世間には、色々な事情から解剖を受けざるを得ない遺体がある。それなりの必要性があってのこととは言え、解剖遺体には痛々しさを感じる。解剖を担当する医師も、生きている人の手術とは違うので、作業の丁寧度はあきらかに違うのだろう。
少しでも見識を深めるため、私は、以前、某所で検死解剖を見学したことがある。川で水死した老人の遺体だった。
事故か自殺か、はたまた他殺かを調べるために解剖へ回されてきたのだろう、警察の寝台車輌に乗せられてきた。
私は、解剖作業をガラス越に見学するのだが、その作業は、とても見るに耐えなかった。遺体に対する尊厳の「そ」の字も、思いやりの「お」の字も一切感じなかったのである。
その医師はまるで魚をさばくかのように、はたまた大工仕事をするかのように、遺体の解剖作業を乱雑!に進めていったのである(「魚屋さんや大工さんが乱雑な仕事をする」と言っているのではなく比喩論として)。
更に、その医師は、私が羨望の眼差しで見ていると勘違いしたのだろうか、手際と度胸がいいところを見せてやろうと思ったのか、私の視線を意識して余計に調子に乗って悪さをしているように見えた。
乱暴極まりない動きで、色んな臓器を乱暴に取り出しては、助手が重さを測って写真撮影。
頭を開けるときも頭を解剖台にガンガン打ち付けながらメリメリと無理やり頭皮を剥がしたかと思うと、おもむろに電気ノコギリで頭蓋骨を切開。脳も乱暴に取り出して助手が同様の作業。
最期は取り出した脳も臓器類をメスで細かく切り刻んで腹部へ収納(細かく切り刻まないと、きれいに収まりきらないので)。そして、荒く縫合して解剖は終了(ちなみに、その老人は入水自殺ということになった)。
最後に、助手がまるで車でも洗うかのように、ホースから遺体へ水をバシャバシャかけて血を洗い流して終了。
もともと、解剖遺体の縫い目はかなり粗い!頭皮・頭髪・皮膚もザックリと大きく縫い込んである。医師と言えども解剖は仕事であり、労働者であることに違いはない。死んだモノにいちいち丁寧な作業はやってられないのだろう。
ある解剖遺体などは、荒い縫い目から新聞紙がハミ出ていたこともある。内臓を取り出したら腹が凹み過ぎたため、代わりに新聞紙を入れたのだろう。ちなみに、取り出した内臓類はビニール袋に入れて遺体の脇に置かれていた。
万が一にも、身内の誰かが解剖されているところをマジックミラーか何かを通して家族が見ることができたら、その場で気を失うか、激怒するケースが少なくないのではないかと思う。
その後、その医師と面談する機会があったのだが、特殊清掃現場とは違う意味で吐き気がした。彼は経済力・社会的地位は私とは比べ物にならないくらい高いけど、人格は最低だと思った。
俗に、
「先生と呼ばれる職業に就く人間にろくなヤツはいない」
という話を聞くが、こんな医師は一部であって、医師免許を持つほとんどの人間が相応の人格と誠実さを兼ね備えた人間であることを信じたいものである。
どちらにしろ、腐乱死体で発見されるのもイヤだけど、死んでも解剖はされたくないと、つくづく思った日であった。
トラックバック 2006/06/20 09:30:52投稿分より
解剖てそんなに乱暴\(?)だったとは‥(ノ_・、)慣れだし流れ作業みたいなもんなんでしょうね‥
そうやって切り刻まれるくらいなら移植に回してくれた方が‥って解剖に回されたら無理か(×_×;)
先日こちらに監察医が将来の夢だった、と書いたものです。
何だか悲しくなりました。
いや、clean110さんの事じゃなくこの医師の事です。
監察医は本来「物を言えぬ死者からの言葉を聞きだす」「死人に口無し等とは言わせない」という誇り高い仕事だと思っていましたから、こういう医師(監察医でしょうか?)が居るという事実は非常に悲しいです。
・・・確かにこのような扱いになってしまう事が解らないわけでもないですが・・・。
場合によっては何度も解剖して死因の徹底解明をする必要もありますし、臓器の計量も重要な判断基準になりますし、一日に沢山の方が運ばれてくる状態ですし。
公務員扱いで所得も開業医等に比べたら大分違ってくるので高い入学金や寄付金を払って医大に入ってもなかなか監察医になる人は少ないそうで、常に人手不足で仕事も乱雑になってしまうという現状もあるようです。
だからといってこんな扱いばかりされては亡くなられた方も成仏しきれないなぁ、と思いました。
医大側も監察局も、確かに死因解明のためとは言え技術や知識だけじゃなく死者の尊厳を守れるような教育をしてほしいものです。
遺族は別室待機を言い渡されたのですが‥‥‥‥
そうか、見てない場所で母は、そういう扱いをされていたのか(絶句)
せめておじいさんのように、解剖されなくてよかった。
亡骸は、『なき・から』だから、人間じゃないと言いますけど、ちょっと複雑。
興味深いお話が読めました。これからも楽しみにしています。
今日は医師の話が出たので医師繋がり(w)という事でカキコしました。
私は歯科医で働いています。
職場も何度か変えましたがその度に思う事は、若いうちから「先生」と呼ばれてる人は皆鼻持ちならない奴ばかり、と言う事です。
皆自信過剰でふんぞり返った態度、患者には一見親切丁寧は良い先生と見せておいて、その実後で悪口言い放題。
いくら経済的にゆとりがあろうともこんな人間とは絶対親密な仲になりたく無いと思います。
事実私が勤めた医院は皆いい歳して独身でしたw
テレビドラマなどで見る正義感ある医師は少ないと言う事でしょうかね。
寂しいものです。
女性は玉の輿狙いで数十万・数百万円を払い会員になり参加してますが、男性のほうは地位や名誉・金があることをいいことに、結婚することはまったく考えず、つまみ食いしに来ているだけです。
金の使い方を間違ってるよな。
捜査活動はウソである事は
誰もが知るの事実であるという認識でしたが
こういう現場でも現実と認識のギャップがあるのは盲点でした。
「仏さん」というくらいだからもっと丁重に扱っているものと思いこんでました。
悲しいですね。
考え方の違いだとおもうな。
死体を敬意を表して丁寧にあつかう。
死体はあくまでも死体、死んだ後はどうでもいい。
これはどちらも、あり、だ。
ひどい医師だったことを祈りたいです。
某監察医ドラマで感動した記憶があるので
ごく少数でも良い監察医さんもいると信じたいものです。