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奄美の旅 あとがき

2023年04月27日 | 日記
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奄美の旅 あとがき


奄美大島最高峰 湯湾岳 694m 写真右端の駐車場が登山口

4日間の奄美旅行は、雨も降らず、楽しく過ごすことができました。
奄美大島の人は、どこに行っても、みんな面倒見の良い、親切な人ばかりでした。居心地がよかったのは、そのせいです。

名古屋に帰って、テレビを見ていたら、奄美のFM放送局と題して、奄美の人たちの日常のちょっとした映像を紹介していました。その辺を歩いている人は、みんなお互い知り合いばかりで、放送局にも立ち寄って、気軽に話していきます。

田中一村も、きっと奄美のそんな雰囲気が好きで、つい住み続けたのかもしれません、

マングローブ・パークのカヌー体験から戻ってきて、ホテルの部屋でバスにつかっていたら、ピロリンピロリンと大きな音がして、ただいま、火災報知器が作動しましたと、二度アナウンスがありました。

思い当たることもなく、そのまま入浴していたら、またピロリンピロリンと鳴って、ただいま6階で火災が発生しました。落ち着いて避難してくださいと、再びアナウンスがありました。

あちこち旅行をしていると、時にはこういうこともあるのだなと思いながら、湯船を出て、ドアの隙間から廊下の様子を見ましたが、それらしい気配もなく、結局は何事もなく終わったのでした。

私はいつも一人旅だから、何とでもなりますが、家族で旅行している人達は、こんな放送が流れると、大変だなと思いました。

今回の旅は、ヘゴの旅と称してもいいくらい、ヘゴヘゴヘゴヘゴと、目はいつもヘゴばかり追いかけていました。

奄美最高峰の湯湾岳に登った帰り道、林道に沿って生い茂っているヘゴを見るにつけ、初日に行った金作原のヘゴは、奄美大島のいたるところに生えているヘゴのほんの一部だったのだなと思いました。

またヘゴだけでなく、湯湾岳でもそうでしたが、樹林の下は、大小様々なシダで覆われていました。シダの研究者にとっては、まさに宝の島で、ついでに私の偏見を加えると、世界自然遺産なったのは、ヘゴを含めた、シダ群のおかげです。







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庭師のブログ 奄美報歳蘭

2023年03月26日 | 日記
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第45話 奄美報歳蘭

ずっとずっと昔のことです。

まだ、庭師でない、ただの若者だった私は、友人のNさんと一緒に、新婚間もないNさんのお兄さんの家を訪ねた時のことです。

Nさんのお兄さんは、パイプオルガン奏者で、色々面白い話を聞きました。なにしろオルガンが大きく、4本の手足をあっちこっち伸ばして演奏するので、タコが躍っているような動きになるのだそうです。

部屋の戸を開けると、狭い敷地にたくさんの鉢が置いてありました。いま思うと蘭の愛好家だったようで、こちらの話も興味深いものでした。

覚えている話が二つあります。

すっと伸びた細い蘭の葉っぱは、草そのものですが、その辺の草と違って、葉は枯れずに7年間ずっとそのままの形でいるのだそうです。

そして、蘭はどこの山にも生えているのですが、稀に斑や縞のような模様が入ったものが見つかるそうです。そういうものは、愛好家が金に糸目をつけず欲しがるので、山に分け入って、珍しい葉の蘭を探すことを生業にしている人たちが江戸の昔からいて、蘭一株と、持山を交換したという話も聞きました。

ことほど左様に、蘭は人を夢中にさせるものだそうです。

さて、湯湾岳の頂上で、知り合ったNさんのお誘いに甘えて、ご自宅で栽培している報歳蘭(ホウサイラン)をみせていただくべく、厚かましく訪ねました。

報歳蘭は、東洋蘭の一種で、日本では屋久島と、ここ奄美大島にだけ自生しているのですが、奄美報歳蘭の方は、30年前に見つかったきりで、今は絶滅したかもしれない、大変貴重な植物です。

その30年前の株を、少しづつ株分けで増やした努力の甲斐あって、今やNさんのご自宅にある、広い温室の中は報歳蘭の鉢でいっぱいになりました。



そうなると愛好家に譲って少し減らしていかないと、置き場がないとNさんは言ってられました。

この珍しい蘭に興味のある方は、ホームページでご覧ください【奄美報歳店/芳】。報歳蘭は、旧正月に花を咲かせ、大変いい香りのする、中国では縁起のいい、高貴な植物だそうです。

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奄美の旅 奄美パーク/田中一村美術館

2023年03月18日 | 日記
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奄美の旅 奄美パーク





2日目は、空港近くまでもどって、奄美パークに行きました。

奄美パークは、奄美の自然や、歴史、文化などが展示してある施設でした。沖縄とは異なる、独特の文化があったようです。

それはそれとして、私の目当ては、併設されている田中一村美術館です。

この間、原田泰治の美術館を見てきましたが、今回の美術館は想像していた以上に大きく、田中一村という画家は、そんなにすごい人だったのかと思いました。

田中一村は、奄美に移住してから、奄美の景色、主に植物を題材にした絵が多く、東洋のゴーギャンと呼ばれているそうです。

有名なアダンを描いた作品は、本人も気に入り、これは死んで地獄に行ったとき,閻魔大王に見せる絵だから100万円(今でいえば、何千万)でも売らないといって、お金に窮していた生活にもかかわらず、手元に残していました。絵を売るのは、魂を売ることだと言って、他の絵も売らなかったので、折角の才能も世に出ることはなく、本人は貧乏なまま生涯を閉じましたが、おかげで作品はいっぱい残り、美術館に収容されることになりました。

(写真)田中一村は、この小さな家に住み、近くの染め物屋で働きながら絵を描いていました。(傷んだ一部を修理)


美術館の横に、田中一村が好んで描いた植物だけを、集めて植えたエリアがあります。





不思議なことが一つありました。

田中一村は、いろんな植物を題材にしたのに、ヘゴを描いた作品がないのです。アダンや、ソテツは描いたのに、島中いたるところに生えている、いかにも南国を象徴するあの巨大なヘゴを、どうして描かなかったのか、自分なりに検証してみました。

ヘゴは、幹の先端から、大きな葉を10枚くらい出しています。

それを絵にすると、【図1】のようになります。

【図1】 【図2】


しかし、ヘゴを省略したこの葉っぱでは、バナナか、ヤシのような絵になってしまいます。そこで省略を減らして少しリアルに描いたつもりが【図2】です。

かえって、ヘゴとはかけ離れた絵になってしまいました。

【図3】 【図4】


そこで、さらに細かく描いてみました。まだヘゴというより、ゼンマイか、リュウビンタイのようです。もうこれ以上葉を細かく描けないので、一枚の小羽片を棒線に省略して描きました【図4】【図5】。ちょっとヘゴらしくなりました。本当は、もう一段階あるのですが、これ以上は、一枚の絵では描けません。この小さなギザギザ,裂片というのですが、これを描くとなると、田中一村は一本ヘゴを描くのに160万のギザギザを描かなくてはならず、ヘゴを描くのはあきらめたのではないかと、勝手に憶測しまた。

【図5】 右上は小羽片160万のギザギザ(列片)


ほんとうのところは、わかりませんが、チコちゃんなら、知っているかもしれません。

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