かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  335

2021-10-19 18:07:02 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究40(2016年7月)『寒気氾濫』(1997年)
    【明快なる樹々】P136~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


335 ああ秋は汝とまむかい食べてみる巨峰の一粒ずつの完熟

     (レポート)
 心豊かな楽しい一首だと思う。作者の秋の習いとして、実を完熟させた巨峰の木の労をねぎらい、また甘さに結実させた作品を吟味鑑賞するようにし、巨峰の一粒一粒にまむかうのだろう。汝は巨峰の実だ。(真帆)


      (当日意見)
★汝は巨峰でも、実と女性と両方含んでいても良い。(慧子)
★あなたとか汝とかが誰かというより、景の中に溶け込んでいる、大きなもののなかに包まれて二
 人が共感し合っているととるとよい。(鈴木)
★秋の豊かな気分を、完熟した巨峰に代表させている。そこに恋の気分も重ねられているのだろう。 
 「バス揺れるたびにあなたの肩が触れ信濃は雷雨直後の青空」の続きに置かれているので、恋人
 と向かい合って巨峰を食べていると素直に解釈していいと思う。(鹿取)


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