かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌の鑑賞 234、235

2022-10-19 18:50:59 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                       鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


234 てんてきぼうかたわらになきさびしさを言ってナースをわらわせてみる
               2003年7月作

 この歌は、抗ガン剤の何クールかを終えて一休みしている時季で、久しぶりに点滴棒に繋がれていなかったのだろう。結句、初案は「わらわせている」だった。推敲した「みる」の方が屈折感が出ている。

235 エルヴィスのCD聞きつつ病院内徘徊をするウォークマンわれ
             2003年7月作

 「ウォークマン」は商標名だが、文字通りの「歩く人」と掛けているのだろう。ホモエレクトゥスなどの連想もあるにちがいない。
 上田三四二の次の歌を思い出した。   
  右霊安室左リニヤック室いたはられ左にまがるいつの日までぞ
              一九八九年『鎮守』上田三四二
 右霊安室……の思いが心の底にはあるようにも思われるが、歌にも思いにもまだ遊びの要素が残っているようだ。


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