かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  334

2021-10-18 19:06:34 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究40(2016年7月)『寒気氾濫』(1997年)
    【明快なる樹々】P136~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


334 バス揺れるたびにあなたの肩が触れ信濃は雷雨直後の青空

     (レポート)
 バスが揺れるたびに「あなた」の肩が触れるという。作者はそれを嬉しいとも悲しいとも言っていないが、バス揺れる、たびに、あなたの、肩が触れ、という上の句の弾んだ調子に、心躍りしている心境が表れている。結句も「青空」と明るい気分で浮きそうな所を、「雷雨直後」という漢語で引き締められている。また、〈雷雨のあと〉とせず「雷雨直後」とごつごつさせた所で、作者は男性で「あなた」は女性だということを感じさせているようだ。(真帆)


      (当日意見)
★実際に雷雨が走ったのかもしれないけれど、あなたの肩が触れる度に自分に電撃が奔って、それ
 で雷雨を入れたのかなと。(慧子)
★この信頼感とか嬉しさの感じからすると、電撃が奔るような時期は通り越してもう少し安定した
 関係かなという気がします。もっと柔らかい感覚。やっぱり雷雨が上がった直後のすがすがしい
 青空の設定を生かして読めばいいのではないでしょうか。信濃だから旅の途上、バスに揺られて
いるのかもしれませんね。(鹿取)


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