古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十七章 潮岬会合 その二十二

2013年03月28日 06時38分30秒 | 古文書の初歩

潮岬会合「乍恐言上 返答」第四ページ上の画像の一~二行目

 

解読 くれ候へ与被仰候ニ付、及是非不申田并江田之

    沖成王ら遍可石と申ゑと網代壱嶋御座候、

読み   くれ候えと仰せられ候に付き是非に及び申さず田並江田の

    沖成るわらべが石と申すゑと網代一嶋御座候、

 

解説 「くれ候へ与」・・・簡単な文字ですが、読み方としては最難関なところです。「くれ」の次の小さい「し」の様な字は「候」で、「へ」の次は変体仮名「与」で「と」と読みます。 「被仰候ニ付」・・・「被」は受け身や尊敬を意味する助動詞で、「○○られ」、「○○され」等と読みます。ここは「仰せられ」。 「候」・・・は形で覚える。「候」の崩し方は数限りなくあります。「ニ付」・・・「月」に見える字は「付き」。 「及是非」・・・下から返って「是非に及び」。 「不申」・・・申さず。「不及是非」・・・「是非に及ばす」と書くよりも「及び申さず」の方が丁寧な言い方になります。 「田并」・・・「并」は「並」の旧字体で、現在の「田並」のこと。「串本町大字田並」。 「江田」・・・串本町大字江田。「江田」と「田並」は隣合った集落です。最後は「之」、本行五文字目の「与」とよく似た紛らわしい書き方です。 「沖成」・・・沖成る。沖に有る。 「王」、「遍」、「可」はいずれも変体仮名で、「わ」、「へ」、「か」。「わらべが石」と言う嶋「暗礁?」の名称。 「ゑと網代」・・・餌所の網代。 「壱嶋」・・・「一嶋」