今や石炭は二酸化炭素を多く輩出する悪の権化のように思われているようですが、且つては『黒いダイヤ』とも呼ばれ、この国の繁栄を支え続けた鉱物でした。明治初期に産業として確立して以降、日本の石炭鉱業は国内の経済発展に大きく貢献してきたのです。その道のりは決して平坦ではなく、発展していく過程で何度も厳しい状況に置かれることもありましたが、その度に問題を乗り越え、日本は世界でも高い炭鉱技術と安全水準を誇るまでになっていたのです。
しかし、近年では石炭をはじめとした化石燃料は温室効果ガスの排出量が多い点が指摘され、国内における石炭使用量は減少の一途を辿っているのです。確かに化石燃料は環境負荷が高いため、この流れは止められないでしょう。ただ、石炭鉱業があったからこそ日本経済は急速な発展を遂げることができたという事実も忘れてはいけないと思っています。
私が今こんなことを考え始めたのはTBSの日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』というドラマの影響です。このドラマは大変好評だったようですが、個人的にはストーリー展開や役者の演技より、令和の世になってすっかり忘れ去られようとしている石炭にスポットライトが当たったことが嬉しかったのかもしれません。
端島(はしま)は、長崎県長崎市にある島で通称の軍艦島(ぐんかんじま)として良く知られています。明治時代から昭和時代にかけて海底炭鉱によって栄え、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅も建造されるなど、1960年代には東京以上の人口密度を有していたことはドラマの中でも生き生きと描かれていました。
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