本当に透析を十五年もやっている人の身体には見えないと、
いまのボクを知る人は誰もが言う。まして77歳の肌じゃないとも。
いったい、あの全身の細胞が仮死状態になったかの、あの生気の
欠けた身体はなぜ蘇ることが出来たのだろう。
ドイツ製の酵素が、ボクの身体の機能復活に役立ったことは確実に
言える。
食物の中の、三大栄養素には、それぞれ燃焼に導くビタミンが必要
である。
糖質にはB1が、脂質にはB2が、そしてタンパク質にはB6が無いと、
燃焼ができない。また脂肪の分解にもリノレン酸が不可欠だ。
ボノラートの中に、それらの栄養素が全部あり、グラノザイムを併せて
摂ることで、活発な燃焼が進み、食べた物が効率よく細胞の新陳代謝
を高めたおかげとしか思えない。
幸い肝臓の機能に支障はなかった。だから新陳代謝に必要な酵素の
組立は順調に行われたのだろう。
ボクは期せずしてボノラートとグラノザイムに、新たな生命力を与えられた。
麻酔によって、身体中の細胞が仮死状態になった。酵素が働いていない。
だがそれがどんな酵素かが分からない。と主治医に言われたボク。
そして青山繁晴さんも、手術後で身体中の細胞が疲れきっていると
言われた由。
人間は多種の酵素を持っているか、または肝臓で作り出せるが、年齢を
重ねていくと、持っていた酵素もなくなり、酵素を作る能力も衰える。肝臓
を酷使している場合には、特にそうだと言える。
多機能障害に苦しむボクの身体を診察した主治医が言った言葉だった。
そうか酵素欠乏か。ならばドイツの友人たちが勧めてくれていた、アレが
役に立つのではないか。
グラノザイムという商品名で、小麦胚芽をメインにパパイヤなどのトロピ
カルフルーツから抽出した酵素を加えた、特に高齢者には必須のものと
聞かされていた、三大栄養素のすべての消化・吸収・代謝に有効な酵素
商品のことだと。
高齢者に必須とは、すでに77歳に達しながら、精神的に幼いボクには
気になる言葉であったが、現に多機能障害に苦しむ身にはえり好みを
する余裕はない。
結果論としてグラノザイムはボクの身体に劇的に効いた。
先ず食欲だが、食べたいものも無いままに入った「すし店」で、ボク用
には何も注文もせず、家族が食べるのを唯見ていたのを、一個ぐらい
はと勧められて口にした、その一個がボクの食べたいものが何であった
かを思いださせてくれた。
改めて品書きから何品かを注文し、次から次へと傍にいた家族が驚く
ほどの食欲をボクは見せた。身体を構成する細胞の材料となる、良質
のタンパク質を摂った身体が、それを消化分解し、吸収し、更に肝臓に
運ばれて代謝活動で身体の一部になって行く。そんな実感を持ったのだ。
身体中の細胞に酵素が欠けている。だから細胞が動こうとしない。
そんな細胞たちに酵素のチカラが働いて、再び活動を始めたのだ。
ボクにも、何と言う酵素が、どういう活動を行ったのか分からない。
酵素の働きはそれほどに神秘的なものなのだ。
栄養学や生理学のどの本にも記述がない。
だがボクが転倒の恐れから脱出し、何年ぶりかにコートに立って硬式
テニスに興じているのは事実だ。
横浜市関西ローカルの番組ながら、関西テレビの「アンカー」に水曜日の
レギュラーを勤めて居られる青山繁春氏の政治・国際問題の評論を
欠かすことなく拝見している。
青山氏は11年の初めに大腸癌を切除。その直後にも大阪まで出て
きて熱弁を揮われていた。気力の人であると尊敬している。
青山氏のブログを拝見すると、手術に際しての全身麻酔で、身体中
の細胞という細胞がすべて疲れきっている状態だと書いて居られる。
ボクには青山氏の描写が良く分かる。
ボクも09年5月に積年の腰痛の原因であった脊柱管狭窄症を治癒
すべく、インターネットで探しあてた名医による手術を受けた経験が
ある。
麻酔の先生がMRIやCTの映像をご覧になって、その病状の複雑さ
に驚かれ6時間分の麻酔薬を注入された。
名医の腕は僅かの一時間で複雑な箇所の手術を完了されたのだが、
麻酔が効きに効き、延々18時間もボクは昏睡状態に陥った。
青山氏の描写をお借りすれば、ボクの身体中の全細胞は疲労を通り
越して仮死状況になった。相当部分の細胞は死滅したかも知れない。
全身のありとあらゆる障害が次々と発生した。
言語障害・食欲障害・味覚障害・起立障害・思考障害・行動障害など、
全ての脳障害が起きたのだった。
二年半が経過した11年秋の段階でも、まだ歩行や起立に障害が残って
いたし、それ以後も階段の昇降が怖い。
古事記や日本書記を読み直すことで、天つ神や国つ神の御名を再暗記
することで、幸い記憶障害は早く直ったが、他の障害は長びいた。
手術後もっとも気を付けないといけないのが転倒なのだと、病棟の婦長
から何度も念を押されたのに、ボクは初日に二度転倒し、翌日も三度転倒
といった具合に何度も転倒を繰り返した挙句、頭部を強打して硬膜下血腫
まで出来て、その手術も行う破目となった。
食欲障害には驚いた。何を見ても食べたくないのだ。
何より脳障害から来る認知症が怖い。
脳と神経の細胞を守りぬくのだとの意識で、毎朝コーヒーにスプーン一杯の
砂糖を忘れなかった。砂糖は直ちに吸収されてブドウ糖になり、脳と神経の
栄養源になる。