シートノックが始まった。どこの学校もシートノックの順番はほとんど共通しているのだ。
最初が内野のバックホーム。一塁送球、ゲッツー、3塁送球と言った順番。
そして、外野が加わり、2塁返球、3塁返球、内野と外野の中間あたりのフライ練習。
その後、外野のバックホーム、内野のバックホーム、キャッチャーフライで終了となる。
しかし、その順番も自分が声を出して指示を出すのだが、忘れているところがあり、指示があやふやになってしまった。
そして、試合開始。ピッチャーは現在も某銀行野球部のエースピッチャーだ。
軟式に転向しているとは言え、なかなか威力のある球を投げてくれる。
初回サインはストレートとカーブだけでスタート。
相手打線は威力のあるストレートにつまった打球を打ち返すのがやっとと言う感じであった。最初の打者が内野ゴロに倒れ、最初の球回しの時に一塁手の送球がやや上ずり、低身長の私は捕球することができなかった。すると、ベンチから「こら~、キャッチ。しっかりとれよ~しまらねぇぞ~。代わりはいくらでもいるんだぞ~」と野次られてしまった。苦笑いである。
初回を無失点に抑えベンチに戻ってくると、ピッチャーからインサイド、アウトサイドのサインも出して欲しいと要求があった。こちらも望むところである。
2回からはサインをコースと球種のサインを出した。相手打線はインコースのストレートに詰まっていたし、割とすんなり打ちにきてくれたので、初球からインコースをついていき、内野ゴロの山を築いていった。
そして、最初の私の打席は2回に回ってきた。相手投手は上手投げでストレートとカーブを投げる投手だった。球速は余り感じられなかった。
初球はアウトコースのストレート。私の前の打者が先頭打者で一塁に出塁していたので初球は見逃した格好だ。2球目はインコースのストレートを空振り。そして、3球目。
カーブが来た。踏み込むタイミングを一歩遅らせ、球も真ん中に来たところをたたくと12塁間を抜けるライト前ヒットだ。
これを足がかりに4点を先制した。
3回にも1点を追加し、5-0で試合は進んでいった。(続く)