かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 2の247

2020-03-10 20:11:10 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究2の32(2020年2月実施)
     Ⅳ〈夕日〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P160~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆    司会と記録:鹿取未放


247 茄子の花下向きに咲くなにゆえにマザー・テレサが気にかかるのか

         (レポート)
 茄子には、お盆に先祖の御霊が往来するとき乗るという精霊馬や精霊牛をおもう。茄子というものには何か生死や魂が宿っているようにおもう。
 一九九七年九月に亡くなったマザー・テレサは人生を、飢えている人、家のない人、病の人、恵まれない人などに捧げた。そのマザー・テレサが着用していたサリーや頭巾(ウィンプル)には、茄子の色に似た青紫の三本の線が入っている。それぞれには意味があり、生地の白色は純潔さを、三本の線は清貧・貞潔・従順を示しているという。うむつき加減に楚々とさく茄子の紫色の花からマザー・テレサを連想し、白い生地や三本の線が示しているような姿を見たのではないだろうか。(泉)


          (紙上参加)
 茄子の花は地味だが意外と可憐でうつむいて咲く。なるほど、マザー・テレサの尼僧姿でうつむいて奉仕する姿は茄子の花に似ているかもしれない。それを見て、マザー・テレサを連想したことに、ただ似ているというだけではない自分の中にあるマザー・テレサ的な生き方へのあこがれのようなものを、作者は感じ取っているのかもしれない。
 *今回の一連は、1997年にマザー・テレサが亡くなったことに心を寄せて作  られたのではないかと思う。(菅原)


           (当日意見)
★なすびってインド原産だそうです。(慧子)
★マザー・テレサ的なものへの憧れって菅原さんが書いていて、そうだなあとすご
 く思いました。(泉)
★とっても有名な女優さんで、今名前を思い出せないけど、そういう慈善活動して
 いる人の歌を松男さん作っていましたね。(鹿取)
★茄子の花が下向いて咲くのは、マザー・テレサの視線が下に向いているというこ
 とですね。貧しい人とか虐げられた人とか。そういう視線の人が気に掛かるのは
 作者も同じ指向をもっているからでしょう。(A・K)


          (後日意見)
 『泡宇宙の蛙』は1999年刊なので、なるほど菅原さんがお書きのように1997に亡くなったマザー・テレサが念頭にある一連なのだろう。
 ところで、鹿取の当日発言中の女優さんはヘップバーン、ユニセフの親善大使だった。同じ『泡宇宙の蛙』の何頁か先に出ている。(鹿取)
オードリー・ヘップバーンの耳年々に巨大になりてアフリカを覆う


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