真夜中の2分前

時事評論ブログ
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集団思考――盲目的な追従は組織を誤らせる

2015-06-28 17:25:59 | 政治
 前回“フォールス・コンセンサス”という概念を紹介した。
 これは、マッテオ・モッテルリーニ著・泉典子訳『世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ』(紀伊国屋書店)という本からとったものなのだが、この本に紹介されている「集団思考」というのも興味深い。
 「集団思考」というのは、簡単にいえば、集団のなかにおかれると人は客観的で正しい思考ができなくなるということだ。集団全体に一つの流れができてしまうと、これはおかしいんじゃないかと思ってもそれを口に出すことができなくなり、暴走していく。『世界は感情で動く』では、イラク戦争開戦にいたるプロセスもその例としてあげられている。その当時アメリカの国防長官だったラムズフェルドは、最近になって「開戦の構想を聞いたときには、イラクに民主主義体制を作るのは非現実的だと思った」などといっているが、結局は集団の論理に流されてそれに反対することはなかった。その当時のことを思い起こせば、むしろ積極的に推進していたとさえいえる。
 いま問題となっている自民党の「文化芸術懇話会」で起きたのも、そういうことではなかっただろうか。マスコミという“外部の目”を排除したところで、自分たちだけの論理で暴走していく。そうすると、もはやブレーキがきかなくなって、信じられないような暴論が飛び出すようになる……
 問題なのは、いま自民党全体がそれに近い状態に陥っているようにみえることだ。
 自民党は、この勉強会のリーダー格である木原捻青年局長を更迭こそしたが、とうていそれだけで済まされるような話ではない。この勉強会と同じような状態に陥っているからこそ、とんでもない暴言を吐いた議員達への処分が大甘なわけだろう。大した問題じゃないと考えているわけである。どこかかばうようなふうの安倍総理の態度にも、それはあらわれている。
 ここから見えてくる問題は、彼らが“外部の目”をまったく意識していないことだ。内側ばかりに目がむいていて、自分たちの言動が外部からみてどれほど幼稚で異常かがわかっていない。だから、自分たちの論理だけでどこまでも暴走していってしまう。それは結局、イラク戦争に突っ走っていったネオコン政権時代のアメリカと同じ状態になっているということにほかならない。以前このブログで安倍政権とブッシュJr政権の共通点というのを書いたが、やはりこの二つの政権は瓜二つだ。こんな連中の下で集団的自衛権の行使容認というのは、正気の沙汰ではない。