古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十七章 潮岬会合 その十九

2013年03月25日 08時48分18秒 | 古文書の初歩

潮岬会合「乍恐言上 返答」第一ページ。原文無し、解読文のみで続行します。この文は「串本町史・史料編」からお借りしました。

解読文 乍恐言上    返答

      一 見老津浦より下田原迄之ゑと網代、先規ニより他所之

         猟舩入不申、然処上浦之衆浦々網代地引ならでハ

         網代とハ不申候由申上候ハ偽リニ而御座候。其浦々ニ

         より網代地引も請取も御座候。下浦ゑど網代ニ而他所之衆

         と入相ニゑど申義、前々より無御座候御事。

読み   恐れ乍ら言上    返答

      一つ、見老津浦より下田原迄のゑど網代、先規により他所の

          漁船入り申さず、然る処上浦の衆、浦々網代地引ならでは

          網代とは申さず候由申し上げ候は偽りにて御座候。其の浦々に

          より網代地引も請取も御座候。下浦ゑど網代にて他所の衆

          と入相にゑど申す義、前々より御座無く候おん事。

解説  昨日申し上げました様に、教材の古文書のコピーは五ページが欠落しており、潮岬神社宮司に御願いして、欠落箇所の写真を撮らせて戴きました。それが三月十五日から昨三月二十三日までの三ページ分です。ところが私の勘違いであと二ページ分の撮影が出来ませんでした。やむなく原文無しで解読文のみで続けます。ここは古文書の読み方の勉強ではなく、文書の内容の続きという事でご了承の程御理解下さい。

「乍恐言上 返答」・・・上浦から奉行へ宛てた「言上」『ごんじょう』に対する、下浦からの奉行宛「回答書」「反論書」になります。文字や書体等の解説は、当然のことながら出来ません。

 「見老津浦より下田原浦迄」・・・周参見代官所(川村半左衛門様管内)の管轄内の漁業を主とする村々。 

 「ゑど網代」・・・餌鰯を捕る権利の有る漁場。 「先規により」・・・以前からの規則により。  「上浦の衆」・・・周参見以北の漁師の連中。「田辺・印南・御坊付近」の漁師連中。 彼等の言い分は、地引き網漁のみ「網代権」が有り、その他は網代の主張は出来ないと言う理屈であり、これは偽りでございます。 其の浦々により網代地引も請取も御座候」・・・それぞれの浦々によって地引を網代とする所もございます。「請取」は不明。 

 「下浦ゑど網代にて他所の衆と入相に」・・・周参見管内の餌所網代で、他所の連中と一緒に入漁して」。 「ゑど申す義」・・・「餌どころの鰯を捕るしきたりは」。 「前々より御座無く候おん事」・・・「以前から無かったと言う事実。」 

 以上が返答の第一項目になります。