特殊清掃をやっていると、小骨がでてくることがよくある。小骨と言えば魚を食べるときのことを思いだすが、ここでいう小骨は人骨である。手足の指の骨は小さくて目立ちにくく、忙しい警察も拾い損ねることが多いのだろう。それ以前に、警察官も「いちいち拾ってられるか!」と言う心境だろう。
特殊清掃をやる中では人体の色んなモノがある。頭髪はほとんどの現場にある。余談になるが、一般的にも髪の毛って、結構気持ち悪い感じを与えるものではないだろうか。
今回のモノは人骨である。
作業中にでてくる骨は、一応、拾い分けて保管するようにしている。このブログを何度か読んでくれた方は既にお分かりだろうが、骨と言っても白くてきれいな骨ではない。腐乱液や腐敗肉片が着いたスゴク汚く臭い代物である。
当然、拾った骨は遺族に返す。
困るのは遺族が欲しがらないケースである。少しでも返しやすくするため、できる限りきれいにした状態にする。ひとつひとつを磨いていく作業は、特殊清掃料金には含まれない個人的なボランティアである。そのうえで、遺族を説得する。
当社でやっている遺品供養の話を交えながら、「このまま放置して、何か起こっても責任持てませんよ・・・」と意味深なことを言うと、引き取ってくれる。
面倒臭い作業なので、気づかなければゴミと一緒にして処分するところだが、遺骨と気づいていながらゴミ扱いするのは良心が咎めるので、結局、拾ってしまう私である。
骨ついでの話で、別の家での出来事。
故人を棺に納める際、故人が生前好きだったケンタッキーフライドチキンを棺に入れてやるかどうかで遺族が揉めだした。
「本人の大好物だったんだから入れてやりたい」という人もいれば「火葬したら遺骨とチキンの骨が混ざるからダメ」という人もいて、収拾がつかなかった。
遺族は真面目に議論しているのだが、正直、聞いていて可笑しかった。
結局、私にアドバイスを求めてきた。
冷静に考えれば、チキンの骨なんかは燃えてなくなるはずなのだが、こういった場面では両方の顔を立てる必要があるため、「ご本人も、いくら好物でも骨までは食べてなかったはず。だから骨を外して肉だけ入れてあげたらどうか。」とアドバイス。
この程度のことが「グッドアイデア!」と言うことになり、全員合意でそうすることになった。すごく感謝されたのだが、バカバカしく思えて仕方がなかった。
トラックバック 2006/06/13 08:27:02投稿分より
やはり普通の人は死に対して抗体がないですからね、どうしても頭が回らないのでしょうよ。
(*´Д`)=з
でもってこのブログのせいでケンタッキーフライドチキンが食べたくなった(笑)
目から鱗の気分です。
いろいろと大変だとは思いますが、お仕事頑張ってください。ご迷惑をかけないよう、近所づきあいを心がけて生きてゆくつもりです。
コロンブスきた。
私は何を入れてもらいましょ。アイスクリームが好きなんですが、却下されますね。きっと。
個人がチキンの軟骨などを食べる人じゃなくてなによりです。