leka

この世界のどこかに居る似た者達へ。

初演の頃のような。

2019-04-18 16:33:12 | お芝居・テレビ
「クロードと一緒に」cyanバージョン観てきました。

イーヴを二人の役者さんが演じるからか、何となく初演を思い出しました。ちょっと懐かしい気分に。

小早川さんは思ったより声が高くて、稲葉イーヴを思い出しました。
でも生意気で、そんなところは相馬イーヴを思い出し(笑)。

観劇なさった方々、関係者の方々が仰る様に、同じ物語なのに全くイメージが異なっていました。

背が高くしっかりとした体格の小早川イーヴは、スタイリッシュですが自分の周囲に柵を立てて、安易に人に心を許したり出来ない青年でした。
茶化したり、バカにしたりして大人達の追求をかわすのです。

そんなイーヴに苛立つ刑事は、今回とてもイーヴに肉薄します。
感情をむき出しにし、イーヴの髪を掴んだり、踏みつけたりします。

自分の周りに高く積み上げた物が崩れる時、イーヴがどうなるのか興味深く拝見しました。

「クロードと一緒に」のファンであるアタシには、「イーヴの名台詞」と言うのがあるのです。

「パンケーキみたいにひっくり返ったんだ!」とか、机を抱えて向う側にある椅子がガツンガツン言う程揺らしながら言う「もっと!もっと!!」とか。

色々な役者さんがここをどう演じるのかも、気になります。

小早川さんはサラッと演じていました。
自然に。

こう言う違いがWキャストで観る時の面白いところですね。



終演し、観客が帰る通路にこんな物が。
ラトレイユはココに居たのかな?

そして、ホワイエには登場人物の台詞になぞって実在するモントリオールの街の写真が展示されていますよ。



イーヴの独白時には、刑事と速記係は舞台に居ます。

松田イーヴの時は居ないうえに、ずっとアタシの救済であった鈴木ラトレイユが、なんと今回は救済になってはくれません。

そう思うと、この2つのバージョンが同じストーリーで成り立つ事が不思議でなりません。



イーヴが幸せな瞬間をこの先迎える事があるのだろうか。
ゆっくりと暗がりに消えて行く背中を見て、そう思いました。
クロードの話をする時、踊っている様に嬉しそうに話すのが可愛らしかった。
体は大きいけど、無邪気な子供の様なイーヴでした。


観劇を迷っている方がいらしたら、是非是非いらして下さい。
劇中船の汽笛が聞こえたら、それは演出ではありません。本当に港の船の汽笛です。

是非是非、二人のイーヴに会いにいらして下さい。















もう一人のイーヴ。

2019-04-18 12:27:49 | お芝居・テレビ
とても晴れている。

とても暑い。

今日は観光地の顔した横浜。




Blancの初日を観劇された方々の気持ち。

かき乱され、やられてしまいましたね。

「クロードと一緒に」とはそう言うお芝居ですね。





もう一人のイーヴに会いに行って来ます。






イーヴを守るもの。

2019-04-18 00:59:12 | お芝居・テレビ
本日は舞台「クロードと一緒に」Blancチームが初日を迎えました。
おめでとうございます。

後半数十分の独白は観ている者全てを驚愕させ、心を乱します。
それは初演でイーヴを演じた相馬圭祐さん、稲葉友さんの時も同じでした。
相馬さんの何をしでかすか分からない、危うい瞳の中で揺らめく愛を知った時の喜びと戸惑い。
稲葉友さんの若くて恋人だけが愛おしく、それ故に体中から噴き出す苛烈な感情に自分さえも切り裂かれてしまう姿。

人を殺めると言うのは正気の沙汰ではない。

そう言う所の心情を、イーヴを演じる方々は皆ご自分の中で葛藤し格闘しながら理解し観客の前に立ってくれて来たと思います。


イーヴを演じるのは三度目の松田凌さんは毎回イーヴと真っ向から向き合い、挑んでくれています。

このブログでは途中までとなってしまった(アタシが倒れてしまったため)「クロードと一緒に」の朗読劇の時も、ただ立って本を読んでいるなどと言うのとはまったく違うアプローチで、観客の胸に深く焼き付いて離れない”彼”を演じてくれました。

本を読んでいるのですが、本をギュッと胸に抱いて涙を流しながら「あの人を愛している」と言うんです。

松田さんがどんな役作りをされているのかは分かりませんが、アタシはあの時の姿が忘れられず「ああ、またこの人はこの役をやるかもしれない。」と思ったのです。


横浜赤レンガ倉庫で上演されている今回のクロードでも、松田さんはかなりコアに役に入っています。
あんなに細くて華奢な体のどこに、あれだけの熱を抱え持ってそれを放出出来るパワーがあるのかと驚愕します。
きっとかなり終演後は疲労されていると思うのですが、松田イーヴが連れて行ってくれる所はアタシ達が今まで行った事のない場所です。
今までのどの「クロードと一緒に」でも行けなかった所です。
とても新しい事をしていると感じます。


とても”彼”と接近します。身体的にも精神的にも。

イーヴと共にイーヴが渡って来た夜を迷い、あの夜までを追体験するようです。

そうするうちに、イーヴがどれ程大切な物を失ったのかが分かるのです。


「観客は芝居の物語を旅する仲間。時には一緒に辛い思いもする。」


いつか演出家の方がそう仰っていました。まさに今、こんな感じなのかなぁと思います。



「絶望の果てに行ってしまった彼を引き戻したくて、彼の勇気をたたえたくて、毎回袖中で彼を抱きしめた。二人して泣いた。」

初演でギイ役を演じた役者さん、井上裕朗さんが当時ご自身のブログに書いた言葉です。


きっと松田さんの事もそうしてくれる方が居るとアタシは思っています。




イギリスのオアシスと言うバンドの「Wonderwall」と言う曲は、メンバーのギャラガー兄弟が小さな頃父親の暴力から逃げるため、母親が自分たちを連れて家を出た夜の事を歌っているんだそうです。
母親の事が自分達を守るwonderwall、不思議な壁の様に思えた、と。


”僕らが行く道は常に険しくて

 僕らを照らす明かりはいつも光を失っていて

 言いたい事は山ほどあるけれど

 あなたに伝えたい事はたくさんあるけれど

 どうやって伝えたらいいのか分からないんだ

 だって、多分さ

 あなたは僕を救うただ一人の大切な人なんだよ

 結局のところ

 あなたは僕のワンダーウォールだったんだ”



イーヴの気持ちが何となく見えて来る様な気がして。
イーヴと彼の最愛のクロードのことが。


Oasis Wonderwall Lyrics