2019年11月19日(火)
読書感想 【チベットの焼身抗議】 中原一博:著(発行:集広舎)
●建築家・中原一博氏(広島呉市出身)
早稲田大理工学部建築学科卒業前、インド北部のラダックを旅行。
1985年専属建築家として家族とともに亡命政府の拠点、インドのダラムサラ移住。
亡命政府庁舎や学校を設計、1997年NGO「ルンタプロジェクト」発足し、インド亡命元政治犯の支援等を開始。
早稲田大理工学部建築学科卒業前、インド北部のラダックを旅行。
1985年専属建築家として家族とともに亡命政府の拠点、インドのダラムサラ移住。
亡命政府庁舎や学校を設計、1997年NGO「ルンタプロジェクト」発足し、インド亡命元政治犯の支援等を開始。
焼身抗議の人々のやるせない苦悩と已むに止まれぬ命を懸けた抗議活動を写真入りで個別に家族状況や抗議への顛末を追いかけた記録集である。
「チベットに勝利を!」「チベットに自由を!」
・・・焼身者が最期に発する言葉である。(ドキュメンタリー映画ルンタより。)
・・・焼身者が最期に発する言葉である。(ドキュメンタリー映画ルンタより。)
宗教弾圧と文化、自然破壊、チベット語を制限した教育、定住の促進など、中国による同化政策の中で、チベット人がチベット人として生きるために、自らの身に火をつけて抗議する。
中国の圧政に抗議し、2009年以降、チベット人148人が焼身し、124人が死亡。
焼身後、死亡せずに病院に運ばれ中国当局の監視下に入ったチベット人のうち、解放された人はいないという。
中国の圧政に抗議し、2009年以降、チベット人148人が焼身し、124人が死亡。
焼身後、死亡せずに病院に運ばれ中国当局の監視下に入ったチベット人のうち、解放された人はいないという。
覇権主義、大国主義、国家対国家間の大国同士の激突構図の中で、互いに引くに引けない国際状況。パワーバランスの下、小国や各民族が権力の圧政に翻弄されている。私たちは、少なくともその実態を知り、異常な人権無視と民族の伝統文化の破壊に抗議する姿勢を発信し続けるべきであろう。
●一帯一路「シルクロード経済ベルト」構想(アフリカ、ラテンアメリカ、北極海域を跨ぐ)
中華人民共和国建国100周年2049年までの計画完成を掲げ『一帯一路』の建設と地域の開発・開放を結合、新ユーラシアランドブリッジ、陸海通関拠点の建設を目指す。
中国経済力を国際公共財の提供のために用いるとすれば、それは望ましが、一方で地政学的・軍事的勢力圏拡大の危惧も指摘されている。
●「自由で開かれたインド太平洋」戦略。
トランプ米大統領は、新たなアジア戦略としたことを示した。
アジアとアフリカの「2大陸」、太平洋とインド洋の「2大洋」のダイナミズム(日米豪印 4カ国連携)を「自由な海洋秩序維持の強化戦略」として提示。
中華人民共和国建国100周年2049年までの計画完成を掲げ『一帯一路』の建設と地域の開発・開放を結合、新ユーラシアランドブリッジ、陸海通関拠点の建設を目指す。
中国経済力を国際公共財の提供のために用いるとすれば、それは望ましが、一方で地政学的・軍事的勢力圏拡大の危惧も指摘されている。
●「自由で開かれたインド太平洋」戦略。
トランプ米大統領は、新たなアジア戦略としたことを示した。
アジアとアフリカの「2大陸」、太平洋とインド洋の「2大洋」のダイナミズム(日米豪印 4カ国連携)を「自由な海洋秩序維持の強化戦略」として提示。
上記戦略が今後、真っ向から激突し世界戦略の底流となりそうな気配である。
この様な世界のパワーバランス優先の政治経済戦略の中で、小国の国権も住民の人権も蹴散らし無視され続けるであろう。しかし、私たちの小さな声を決して止めてはならないと思える。
私たちは、改めて今から90年前(日露戦争前夜の時代状況の中)に、この様な時代社会の方向性を見通し、我々が目指すべき方向性を示し、警告を発した偉人の言葉に注視すべきかもしれない。
『人類は「軍事的競争」「政治的競争」「経済的競争」から「人道的競争」を目指し、「一国家主義・一民族主義」から「地球文明主義」「地球民族主義」を目指すべきである。』・・・と。
読後の感じた事を列記。