かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  217

2021-05-08 20:38:21 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究26(2015年4月)【光る骨格】『寒気氾濫』(1997年)89頁~
    参加者:かまくらうてな、M・K、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放


217 沈黙を守らんとする冬の木のなかにひともと紅梅ひらく

      (レポート)
 沈黙を堅持しようとしている冬木々の中にあって、その空気を和らげるようにひと足早く、紅梅がいっぽん明るく咲き始めた。(鈴木)


      (紙上意見)
 沈黙に耐えられなくなった紅梅はいちはやく人間に迎合して、鮮やかな容姿をみせつける、冬枯れの世界で、目立ちたい紅梅はナルシストで、裏切りものだ。(石井)


    (当日意見)
★石井さんのナルシストというのは唐突だなと思います。(鈴木)
★まあ、以前の歌から導き出された意見なのでしょうね。私は季節が来ればやがてみんな花開いていく
 ので、先に咲いたからって人間に迎合したとかナルシストだ、裏切り者だとは思わないですけれど。
 先駆けに対する評価の違いですよね。(鹿取)


     (後日意見)
 次の218番歌(土屋文明をわれは思えり幹黒き樹は空間に融けゆかぬなり)を読むと、「目立ちたい紅梅はナルシストで、裏切りものだ」という石井さんの意見はあながち突飛なものでもないように思われてくる。この読みですんなりと土屋文明に繋がるのだ。(鹿取)

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