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クリエイト速読スクールブログ
なおしのお薦め本(62)『ついていったら、だまされる』
クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。
奇特な人がいるものです。怪しい人についていって、その顛末を人に教えてくれるというのですから。
手相占い、先祖のたたり、デート商法、出会い系、ボランティア、オーディション。このようなものに興味があったり、興味を持たざるをえなくなった人は、この本を読んだほうがいいと思います。だましの手口がよくわかります。
自分はだまされないという自信がある人は、ぜひ次の文章を読んでみてください。
「きみたち、ぼくたちをだまそうとする輩は、人の『思いやり』や夢といったものにつけいってくることがじつに巧みだ。
逆に言えば、『思いやりの気持ち』『将来、こうなりたいという夢』というものほど、ある人間にとってはだましやすいものはない、ということなんだよ。
こういった『だましやすいもの』は、誰もがもっている。誰もが無縁ではない。
だから、誰もがだまされる対象となる。
たとえば、ふだんはキャッチセールスの勧誘なんかには立ちどまらないのに、なぜかふらふらとついていってしまったという人の話を聞くと、『そのとき、たまたま何か新しいことをはじめようという気分が高まっていた』とか『上司に仕事ぶりをほめられ、ヤル気になっていた』とか、前向きな気持ちのタイミングで声をかけられて、つい……という人が、意外にも多いんだ。
もちろん、それとはまったく正反対の答えが返ってくることもあるけどね。それは『失恋した直後だった』とか『上司に怒られて仕事をやめようか悩んでいた』とか、すごくマイナスな状況がその人の身に訪れていた場合にも、人は知らない人のアプローチに応じてしまいがちだったりする。
人は、前向きなときにも、後ろ向きなときにも、両方だまされる。
どうして正反対の状況でも同じことが起こるのか、そのメカニズムがわかるかな?
じつは『後ろ向きな気持ち』って、根っこには『前向きな気持ち』が必ずあるから。そう、『後ろ向き』だから、人は『前向き』にもなれるんだ」
もう一箇所だけ、引用します。著者が、だまされる原因について私論を述べています。
「……いちばん大きな原因は、ぼくたちの受けてきた『学校教育』にあるのかもしれない、と思ったんだ。
先生から教えられることは、はじめは知らないことだらけだよね。ある意味、知らないことを説明されて、その内容を暗記のようにして覚えさせられる。そうやって『正解とされる考え方』を身につけていって、しだいにものごとのなりたちを理解していくんだ」
「つまり、『どうして?』という疑問はひとまず後回しにしながら、だんだん、身につけた考えを蓄積し、広めていくというやり方なんだ。
べつに、ぼくはこの教育のしかたが悪い、と言っているわけではないよ。
そうではなくて、そういうやり方以外で何かを『考える』ということを、ぼくたちはあんまりやってきたことがないんだな、ということなんだ。疑問を後回しにしないで、疑問そのものに向き合うことで『考える』ということをしてみることに、ぼくたちはあんまり慣れていない。
だから、街の路上でいきなり声をかけてきた人に対して、『なんか、ちょっとヘンじゃないかな……』と違和感を覚えても、『いま、疑問について考える』ということができないために、『まあいいや、後でゆっくり考えよう』とサボってしまう。相手は、『いま、ここで、こいつをだましてやろう』といろいろと知恵をめぐらしている人間だ。勝負はどうなる?」
この本は、中学生でも読めるように漢字を減らしていますが、大人にもじゅうぶん役立ちます。これこそ実用書、と言えるでしょう。 なおし
■参考記事
※もりぞう爺さんの話(上)
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振り込め詐欺・エステの勧誘等など・・・テレビで客観的に見ているのと、現実に自分に起こっている状態では、全く別次元の話になってしまうから、被害が後を絶たないのだと思っています。
・・・などと、偉そうに言っている自分こそ“まさか”ってことになったら、一番オロオロしそうです。油断大敵ですね!
デート商法のくだりなど、読んでいくと「私なら絶対に買ってしまう、今でも」と思ってしまいますよ。
著者は男性なので、男性の方により役立つことでしょう。
クリエイトに置いてありますから、今度きた時に読んでみてください。