港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


献立は…  
シネマ・ポップス…ときどきイラスト

映画音楽史(59) 『知りすぎていた男』 1956年公開

2014-02-23 00:17:42 | 映画音楽



『知りすぎていた男』 The Man Who Knew Too Much (米) 1956制作
監督 アルフレッド・ヒッチコック
音楽 バーナード・ハーマン
主演 ベン・マッケンナ … ジェームズ・スチュアート
    ジョー・マッケンナ … ドリス・デイ
    ハンク・マッケンナ … クリス・オルセン
    ルイ・ベルナール … ダニエル・デュラン
主題歌 『ケ・セラ・セラ』 (Que Sera, Sera ) 唄・ドリス・デイ

ヒッチコックが英国時代に作った『暗殺者の家』の再映画化で、お得意の巻き込まれ型サスペンス。
アメリカ人医師のベンは妻のジョーと息子のハンクと共にモロッコに出かけて そこで殺人事件に巻き込まれる。
被害者のフランス人ルイは、ベンに某国首相の暗殺計画が行われるとの言葉を残して息絶える。
暗殺団の一味は、暗殺計画をベンに邪魔されないようにとハンクを誘拐する。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでその暗殺計画が実行されようとするがベン夫妻がそれを阻止。
そして夫妻は某国大使館に乗り込み、ハンクを救い出す。

主題歌 『ケ・セラ・セラ』 はルイ・エヴァンス作詞、ジェイ・リヴィングストン作曲によるもの。
某国大使館の音楽会に乗り込んだジョーが、息子を探し出すために弾き語るシーンが印象的です。

When I was just a little girl
I asked my mother, what will I be
Will I be pretty, will I be rich
Here's what she said to me.

↓はドリス・デイの『ケ・セラ・セラ』 YOUTUBEより



また、ロイヤル・アルバート・ホールで行われるこの曲のコンサートで演奏される曲は
ライトクラシック作曲家アーサー・ベンジャミンの『Storm Cloud Cantata(時化)』で
首相暗殺の合図になる最後のシンバルが打たれるまで効果的に使われています。
トリヴィアですが、映画の中でロンドン交響楽団の演奏を指揮しているのはバーナード・ハーマン自身です。

↓は『Storm Cloud Cantata』 YOUTUBEより


なお、前作の『暗殺者の家』でも この『Storm Cloud Cantata』が使われていました。

参考までに

『暗殺者の家』 The Man Who Knew Too Much (英) 1934制作 1935年公開
監督 アルフレッド・ヒッチコック
音楽 バーナード・ハーマン
主演 アボット … ペーター・ローレ
    ローレンス … レスリー・バンクス
    ローレンス夫人 … エドナ・ベルト
    ベティ … ノヴァ・ピルビーム
主題歌 『時化』 ( Storm Cloud Cantata ) 

物語は『知りすぎていた男』 とほぼ同じですが、ローレンス夫妻の子は娘になっています。



ポップス・ベストテン 1962年2月 その4

2014-02-22 01:08:04 | ポップス

『今週のベストテン』1962年2月24日
①悲しき片想い ヘレン・シャピロ
②夜霧のニューヨーク フェランテとタイシャー
③夢のデイト コニー・フランシス
④恋の一番列車 ニール・セダカ
⑤子供じゃないの ヘレン・シャピロ
⑥落日のシャイアン アル・カイオラ楽団
⑦ルイジアナ・ママ ジーン・ピットニー
⑧花咲く街角 デル・シャノン
⑨いとしのクレメンタイン ブラウンズ
⑩夢みる恋 ヘレン・シャピロ
⑪悲しき街角 デル・シャノン
⑫マリーは恋人 エルヴィス・プレスリー
⑬初恋の人 トニー・ザイラー
⑭峠の幌馬車 ビリー・ヴォーン楽団
⑮ブルー・ハワイ エルヴィス・プレスリー
⑯駅馬車のテーマ ラルフ・ハンター楽団
⑰ウォークンボーイ
⑱霧の中のジョニー ジョン・レイトン
⑲ビッグ・バッド・ジョン ジミー・ディーン
⑳戦場に陽は落ちて リトル・リチャード

『今週のヒットレコード』1962年2月25日
①悲しき片想い ヘレン・シャピロ
②ビッグ・バッド・ジョン ジミー・ディーン
③北風 テキサス・ビル・ストレングス
④恋の一番列車 ニール・セダカ
⑤夜霧のニューヨーク フェランテとタイシャー
⑥悲しい恋の物語 ダイオン
⑦霧の中のジョニー ジョン・レイトン
⑧電話でキッス ポール・アンカ
⑨土曜の夜と日曜の朝 ケンブリッジ・ストリングス
⑩さすらいのルンバ ホセイト・ロメロ楽団
⑪愛のバルコニー ケイ・アーメン
⑫夢のデイト コニー・フランシス
⑬あなたに夢中 ジョー・アン・キャンベル
⑭楽しいデイト ドリス・デイ
⑮戦場に陽は落ちて リトル・リチャード

『今週のベストテン』では『花咲く街角』の上昇により、常連であった『悲しき街角』がベストテン外に、
プレスリーの『マリーは恋人』も陥落しました。
替わってベストテン入りしたのは『ルイジアナ・ママ』で先週の19位から7位に駆け上がりました。
また、ヘレン・シャピロの『夢みる恋 』がトップテン入りし、三曲そろってベストテンという偉業です。
下位を見ますと、18位にジョン・レイトンの『霧の中のジョニー』、20位にリトル・リチャードの
『戦場に陽は落ちて』がランクインし、一気に上位を狙っていきます。

一方、『今週のヒットレコード』では、この週からベスト15 位までが発表されました。
順位を見てみますと、『星に語れば』と『愛のバルコニー』がベステンから外れて
『霧の中のジョニー』が7位にランクインしました。
また、10位にはホセイト・ロメロ楽団の『さすらいのルンバ』が初登場です。
『さすらいのルンバ』はかつての『コーヒールンバ』の二番煎じ的な楽曲といわれましたが
私としてはこちらの方が好みで思い入れの強い曲です。
YOUTUBEでは 西田佐知子のカバー盤はアップされていましたがロメロ楽団は聞くことができません。
手元に音源はあるのですがお聞かせできなくて残念です。
11位以下に『あなたに夢中』と『楽しいデイト』が入っていますが楽曲は殆ど記憶に残っていません。


↓は ヘレン・シャピロの『夢みる恋』  YOUTUBEより


↓は ジョン・レイトンの『霧の中のジョニー』  YOUTUBEより



二つのベストテン番組には登場しませんでしたが、1962年2月にはボビー・ライデルの
『星空の花売り娘』が小ヒットしました。
原曲はチャップリンの映画『街の灯』の主題歌の『花売り娘』です。
↓は ボビー・ライデルの『星空の花売り娘』  YOUTUBEより



映画音楽史(58) 『上流社会』 1956年公開

2014-02-21 00:04:41 | 映画音楽



『上流社会』 High Society (米) 1956制作
監督 チャールズ・ウォルターズ
音楽 コール・ポーター 他
主演 デクスター・ヘイヴン … ビング・クロスビー
    トレイシー・ロード … グレイス・レリー
    マイク・コーナー … フランク・シナトラ
    ルイ … ルイ・アームストロング
主題歌 『トゥルー・ラヴ』 ( True Love ) 唄・ビング・クロスビー&グレイス・ケリー
      『ハイ・ソサエティ・カリプソ』 ( High Society Calypso ) 唄・ルイ・アームストロング

フィリップ・バリー原作の舞台劇で、1940年制作(48年公開)の映画『フィラデルフィア物語』のミュージカル版。
ロードアイランドの避暑地、人気者のルイ・アームストロングが来演するとのことで、富豪のデクスターは自宅をルイの宿舎に提供する。
しかし、デクスターは 隣家の令嬢で前妻だったトレイシーが 堅物のジョージと再婚するというので気が気でない。
そこにゴシップ記者とカメラマンが現れ、ジョージの結婚直前のパーティーは大騒動になる。
ひともんちゃくの末、ジョージはトレイシーとの結婚をあきらめ、トレイシーはデクスターと元の鞘におさまる。

主題歌の『トゥルー・ラヴ』はコール・ポーターの作詞作曲によるもので、映画ではデクスターが新婚時代に
トレイシーに贈ったヨット「トゥルーラヴ号」の船上でデュエットされます。

Suntanned, windblown
Honeymooners at last alone
Feeling far above par
Oh, how lucky we are
While I give to you and you give to me
True love, true love …

↓はビング・クロスビー&グレイス・ケリーの『トゥルー・ラヴ』 YOUTUBEより


『ハイ・ソサエティ・カリプソ』の方は、これもコール・ポーターの作詞作曲によるもので、
タイトル直後にルイ・アームストロングがバスに揺られながら唄っています。

Just dig that scenery floating by
We're now approaching Newport, Rhode I
We've been, for years, in Variety
But Cholly Knickerbocker, now we're going to be

↓はルイ・アームストロングの『ハイ・ソサエティ・カリプソ』  YOUTUBEより


映画音楽史(57) 『ジャイアンツ』 1956年公開

2014-02-20 00:49:01 | 映画音楽



『ジャイアンツ』 Giant (米) 1956制作
監督 ジョージ・スティーヴンス
音楽 ディミトリー・ティオムキン
主演 ビック・ベネディクト … ロック・ハドソン
    レスリー・リントン … エリザベス・テイラー
    ジェット・リンク … ジェームズ・ディーン
    ラズ・ベネディクトⅡ … キャロル・ベイカー
主題歌 『ジャイアンツ』 ( Giant ) 演奏・サントラ盤 (ディミトリー・ティオムキン指揮のワーナーブラザーズ楽団)
挿入歌 『テキサスの黄色いバラ』 ( The Yellow Rose Of Texas ) 唄と演奏・サントラ盤 ( 同 )

女流作家のエドナ・ファーバーが1952年に書き下ろした小説を映画化したもので
長い年月の愛と葛藤、文明の粗野と残酷、さらには人種問題を描いた壮大な人間ドラマ。
人種差別の激しいテキサスの広大な牧場主ビックは 東部の令嬢レスリーを嫁に迎える。
そんなレスリーにひそかな恋心を抱いていた使用人のジェットは、牧場から独立して石油を掘り当てた。
それから30年、ビックの子供たちも成長し、テキサスにも新しい時代を迎えたが、人種差別は絶えない。
ある日、ビックは 息子の嫁や孫さらには有色の客に対して差別をするレストラン店主と壮絶な喧嘩を繰り広げる。

主題歌はティオムキンが作曲、ポール・フランシス・ウェブスターが作詞、映画のタイトルバックに使わましたが、
日本ではサントラ盤よりも、レイ・ハインドルフ・オーケストラのレコードの方が大ヒットしました。

This then is Texas Lone-Star state of Texas
This then is Texas  Land I love

This then is Texas Lone-Star state of Texas
This then is Giant Land I love

↓はレイ・ハインドルフ楽団の『ジャイアンツ』 YOUTUBEより

サウンドトラックは↓でご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZT38y1DP5rc


また、主題歌よりも効果的だったのが挿入歌の『テキサスの黄色いバラ』で、レストランの喧嘩のシーンで
ジュークボックスから流れていました。
この歌で唄われる黄色いバラとは、テキサスに実在したエミリー・モルガンという混血の若い女性のことで
テキサスのメキシコからの独立を成功に導いたとされています。
映画『ジャイアンツ』のあの喧嘩シーンに挿入された意図が推察できます。

There's a yellow rose in Texas that I am gonna see
Nobody else could miss her, not half as much as me
She cried so when I left her, it like to broke my heart
And if I ever find her we never more will part

↓はミッチ・ミラー楽団と合唱団の『テキサスの黄色いバラ』 YOUTUBEより

レストランでの喧嘩のシーンにおけるサウンドトラックは↓でご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=e4ptm6F2KHQ


ちなみに、『テキサスの黄色いバラ』は1955制作(55年公開)の西部劇『拳銃稼業』にて
ひと足先に主題歌として使われていました。


映画音楽史(56) 『鹿皮服の男』 1956年公開

2014-02-19 00:09:35 | 映画音楽



『鹿皮服の男』 Davy Crockett (米) 1955制作
監督 ノーマン・フォスター
音楽 ジョージ・ブランス
主演 ディヴィー・クロケット … フェス・パーカー
    ジョージ・ラッセル … バデイ・イブセン
主題歌 『ディヴィー・クロケットの歌』 ( Ballad Of Davy Crockett ) 唄・フェス・パーカー

わずか三つで熊退治、西部の快男児と謳われたディヴィー・クロケットの生涯を描いたディズニ―プロ初の西部劇。
ディヴィーはインディアンのクリーク族の酋長との一騎打ちで勝利して彼らと和平を結びその名を西部に轟かせた。
やがて国会議員になり、正義と友愛を訴えるが正義感が強すぎたのが災いして辞職してしまう。
1836年、デイヴィーはメキシコ軍とのテキサス独立戦争に参加し、アラモ砦で壮絶な最期を遂げる。

主題歌 『デヴィー・クロケットの歌』 はディズニーのテレビ番組『ディヴィー・クロケット』のタイトルミュージック。
トム・ブラックバーン作詞、ジョージ・ブランスが作曲、デヴィ―の生涯を綴ったもので、
生い立ちからアラモ砦で玉砕するまでの歌詞で 25番まであるそうです。
主題歌は、主演者のフェス・パーカー、さらにはビル・ヘイズ、テネシー・アーニーフォードの競作となりました。

Born on a mountain top in Tennessee
Greenest state in the Land of the Free
Raised in the woods so’s he knew every tree
Kilt him a b’ar when he was only three.
Davy, Davy Crockett, King of the wild frontier!

↓はフェス・パーカーの『デヴィー・クロケットの歌』 YOUTUBEより