第十二章・「恐れ乍ら願い奉る口上」は如何でしたか。この文書『もんじょ』は単なる商取引のトラブルに関する顛末『てんまつ』の文書で、歴史的に特に重要な記録ではありません。そうは言っても、明治維新直後の、商取引の一端に触れる事が出来、今から140年前の商売人の商行為とか、ものの考え方などが少し分かるという点で、多少の参考にはなったと思います。
古文書の学習のテキスト(教材)で、一番望ましいのは、それが歴史的に重要な史料(國・地方を問わず)である事だと思いますが、未発見の古文書がそれほどたくさん有るわけではありません。現在発見されているけれど、未だ解明されていない文書の読解に向けて、もっと若い年代の人が、関心を持って勉強に参加されることを期待するものです。
本ブログで教材とするものについては、歴史的な重要性以上に必要な事は、文書自体が綺麗であること、(保存状況が良好で、虫食い等が少ないもの)です。そう言う点では、適当なものはなかなか見あたりません。今までに取り上げた文書の中にも、読みづらいものはたくさん有ったと思いますが、教室で教わる場合は、素材が綺麗でないものでも、指導者による直接の説明や、生徒の側からの質問でおぎなう事が可能になりますが、こう言った一方通行の学習ではそうそう解決は出来ません。本ブログでは、私が今までに習った文書の中でも、綺麗な文書を選んでテキストにしておりますので、「習うより慣れろ」を主眼にして、今後も引き続き続けて行きたいと思っています。
次回は、本章と同じくこの地方の、民間のトラブルに関する文書を引き続き習います。