遺品回収の依頼で見積りに出向いた。依頼者は中年女性。現場は公営団地。
「独り暮らしをしていた父親が亡くなったので、遺品を処分したい」とのことだった。
とりあえず、現場へ。亡くなった場所は病院とのこと。
しかし、部屋に入ったら、かすかに死体の腐敗臭がする。
「男の独り暮らしで不衛生な生活をしていたので、臭くてスイマセン・・・」
と依頼者は言うが、ゴミの臭いと死体の臭いくらいは嗅ぎ分けられる。
念のため言っておくが自慢してるわけじゃないんで。
「亡くなってから、そう時間が経っていないうちに発見されたせいで臭いが薄いだけ、間違いなく故人はここで死んでいる。依頼者が言うように病院で亡くなった訳ではない。」と確信。
見積金額を少しでも安くするためか、世間体が悪いからか、「病院で死去」とウソをついているようだった。
私は自信たっぷりに
「失礼ですが、故人はここで亡くなってますよね!?」
と依頼者に言ってみた。
私の強気でストレートな物腰に、「抵抗するとマズイ」と判断したのだろうか、依頼者は気まずそうにそれを認めた。そして、こういう仕事は依頼者との信頼関係が大事であることを説明して、大きなウソはつかないようにお願いした。
故人がどこで亡くなっていようが、気にすることはない。そんなことが気になるくらいなら、そもそも私はこんな仕事はしていない。そんな類のことを依頼者に話して、心の荷を軽くしてもらった。
雨降って地固まり、その後はお互い気持ちのいい関係で仕事をすることができた。
故人が生きていた物理的な形跡はなくなったが、故人は遺族の心の中に残り、私の仕事を通じて遺族が心の荷を降ろしてくれれば幸いである(きれいにまとめ過ぎ?)。
- トラックバック 2006/06/11 08:27:28投稿分より
依頼者との信頼関係で成り立つ・・本当に信頼がなければ依頼も出来ません。遺品の整理ってそんなに大変なのか・・。
それとも、依頼者は触れるのも躊躇っているのかと思います。
管理人さんの仕事は人間が普段は見せない真っ黒い部分が見える仕事でもありますよね.でも今回の件では,雨降って地かたまるの言葉通り,それが良い方向に向かったようで素敵でした.
ありがとうございました.
大事な、なくてはならない貴重なお仕事
だと思います。
信頼関係って、だいじですよね。
どんなことでもいいですから,これからも色々な情報を教えて下さい。
それを分かってない人が多すぎですな。管理人さんのような仕事に従事されてる方にはもっと経済的なことも含めて優遇されるべきだと思います。
じゃなくて
失礼ですが、故人はこちらでお亡くなりになってますよね!?
って、言い方出来ませんか?
遺族だって事情があるんだろうし、貴方も一応客商売でしょう。
自分が金払ってこの人を呼んで、文句言ってくださいw