かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 141 ネパール③

2025-03-12 18:51:59 | 短歌の鑑賞

  2025年度版 馬場の外国詠 17(2009年4月)
     【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~  
         参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
                     藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:T・H   司会とまとめ:鹿取 未放


141 ムスタンの林檎は大きみのりぞと人ほむる近藤亨翁の林檎

             (レポート)
 「ムスタンの林檎は大きみのり」と人が褒めているのは、その林檎の現実の大きさを褒めているのか、それとも近藤氏のご苦労の多大さに対し、敬意を表しているのか、たぶん、その双方であろうとは思うが。ここに「近藤亨翁」と敬語を使っておられる点に、その尊敬の気持ちが表れている。しかしなぜここに「人ほむる」と他人の評価を持ってこられたのであろうか。林檎の大きさとともに、それを高地で実らせた近藤氏の業績への敬意を「大きみのり」と「人ほむる」に、その客観性を持たせているのであろうか。(T・H) 


              (当日意見)
★先の歌(138番歌 ヒマールと呼べば何だか土地びとのやうなりムスタンの林檎はうまし)で言ったように、ここの林檎はこぶりなので、「大きみのり」はその業績に対する言葉でしょう。2700メートルの高地に美味しい林檎を実らせるのはたいへん難しいことだったようですから。「人ほむる」はレポーターの言っているとおりで、もちろん自分も褒めているのですけれど、土地の人がまず感 謝を込めて褒め、日本でも近藤氏を知る人はみんな褒めるわけです。ところで、この林檎、大変な人気で、首都カトマンズの高級スーパーで「ムスタンの林檎」としてブランドになっているそうです。ジャムとか干し林檎も作られ、現金収入源にもなっているようです。(鹿取)


       


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