かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  14

2020-05-31 16:25:49 | 短歌の鑑賞
ブログ版清見糺鑑賞 3  ピエタ  
                     かりん鎌倉支部  鹿取未放     

14 岩の人ペテロのようには涙せぬ渇きは〈百年の孤独〉にいやす
             「かりん」94年7月号

 ペテロはキリストが処刑される時、三度あの人を知らないという。そうしてその言葉がかつてのイエスの予言どうりであったことに愕然として涙を流すのだが、作者はキリスト者ではない。ここでは宗教から離れて、日常の、あるいは恋愛上での自分の間違いにたとえ気付いても、ペテロのように素直には涙を流すことができない。涙をながせばカタルシスを得ることもできようが、もっと索漠とした救いようのない思いを抱えているから泣くことはできないししない、代わりに〈百年の孤独〉に紛らわすのだという。〈百年の孤独〉はノーベル賞受賞のガルシア・マルケスの小説名でもあるが、内容を鑑みると、ここは焼酎でいいのだろう。

 

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