確定拠出年金、65歳まで加入期間延長へ
個人型確定拠出年金のイメージ
厚生労働省は、公的年金に上乗せする確定拠出年金について、原則60歳までとなっている加入期間を65歳まで延長する検討に入る。60歳を超えても働き続ける人が増えている実情を踏まえ、掛け金を払い込める期間を延長し、老後の備えを手厚くするのが狙いだ。年明けに厚労省の社会保障審議会企業年金部会で議論を始め、2020年の通常国会に確定拠出年金法の改正案を提出する方針だ。
確定拠出年金は、公的年金に上乗せする私的年金の一つ。個人が任意で加入する個人型(イデコ)と、勤め先の企業が運営する企業型があり、いずれも加入者自身が掛け金を運用し、運用成績次第で受け取る年金額が変わる。掛け金は全額が所得控除の対象で税負担が軽減され、受け取る際も税制優遇が受けられる。
加入資格者は現在、個人型が60歳未満。企業型も原則60歳までだが、同じ事業所で勤め続ける場合に限って規約で定めれば65歳まで延長できる。厚労省は、個人型、企業型とも65歳まで加入できるようにしたい考えだ。加入期間が延びれば、運用できる原資も増え、将来への備えが手厚くできるようになる。
加入期間の延長を検討する背景には高齢者の就業率の増加がある。総務省の労働力調査によると17年の60~64歳の就業率は66%で、10年前から10ポイント以上伸びている。制度面でも、高年齢者雇用安定法は、65歳までの希望者すべての継続雇用を企業に義務づけている。政府は継続雇用について70歳まで引き上げる検討を進めており、高齢者雇用は今後も増える見通しだ。
確定拠出年金の掛け金には限度額がある。現在は個人型では最高で自営業者など国民年金加入者の月6万8000円、企業型で月5万5000円だが、この引き上げも併せて議論する。ただ、加入期間を延長したり限度額を引き上げたりすると税制優遇の幅が広がるため、財務省との調整が焦点となりそうだ。