車のＣＤプレーヤーが壊れた

　車のＣＤプレーヤーが、とうとう動かなくなった。

　３ヶ月ほど前から、再生途中で停止する症状がしばしば現れていたが、うまく再生しているときもあるので修理を先延ばししていた。


　案の定、であった。

　先延ばしは、必ず被害を拡大する。



　ディーラーに相談すると、ナビと一体型のシステムのため部分的な修理はできない、とのこと。新品への取り替えは７万円、機械を取り外すだけでも８千円かかるという。



　先のブログで書いたように「地球大紀行」のＤＶＤセットを購入し、もう私が自由にできるお金は５００円くらいしかない。

　取り替えも、取り外しもあきらめた。


　これまた前のブログで書いたことだが、４月から郡山の自宅から福島の職場まで通うことになった。交通費を第一に考えて、車で一般道を使う。


　元来、車の運転が嫌いなので長い通勤を思うと気が重いが、実はささやかな期待もあった。




　１時間強の通勤時間を、まるまる音楽を聴く時間に充てようと思っていた。



　普段の生活の中で、音楽を１時間続けて聴けるという時間は、つくれそうで結構つくれない。


　そう考えていた矢先のＣＤ不調。落胆した。


　しかし、「音楽鑑賞時間」をあきらめきれない。

　そこで、車に詳しい友人に相談したところ、あった。すごい「ワザ」が。


　ポータブル音楽プレーヤーの音を車のラジオのＦＭ波に乗せて聴く方法があるという。


　５年前にｉＰｏｄナノを買ったが、その間、３回の引っ越しを経て、この一年くらいは見かけていない。

　私は、探し物が嫌いだ。多分もうない、と思うことにした。引っ越し中になくしたのだと決めた。


　かつて激安ホームセンターで１２００円くらいで購入したポータブルＣＤプレーヤーを引っ張り出し、ＦＭに乗せる機械を買い足して、車でＣＤを聴いてみた。


　郡山・福島間を走り、数ヶ所ほどＦＭ波が乱れる区間があって、そのときノイズが入るがあとは概ね良好だ。


　修理や取り替えに踏み切らずに、本当に良かった。

　知らないって、本当に損なことなのだ、と再認識した。


　そう考えると、なんだか、あやしいこともあったような…。

　車については、これまでディーラーに言われるままに修理してきたが、実は、ほかにベターな方策はあったのかもしれないと思えてきた。今回も取り外して点検していたら電源が入らなくなったと言われたが、本当なのか？


　あの時も？　あの時も？　いや、あの時だって！


　心に黒い煙の渦がわき起こってきた。疑心は、やがて暗鬼へと姿を変えていく。


　まてっ！

　いや、きっと彼の言う通りだったのだ。

　やっぱり、知らないことが得な場合もあるのだ。

　損得の基準が何か、それだけである。おれは、よく得な性格だと人から言われるのだから…。