空がだんだん、白けてきた。
デブッチョは、バックステージにも戻ってこなくなった。
完全にボクは置いてけぼり…となった。
怒りだけが、宙ぶらりんに、白茶けた空に浮かんでいた。
クレーンに吊された大音量のスピーカーからは
ボクの耳には何も届かなかった。
どんどん色浅くなる星空に、無音の空間が広がっていた。
黒い人間の集まりが、朝日に照らし出され、
乱反射をしていた。キレイな光景だった。
そのキレイな光景も、無感覚に広がっていた。
もう絶望的だった。誰も味方にはついていなかった。
…カメラがない…その事実が、ココロを空白にしていった。
なしのつぶてのまま、時間だけが無情に過ぎていった。
ステージではすでに勝敗も決まり、三々五々に黒光りの人々はゲートを出て行く。
濃紺から白へのうつくしいグラデーションの青空と
日輪の過剰な光と、群衆のシルエットと。
疲れ切ったココロとカラダに、最高にフォトジェニックな瞬間を提供して
完膚無きまでズタズタになって、呆然と歩く。
日輪を背負って歓喜するジャマイカ人たち。
客待ちタクシーや乗り合いクルマが
クラクションを鳴らし、家路へ急ぐ。
すでに7時を廻った。
ジャマイカ3日目にして
最悪な問題を抱え、解決の糸口もないまま、
宙ぶらりんな気持ちで、ボクはホテルへと向かった。
結構なボディブローだった。
足腰がふらついて、セコンドの支えなしには歩けない…
…そんな気分だった。
●
さらに驚いたことには、
このイベントは警察が主催だということ。
警察の威信を示すために、
事故も死者も出さないよう、最大限の努力をしている…ということ。
「SWAT」と書かれた制服を着て、ライフルを肩にかけた
いかつい連中がステージ袖で威厳を掲げていたのも
そんな背景があってのことだった。
ジャマイカ最大のイベントを滞りなく仕切る。
…ということは、警察の威信で
ボクのカメラも見せしめとして盗まれたのか…。
…警察が!?
…その…意味が…つかめないのですが…。
デブッチョは、バックステージにも戻ってこなくなった。
完全にボクは置いてけぼり…となった。
怒りだけが、宙ぶらりんに、白茶けた空に浮かんでいた。
クレーンに吊された大音量のスピーカーからは
ボクの耳には何も届かなかった。
どんどん色浅くなる星空に、無音の空間が広がっていた。
黒い人間の集まりが、朝日に照らし出され、
乱反射をしていた。キレイな光景だった。
そのキレイな光景も、無感覚に広がっていた。
もう絶望的だった。誰も味方にはついていなかった。
…カメラがない…その事実が、ココロを空白にしていった。
なしのつぶてのまま、時間だけが無情に過ぎていった。
ステージではすでに勝敗も決まり、三々五々に黒光りの人々はゲートを出て行く。
濃紺から白へのうつくしいグラデーションの青空と
日輪の過剰な光と、群衆のシルエットと。
疲れ切ったココロとカラダに、最高にフォトジェニックな瞬間を提供して
完膚無きまでズタズタになって、呆然と歩く。
日輪を背負って歓喜するジャマイカ人たち。
客待ちタクシーや乗り合いクルマが
クラクションを鳴らし、家路へ急ぐ。
すでに7時を廻った。
ジャマイカ3日目にして
最悪な問題を抱え、解決の糸口もないまま、
宙ぶらりんな気持ちで、ボクはホテルへと向かった。
結構なボディブローだった。
足腰がふらついて、セコンドの支えなしには歩けない…
…そんな気分だった。
●
さらに驚いたことには、
このイベントは警察が主催だということ。
警察の威信を示すために、
事故も死者も出さないよう、最大限の努力をしている…ということ。
「SWAT」と書かれた制服を着て、ライフルを肩にかけた
いかつい連中がステージ袖で威厳を掲げていたのも
そんな背景があってのことだった。
ジャマイカ最大のイベントを滞りなく仕切る。
…ということは、警察の威信で
ボクのカメラも見せしめとして盗まれたのか…。
…警察が!?
…その…意味が…つかめないのですが…。