ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇需要が先か,供給が先か?~資本金三千万円で始める日本経済改造論2

2010-08-20 | ビジネス

> 待ってました,Bro!
> 今日のテーマは「資本金三千万円で始める日本経済改造論」の続編ですね!
> 意外と早かったですね,原稿の完成が…?


1回限りの記事で全てを説明してしまう事は止めにして,数回に分ける方針に
しましたのでね。今回は,その第2回目と言う事です。

> 連載はむしろ大歓迎ですよ,その分,長期間のアクセスを集められます!
> 分り難い説明を1回で集中して遣られるよりも,少しずつ分り易く説明し
> てもらう方が,読者のためにもなるでしょうし。。。


今回は,「市場の情報」について,基本的な事柄を検討してみます。
まずは,ケインズの『有効重要原理』についての簡単なおさらいからですが…


> タイトルに書いてある,「需要が先か,供給が先か?」のお話ですね?

そう,そもそもケインズ以前の古典派経済学では,「供給は需要を生む」と考え
られて来たのですよ。

> 「セイの法則」ですよね。これが良く分からないのですが,『売れ残り』と
> いう現象は考えなくても良いのですか?現実の市場では日常的に発生して
> いる事ですよね?


スーパーなどのディスカウントで日常的に経験しているとおり,生鮮食品など
在庫できない商品の『売れ残り』が発生しそうな場合,大幅な値引きを行って
でも,商品を完売しようという強い経済動機が供給側には生じます。
これが「安いので買っておこう」と云う需要側の動機を刺激するので,意図し
たとおりの商品の完売を促進する事が可能な訳です。

> 市場の「価格調整」機能ですよね。でも,それでも売れ残ってしまう商品
> については,どう考えるのですか?

GDP等の統計に表れる生産額とは,実際に市場で取引が行われた結果として
計上される「事後的」な金額の事なので,その様に市場で売れ残って処分され
てしまう商品の対価は,供給者側の損金として処理されるのみで,生産額とし
ての計算上からは除外されてしまいます。そして,供給業者は,事業の損失を
極小化する努力のひとつとして,ディスカウントなどの「価格調整」機能を利
用している訳です。

> なるほど,その様に考えると「供給は需要を生む」と云う「セイの法則」
> が,現実に成立ちそうですね。


実際「セイの法則」は,貨幣経済の発達が不十分な「物々交換」の経済モデル
での法則性を概念的な基礎にしていて,「数量調整」機能が働かない経済では,
有効な考え方なのです。


> 「在庫」による「数量調整」が不可能である場合の経済の考え方ですね。
> でも,実際の市場では,商品の大多数は在庫販売が可能なはずですよね?

そう,ケインズの時代になると,もはや貨幣経済が充分な発達を遂げて,市場
の商品の大多数は在庫可能な商品が大部分を占める様になりました。
消費者側も「貨幣」の形で,「購買力の在庫=貯蓄」が可能になりましたから,
市場では「数量調整」による,需給双方からの取引調整が支配的になります。


> 「数量調整」が可能である経済モデルでは,「需要が供給を生む」事になる?


そのとおり。ケインズの有効需要原理は,「価格調整」が支配的な「物々交換経
済」ではなく,「数量調整」が支配的な「貨幣経済」モデルにおける経済法則で
あると言う事ができます。

> そうすると,「市場の情報」として,より重要であるのは,「何がいくらで」
> 売れるかと云う価格情報よりも,むしろ「何がいくつ売れるか」需要量
> 情報が大切だと言う事ですね?

『需要量』と言う場合に注意して頂きたい点は,ケインズの言う,所謂市場に
おける取引の結果として,事後的に顕在化する量としての『有効需要量』と,
市場での取引以前に,消費者の欲望の形で潜在している『潜在需要量』の区別
です。供給事業者が,市場から最終的に知りたい情報は,事後的な『有効需要
量』
なのではなく,むしろ取引以前に潜在している『潜在需要量』の方なので
す。それは,実際には「価格と量の関数」である訳ですけれども。


> 勿論,市場に潜在している『需要関数』を明確に知る事ができれば,供給
> 事業者としては,最適な供給計画を合理的に判断して行動する事が可能に
> なる訳ですけどね。。。
> 実際には,どの様にしているのでしょうか?


既存商品の場合,供給者は過去において市場で顕在化した『有効需要』の情報
を基礎にして,将来の生産と販売の計画を作成しています。
新規商品の場合には,この基礎情報が無いために,マーケティング調査の結果
などを頼りに,統計的な「需要予測」を行う訳です。
勿論,不確実性を含む確率的な数値ですから,ある程度のリスクを見越した安
全な数値を導いて,これを元に計画を作成する事になりますよね。

> そう,その不確実性にどう対処するのかなのですが,安全性を重視するな
> らば,供給計画は実際よりも少なめに需要量を見積もって,結果的に高い
> 目の価格設定を行う可能性が強いですよね。それは半面,潜在している販
> 売機会を取り逃がす事でもあり,ライバル業者に対しては,市場への進出
> 機会を提供する隙を与える事にもつながると思うのですよ?。


実際の市場では,顧客の注文を先取りしたり,顧客を囲い込んだり,商品に
よっては受注生産したりと,それこそ多様な販売手段を工夫して,なるべく
確実な取引を実現する努力が事業を存続させる必要条件になる訳です。
これらの工夫は全て,言うなれば,なるべく確度の高い「需要予測」を行う
ための手段であるにすぎません。

> 正確な「需要予測」を基礎にした,合理的な供給計画こそが,事業効率を
> 最適化するための必要条件という訳ですよね。


現実には,単なる「予測情報」ではなく,「実績数値」に「予測」を近づけ
る努力こそが鍵になります。
そのために究極的には,お客様に買いに来てもらうのを待つのではなく,消
費者の所にまで,直接売りに行く販売努力こそが必要なのです。そしてこの
様な販売活動のコストを最小化するには,正確な潜在需要情報の把握が大切
になる訳です。

> 「言うは易し」ですが,それは非常に費用の掛る,前時代的な販売手法ですよね。
> 結局,「御用聞き販売」を復活させると言う事になります,意味する事は!

そうですね。但し,価格を低く抑えるために追加費用はかけられません。
現在行われているテレフォン・マーケティングなどでは,顧客側は高いもの
を売りつけられるかの不安を感じるし,不要な物の「御用聞き」など押売り
同様で迷惑すら感じる場合が多い。


> そうですよ,売れないから衰退して行った過去の販売手法ですよ,それは!


だから,必要な点は,押売りにならない様に,顧客側から積極的にお買いもの
情報を公表させる仕組み作りと,そうする事で,欲しいものが安く買える事を
実感させる競争販売の仕組み
の実現が,大切になる訳です。


> そんな都合良いシステムなど,現実に実現可能ですか?
> これまでに実例でもあるのですか?


ありますよ。
紙数が足りないので,今日はこれで終わりにしますが,次回は私がこれまでに
取組んできたシステム開発事例の紹介を中心にして,実現の可能性について説
明を行いたいと思います。


> おお!なるべく早い目にですよ,Bro!
> 次回こそ,ポイントの説明になる訳ですから,「鉄は熱い内に打て」です!
> 皆が待って居ますので。


はいはい!
需要は分りましたので,供給計画を最適化する様に努力致します。

> 絶対ですよ!
> これこそが,現代の企業にとって,生き残りの条件なのかもしれませんから!


また随分と大げさな表現ですね…まあ,否定はしませんので良いですが。。。


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https://note.com/zen_kawakami/m/m612f486eeab8

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