小学生のころのおはなし。
高学年になると、いわゆる林間学校と呼ばれるような行事があります。
東京の小学生たちが、緑豊かなところへ行って、自然と触れ合う、というような類のもの。
でも、自然と触れ合う時間は、意外と少なかったように思います。
山を歩き、平原を歩き、美しい風景を見ることはできましたが、花を摘んだり、虫を追いかけたりという時間は、ありませんでした。
当時の、『自然保護』の意識は、社会全体が、『自然に手を加えてはいけない』というような考え方に偏っていたのだと思います。
尾瀬を歩いたことがある人はご存知かもしれませんが、木道では保護パトロール員が巡回していて、草花を摘むと、注意されます。
また、虫取り網を持っていると、これもまた、注意されます。
まあ、尾瀬のように、年間にものすごい人が訪れる観光地にもなると、自然保護のための規制をかけなければ、あっという間に、環境は破壊されてしまうでしょうが。
それでも、子供たちが、自然に触れ合うことができないなんて、おかしな話です。
大人たちが、子供たちに、『自然は大事なもの』という考えを、押し付けようとしても、子供は反発するか、無関心になるだけだと思います。
むしろ、矛盾した社会の暗い闇を見て、大人への不信感を募らせるばかりだと思います。
私が自然を好きになったのは、別に誰かから教わったわけでもなんでもありません。
父方の祖父の家、月夜野の豊かな自然の中で生きてきた、父とその兄弟と、毎年のように川遊び、山遊びをしていただけです。
子供たちそっちのけで、大人たちが夢中になって、アウトドアレジャー。
まあ、これがいいのか悪いのかわからんけれど、おかげで私は、自然が大好きになりました。自然に、ね。