苫小牧市は王子製紙の企業都市のイメージがある
その王子製紙工場は明治43年に竣工した。
海側の湿地、平地を活かし太平洋側の重要な港となった苫小牧港
支笏湖までつながる森林地帯と豊富な水
北海道にしては積雪量が少なくスキーよりスケートの町
また千歳空港に近いことから人口が増えていくつもの都市を超えていった。
そんなこともあり新しい建物は次々だったが古い建物が少なく感じる
一般住宅に於いても紹介されている住宅は皆無であった
やはり王子製紙関連になるだろう。
北海道大学苫小牧研究林 森林記念館 ※道央の建築探訪NO24
所在地:苫小牧市高丘
建設年:昭和10(1935)年
指定等:国登録有形文化財
市街地が東西に長い苫小牧市の北側にあり、先は奥深い森林地帯になっている
それゆえ野生動物が多く、北大研究林の駐車場でも普通に立派な角を持った鹿がいた。
森林記念館は標本貯蔵室として建設された。
入り口の白い壁の棟は昭和38(1963)年に増設されたもの
板張り壁の建物が平成12(2000)年に国登録有形文化財に指定された。
苫小牧市内で唯一の登録有形文化財(2019年現在)である。
今回は開館している土曜日ではないので中は見ることが出来なかった
記念館がぐるりと一周が出来、外観の全容は見ることが出来た。
やはり下見板張りに白枠の窓は際立つレトロ感がある
また記念館の少し先にも大学の木造施設が見えており撮影をした。
この研究林は市民の散策やバードウォッチングなどで訪れる人も多い
手前の広い駐車場に入れたらヒグマ情報などを確認して徒歩で記念館まで向かう
ほんの数分で着くはずだ。
■開館日:4月~10月の毎週土曜日(2023年6月24日以降)
■開館時間:9:00~15:30
■閲覧料:無料
■申込み:不要
2023年8月撮影
王子製紙㈱倶楽部 ※道央の建築探訪NO25
所在地:苫小牧市王子町3丁目7
建設年:昭和11(1936)年
指定等:なし
特に夏季は樹木が生い茂り中々、建物全体を見ることはできない
わずかに玄関廻りだけが門越しに一般人が見れる限界だ。
思ったより大きな建物で正面から右側にさらに建物が続いている。
王子倶楽部は明治42(1909)年に「迎賓館」として建設された
文字通り宮家や国内外の著名人などを招いた場所だったのだろう
その後に名称が「倶楽部」に改称され社内の福利厚生に使われたようだ。
建物は水色の下見板張り、緑色の屋根、正面の車寄せなどしか特徴が見えないのは残念だ。
2023年8月撮影
王子製紙㈱苫小牧工場変電所 ※道央の建築探訪NO27
所在地:苫小牧市王子町2丁目1
建設年:明治43(1910)年
指定等:なし
明治43年の工場操業以来、変電所として用いられている。
王子製紙は支笏湖から道道16号線沿いにいくつかの発電所を設けている
千歳市を経由してこの変電所まで来ているようだ
大きな工場を稼働するには大電力が必要ということだ。
その発電所とこの変電所が似ていると記載されている
当時の工場建設には防災力が高いレンガが大事な施設に使用される
もっともレンガは当時高価だったのでどれもということにならなかったようだ。
2023年8月撮影
王子製紙㈱苫小牧工場第二変電所 ※道央の建築探訪NO27
所在地:苫小牧市王子町2丁目1
建設年:大正9(1920)年~13(1924)年
指定等:なし
先の変電所と並んで建設された
こちらの棟は正面から見ると4連になっている
屋根の妻側にある模様が特徴的だ。
現在はどちらも敷地外から垣間見るしか手はない。
2023年8月撮影
王子製紙㈱苫小牧工場 社宅
所在地:苫小牧市王子町3丁目4
建設年:昭和30年代初頭
指定等:なし
時代的に昭和30年代は大工場の周りに団地型の社宅が出来、
当時は珍しい水洗トイレが設置されたり集中暖房があったり新しい福利厚生施設が出来てきた。
これらの建物は現在3棟あり現役で使用されている
階数は4階建てなので階段のみであったろう。
入り口の造りが面白く屋上も使えるのだろうか。
2023年8月撮影
白金町2丁目にある広大な敷地にはかつて王子製紙の社宅があった
上記の団地型ではなく平屋で主に1棟2戸の住宅だったようだ。
現在もなぜか数軒が現存している
窓や玄関は板張りされ損傷が目立ち、中には樹木に浸食されている棟もあった。
昭和20年代から30年代前半の建設と思われる
その後は益々住宅が増えて線路の北側まで無数にあったといわれる。
敷地内は全面立ち入り禁止である。
2023年8月撮影