緑の多い町にいると、雲雀や雉が啼く。
蛇が怖いくせに、こんなところも良いもんだと勘違いする。
夜景が光輝く街を眼下に見ると、天空に居る自分が窓ガラスに映る。
ちっぽけな人間なのに、この国を動かしていると勘違いする。
皆が見上げる塔を作った現実を持ってしても、人には存在価値をひけらかすことのない人生。
胸の中にその自負と誇りをもって生きている。
飛んで回って、着地する、その場所は、銀板。 床。 マット。
拍手を浴び、歓声を浴び、光を浴び、流した汗を忘れる。
正義の旗を掲げ、声を震わせて、付いてきている人は、ほんの僅か。
それでも、氷山の一角だと信じて疑わぬ人のストレス。
人と人の声が通りすぎる通路には、拡声器や、変声機がある。
発した真実は決してまともには、たどり着かないと、知っている人は決して少なくない。
なのに。
聞いた話を鵜呑みにするのは、目の前の人との信頼を嘘でも続けていたいから、か。
昨日の敵は、今日も敵。
でも、今日の敵は、明日、味方になると信じてみたり。
今日の敵をもっと増やしてしまうのも、人間の愚かさ。
立場変われば心変わる。
いつまでも、同じ場所にいられるはずもなく。
時は流れ、顔ぶれが代わっても、自分はなかなか変えられるものではない。
それでもいつの日か、人生の終焉を迎えるころ、心がわりなどがあるかもしれない。
あの話は墓場まで持っていく、そう決めた心にほつれが出て、懺悔したくなる。
ピーマンの種が飛び、タラコがフライパンから跳ねる。
そんなつまらないことに、胸がざわつく。
しあわせだ。
命に関わることじゃない。
この町のなかの一軒の家の中。
それは、日本という土地の上にあって、それは、地球という星の上。
地球は、宇宙の一角にあって、次から次へ生まれ来る星たちの中。
それは、目を瞑ったとき、瞼のなかにある、きらめく星と同じ数。
数え切れない、星の数。
その1つの星のなんと大きなこと。
その1人の命のなんと大きなこと。
そんなことを、グレープフルーツを剥きながら、考えていました。
4つ。さあ、食べるぞっと。。