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庭師のブログ (36) セントーサ島

2019年03月04日 | 日記
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第36話 セントーサ島

セントーサ島は、多くの観光客が訪れる有名な場所で、そういうところは、ガーデニングにもさぞかし力を入れているだろうと思って、予定に入れていた。








ユズリハの葉が垂れたような、変わった植物。





何しろ、陸続きのように見えて、れっきとした島である。そこで、島に渡る方法が4つある。

ひとつは、地下鉄の駅から、専用電車に乗り換えていく方法。
2つ目は、自動車用の橋が架かっているので、その橋を歩いて渡る方法。
3つ目は、船で行く方法。
4つ目は、ロープウエイで、空中を行く方法。

私も観光客のひとりなので、ロープウエイで行くことにした。駅は、3つあって、出発は山の上になっている。地下鉄で来たほとんどの人は、エレベーターでビルの上に上がる、いわゆる途中駅になる。

料金は半分くらいになると思っていたら、山の上からのってきた人と同じ料金で、別に行きたくない施設の入場券も買わなくてはいけない。

行列に並んだ時間が無駄になったが、また長い距離を歩いて、元来た駅に戻り、専用電車に乗った。

島には、水族館や、ユニバーサルスタディオなどがあるが、そういう施設は、予定には入れてなかった、と言うか、正直何も決めずにこの島にやってきた。ブラブラ歩いて、庭園や植物の写真が撮れればよかった。

例外で、蝶々館には行くつもりだった。


「さなぎの部屋」ここで蝶の幼虫を飼育し、蛹化していく部屋。並んでぶら下がっている蛹から蝶が次々羽化していた。


ゾウムシの標本。ゾウムシの仲間のオトシブミや、チョッキリムシも収められていた。

大きなガラス張りのドームの中で、何種類かの蝶々が飛んでいた。定番のオオゴマダラはいっぱいいて、そこらじゅう、ひらひら飛んでいた。扱いやすいチョウのようだ。

マレーシアに普通に生息しているアカエリトリバネアゲハを期待していたが、一匹もいなかった。あのチョウこそ、金緑の羽に、赤い襟巻をつけて、水辺や花に群れなして飛んでいる大型のアゲハチョウなのに、なぜここにいないのか疑問を持った。同じ熱帯のチョウなので、問題はなさそうに思うのだが。

オオゴマダラも確かに大きいが、白い羽に、黒い筋の模様があるだけで、それに比べると、アカエリトリバネアゲハは、きらびやかさにおいて、農民と皇帝ほど違う。

その他いろいろなチョウがいたが、写真を撮ろうと思っても、飛ぶのが早すぎて、だめだった。

隣には、美しい鳥たちばかり集めたケージがあった。大きなトカゲも一緒にいた。

更に奥に進むと、クモやら、サソリやらがいて、さまざまな昆虫の標本が展示されていた。

蝶々館をでたところに、4D映画をやっているところがあった。うかつにも、恐竜が出てくるタイトルに、ちょっと心が動いてしまった。

大したストーリーもない10分間ほどの映画だったが、シーンに合わせて、椅子が動いたり、水しぶきが座席の下からとんできたりして、それなりの迫力があった。古代にいた、巨大ムカデが襲ってきたときは、足元をサワサワサワと、モップのようなものがなぜていった。あちこちで、声があがった。

面白かったので、もう一つ見た。激流を流れ落ちる丸太が、私の方に向かってとんでくるのだが、わかっていても、ついよけてしまう。情けない。

島の西は、森になっていて、散策コースになっている。ヤブレガサウラボシはないかなと思って、そちらに向かって歩いて行った。観光客もここまでは来ないようだ。

海に出た。



海沿いに進んでいくと、旧イギリス軍の砦に着いた。たくさんの砲台が、海に向かって並んでいた。スエズ運河をおさえ、シンガポールを占拠して要塞化し、世界の富を大英帝国に運んでいた時代があったようだ。

そこに立ちはだかったのが、軍艦をいっぱい建造して、太平洋に進出してきた、他ならぬ日本であった。シンガポールはますます重要になってきたので、イギリス軍と連合国は大砲を構えて、海からやってくる日本軍を待ち受けていた。

ところが、想像もしてなかったところから、日本軍は攻めてきた。マレー半島のジャングル地帯を自転車を漕いでで南下してきたのである。名にしおう、銀輪部隊である。(まあ、話を面白くするために語られてきたようなところもありますが・・・)


砦のあった跡地。大砲は大小たくさん海を向いていたが、一枚も写真を撮っていなかった。

いずれにしても、義経の、ひよどり越や、信長の桶狭間みたいに、思わぬところから攻めるのが、日本の得意技なのかもしれない。

こうして、せっかくの威容を誇った大砲も、役にたつことなく、シンガポールは陥落した。

誰もいない、砦の砲台跡にたたずんでいると、波の音に混じって、当時の兵士たちの、ざわめきが聞こえてきそうだった。



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