2014年 8月31日
最近の唯一の楽しみは、布団に寝ころんで、小一時間程の焼酎片手で読書三昧。
若き日に、胸の高鳴りと、時代社会の有り様を、垣間見るかの如き想いで、深夜に読んだ覚えがあるが・・・もう殆ど忘れているであろう。
【私本太平記】吉川英治・著 第1巻読了。
足利高氏の若き日々が躍動するが如く描かれ是からが楽しみである。
この先、楠木正成とかも登場予定。
始メ、北条氏ノ世ニ臨ムヤ、民政ヲ旨トシ、民政ノ上ニ立ツ。
民政ノ要ハ、寡欲公平ニアリ。
北条氏モ中興ノ主ハ、自ラ質粗ト武朴ヲ守リ、官ハ従四位ヨリ以上ヲ望マズ、領ハ武蔵、相模ノ二国ニ限リ、唯、努メテ北人固有ノ剛健ニ恃ム。
然ルニ、高時ノ頃ニ至ツテ、政道ハ紊レ、起居ハ王侯ヲ模ス。
カツテノ執権、最明寺時頼ノ母スラ、自ラ破レ障子ヲ繕ウテ、勤倹ノ教ヘヲ垂レタリト聞ク
ソノ松下ノ禅尼ノ子孫高時、今ハ数十人ノ妾ヲ蓄へ、妾ニハ領地ヲ分カチ、白拍子、猿楽、田楽俳優ナド、府内二千人ヲ超ユルニイタル。
特ニ、闘犬ノ鎌倉ニ集マルモノ数千匹。
名犬ハ税トシテモ貴マレ、一匹ノ価、百貫ヲ呼ブモアリ、武門悉ク、犬ヲ繋ギ、犬ニ仕へ、日、暮ルレバ又、宴楽アルノミ。 カクテ、昨日ノ寡欲ナル武門ハ、驕奢ニ変ジ、驕奢ノ門ハ賄賂ヲヨロコビ、賄賂ハマタ、苛斂ト誅求ヲ諸地方ニ生ム。
茲ニ至ツテ、北条天下ノ民土、全ク、旱天ノ亀裂ニ似タル危殆ヲ呈シ、民、雨ヲ待ツノ声、今ヤ地ニ満チテ、シカモ声無シ……。
全く、こん通りやなぁ~。
当初は、真面目に民を思い、良き政治を心がけて、質素を旨としていても・・・
権力を握るとやがて、奢り高ぶり、遊びと賭け事と、乱痴気騒ぎに明け暮れ、権力を私物化し、民の嘆きは大地に響き渡る。
“民、雨ヲ待ツノ声、今ヤ地ニ満チテ、シカモ声無シ”
全く、現在の日本の政治状況、社会状況と一緒やんけ!
話は変わるが、糸島市を始め、各地の若き、意欲に満ちた議員の皆さんの今後の活躍を大いに期待したいものである。 しかしながら、やがて議員生活に慣れ親しんで、それが当たり前と思えたり、謙虚な奉仕の精神を忘れ、遂には、住民を睥睨する様な愚かな政治家にだけは、なって欲しくないものである。 是までも幾人もの堕落した議員連中が世間を賑わしてきたが、是が権力の魔性といえるのであろうか?
この一説を読む中でフト、考えた込んでしまった。
願わくは、深く志を堅持し、徹底した民衆奉仕の精神と果敢なる行動力を持った本物の政治家の出現を望むものでである。