【霊告月記】第三十一回 北一輝の霊告「日本は革命党の父である」
日露戦争後に出現した天才思想家北一輝は日本と中国のありうべき将来を大胆に予言した。その言葉は霊告と呼んでさしつかえない洞察力に満ちたものであった。
もし日本人が北一輝の忠告を受け入れて王道のアジアを築くことを試みていたならば、日本の歴史はいや世界の歴史は、いまよりもずっとましなものになっていたはずである。アジア主義が勝利した20世紀の世界を思い描いてみよう。それはなんと素晴らしい絵であることか。
だが日本は北一輝の霊告を聞き逃した。これは痛恨の一事と云っても過言ではない。日本は道を失ったのだから。
はっきりと知るべきことがある。いまなお北一輝の肉声は失われてはいない。21世紀の東アジアを我々はいかに構想すべきか。南北朝鮮が握手を交わし歴史の転換が刻まれようとする今こそ北一輝の霊告を傾聴する意義あることを私は強調したい。そこからのみ道の回復はなされるであろう。
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北一輝の霊告
日本は革命党の父である
1911年11月5日 於:上海
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一寸の書簡のつもりが長くなつたから序で二時間もある故一つ議論を書く。
政治階級によつて其国の政策を批評すべきは固より、国風全体を判定することも或程度まではよろしい。藤原氏が治者階級であつた時は政策は文治主義で国風は文弱であつた。武人が治者階級であつた間も同様に政策は武断主義で、国風は殺伐であつた。
この原則からの推論が現今の支那に及ぶときに、満人の政治時代と、漢人自らの政治時代、特に我が革命党の政治時代とは明白に裁然と区分されねばならぬ。直裁簡明に単刀直入的なる革命党の一般的気風は、実に日本教育より継承したものである。
僕が立つ前一寸君の宅で報知記者に、支那革命党の秘密の一端を話した時に語を強めて、日本教育が今の革命思想を産みたるもので、多い時一万五千、前後を通じて幾万の留学生即ち四億万漢人のあらゆる為政者階級の代表的子弟に日本の国家主義、民族主義を吹き込だから排満興漢の思想が出来たのだと云つた。
日本の教育家も政治家も支那通と云ふ方々も或は明確に意識されないかも知れないが、これほど明かに思想的系統の示されて居る事例は余り類があるまい。日本は革命党の父である、新国家の産婆である、日本の教育勅語は数万全漢民の代表者の上に此の大黄国を産むべき精液として降り注がられたものである。
日本が唐の教育を細き管より吸収してあつた時には、日本の政策も国風も万事唐的であつた。大黄国が日本の教育によつて産れ、其の国家の中心点たる革命党の年少者が日本的思想を有し、日本的風采に化し、日本的行動を取りつゝある事実は直ちに新国家の政策も国風も日本的であることを証明して居るし、結論はこうだ、新しき大黄国は日本と等しく国権と民族の名の下に行動すべし。この点は明らかに排日を意味すると同時に根本的に精神的に親日である。
従来の支那漫遊者が、居留地辺で満人の奴隷としての遺伝を有する苦力等が更に国威萎魔の為めに外人の奴隷として唯々たるを見、又同様なる満洲に於ける其等の有様を二大戦役中見て居るもの、多い為めに暴慢の程度が分らない位である。
この国権と民族の覚醒が来た、而も日本的に来つた、新興国に対し一点でも其れに対する侮りが見えたら最後、日本は全四百余州からボイコツトされるのだ。其ボイコツトたるや一時的経済的でない、永久的に一切の方面からゼネラルボイコツトだ。苦力が政治し、満洲土人が治者であるならば政策も国風も奴隷的のものと見て、従来の漫遊者や渡満者の見解に従て今日までの通りの対清策でよろしい。
革命党、即ち数万の日本的頭脳が治者階級を形づくつて居る新支那に対しては、日本の対支那策も一変しなければならぬ、--而も其一変たるや支那の革命しつゝあるに併行して革命的一変たるべきは申すまでもない。
革命の頭脳宋教仁
盟友宋教仁の葬儀に臨む北一輝
さらば根本的精神的の親日とは何だか、これは外ではない思想上の父であるといふことだ。古今これほどの親善の関係はあろうか。興国の思想を産みつけたる父である。若し其上に日本が新興国分娩の今日の際列国の野心より能く之を防禦して、立派に産婆の役をも勤めてやつたらどれほどであろうか。
敢て僕は補助を要むるとは云はぬ。又実際今日までは何等の補助もない。只万々一列国の或者が野心の牙を露はしたる時、我が愛児なり一指を触る、ものは我が敵たるべしと宣言して、前に立ち塞つて蔽ふだけの覚悟があればよろしい。毛唐共の御先棒は北清事件の馬鹿をしただけで沢山である。日本は嘗ても申す通り東洋外交の主権者である根本の自信を此の際に固めることが大事である。
(北輝次郎発清藤幸七郎宛書簡 『北一輝著作集』第三巻 158頁~159頁)
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