用しあ­う④相互依存の推進で組織と活動のスリム化を図り、支出を抑制する⑤現場が集めた情報素材を紙面掲載以外にも活用、従来の規制の枠を取り払い思い切った新規収入­源の開発にあたる』と加盟社に対して5項目の具体策が示されたようだ》=新聞労連産業政策研究会web=。


 システムの共有や相互依存を強めた行き先に何が待っているのだろうか。すくなくとも日本のメディアが強化される方向ではない。


 それにしても、石川君はなぜ毎日新聞の買収を本気で考えないのだろう。いい物件だと思うが…。
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