一般社団法人
UTMOSTプレゼンツ
DANCE_PROJECT “沈黙”@アートスペース呼応
京極朋彦「沈黙」
振付・演出／京極朋彦
音楽／Samuel_Kan
奥野美和「Untitled」
ダンス／奥野美和
ヴォイス／Kae_Sugiha
鈴木アイリ「黒い波」
振付・出演／鈴木アイリ
音楽／Rachel_Reese
江戸時代のキリシタン弾圧を背景に
ポルトガル人司祭と日本人信者の葛藤を描く遠藤周作の小説「沈黙」を題材に、
「信仰とは何か」「弱者とは？」を身体と音楽で表現する、ダンスプロジェクトの1回目。
この小説は読んだことはないのだけど、
追いつめられた状況の中で己を見つめ、
己の救いを見出すべく「神」の存在を願う信者の苦悶が表現されていて、
非常に密度の濃い公演でした。
この小説で「沈黙」するのは神そのものなのだけど、
不条理な権力の存在を前に、信仰を貫くことすらできないのか…という構図は、
現代にも通じる話で、3者3様の受け捉え方が印象的でした。
京極さんの「沈黙」は信念の元、ひたすら屈せず殉教に至る陰影深い人間の崇高さが出ていた作品。
美和さんの「Untitled 」はKaeさんの声と呼応する身体そのものをインプロで表出、空間が収縮するような作品。
アイリさんの「黒い波」はRachelさんのViolinとシンメトリックなコンポジションで求心的な作品となってました。
これからの時代、どんどん弱者が生きづらい世界へと突入する中、
抗うための信仰＝信じる力を養うことがどれだけ必要であるか、
異色の公演に刺激をもらいました。
