シリアを巡って「心はモスクワ」だったはずのケリーは、昨日は目の下に大きなクマを作って、お、俺らはマジなんだぜだったかなんだったか、ヤクザ野郎みたいな口の利き方をしてモスクワを非難していた。何が起きたのだろう。ちょっとわからないけど、状況的にアメリカ不利に見えた。
さてそれはともかく、やっぱり今一番の問題はBrexitでしょう。この問題は主要メディアが、適当にあやすようにいい加減な路線で報道していたわけだけど、実際には実に実に大きな意味を持つ。そこに気付いた人々は多分後戻りしないのでは?
つまり、EUプロジェクトは常にいい加減なことを言いながらも、最後は政治統合を目指そうとしているわけでしょ。で、それをアメリカも良いと思ってる、と。なんでかというと、ドイツに属州の総督をやらせて、異常に残酷な総督だろうがなんだろうがとにかくそうしておけば一極支配にとっては楽だ、ってんでもともとCIAが手を突っ込みながら作っていった仕組みだった、と。
で、それは現在はNATOという存在にも役立つようになっているというのがポール・クレーグ・ロバーツの読み筋。アメリカの侵略のカバーを提供している、と。
どういうことかというと、アメリカが単独でイラクだのシリアだのに手を突っ込めばただのまごうかたなき侵略者になるわけだけど、欧州側がああでもないこうでもない話を作ってくることによって「国際社会」が求めるから攻撃するのだ、という恰好が作れるし、事実作ってるということ。
ウクライナの問題だって、冷静に考えれば、クリミアがウクライナかロシアかなんて、そんなのロシア系の人間たちが考えりゃいい話なわけで、勝手に手を突っ込んでいるのがアメリカだけならアメリカが批判の矢面になるけど、なんだかEUが、東欧諸国の過去の鬱憤や不安なんてのをネタにして話を作っていって、最終的に、国際法がどうしたこうしたというストーリーでやってる。
と、そういうわけで、そういう一極支配モデル(欧州でしばしば言うところのワンワールドオーダーと同義)にとって使い勝手のいいEUの屋台骨の一つであったブリッツが出るというのは、ただではすまない衝撃となるんじゃないか、という話。
欧州内でも既にEUを出たがってる国というのは国民レベルではあるわけですしね。どこもかしこも、主要な政治家たちが属州の総督の下っ端役人みたいな位置になってるからどこも振り切れないだけ。(主要メディアが一律にコントロールされているから、でもあるね)
■ 伝説の一本
と、ざっとそんなことを1時間にわたって説明していたのが、この間リンクしたポール・クレーグ・ロバーツとイギリスのジャーナリストとの対話。
Dr. Paul Craig Roberts 2016 : Vote BREXIT - End the EU, a CIA Covert Operation
これはほんとにまとまってていいインタビューだったなと前にも書いたけど、同様に思った人たちが英米世界に結構いるらしく、誰かが文字起こしして、それがあちこちに貼られている。時間があれば訳したいんだけど土日は予定が入ってるのでできない(泣)。悔しい、ってまぁ別にいいのか日本人が投票するわけじゃないし。あはは。
TMR 145 : Transcript : Dr. Paul Craig Roberts : Vote Brexit - End the EU, a CIA Covert Operation
http://themindrenewed.com/transcripts/894-int-109t
■ プリチャード、Leave投票を宣言
英telegraphの名物記者アンブローズ・エバンズ・プリチャード(AEP)は、何日か前に早々と、自分はLeave (EU離脱)を推薦すると宣言していた。
いろいろ目くらましになってるものを取り除いて考えればこの問題は一つの基本的な選択だということになる。この国の完全な主権を復活させるのか、それともスーパーナショナルな体制の下に生き続けるのかということだ。
そしてこのスーパーナショナル(超国家とでも)な体制は、欧州委員会に支配され、この欧州委員会を我々は意味のあるやり方で選んでおらず、英国民は彼らが誤りを犯し続けていても彼らを除外することができない。
Stripped of distractions, it comes down to an elemental choice: whether to restore the full self-government of this nation, or to continue living under a higher supranational regime, ruled by a European Council that we do not elect in any meaningful sense, and that the British people can never remove, even when it persists in error.
AEPのコラムのここがハイライトだろうと思う。そして、この、選んでもない奴を我々は排除できない、という意味は、多くの国の国民たちが今までに営々と積み上げて来た政治の仕組み-おそらくそれが民主主義というやつ-の行く末に非常に大きな意味を持つだろうと思う。
つまりね、議会こそ、議会を設置し、開いて庶民にもものを言わせる仕組みこそ、近代政治にとってのビッグ・ジャンプだったんだと思うわけですよ。そしてそこに立法権をもたせ、この法をみんなが守るという仕立てによって、王権は制約を受ける、と。制限選挙だろうがなんだろうが、まずこの仕組みの確立こそ問題だったってことでしょう。
フランス革命だって議会を開かない状態から開いた途端騒ぎになるわけだし、王政側からすれば議会は敵にも等しい。あ、日本の明治時代だって議会に権限をわたさないよういろんな仕組みをもたせてる。で、その大事な大事な議会を無効化しているのが、EUなのね。
ぶっちゃけ、欧州側はもうすっかり、究極のところで貴族体制に戻しちゃたも同然なんだよね。
議会を取り戻せ! なんですよ、マジで。議会の立法権こそ近代の政
さてしかし、どうなることやら。まだ分からない。
しかし、問題はこの投票の先の英国政治はどうなるの、ってところでしょう。保守党と労働党も割れてしまっているから、現在のキャメロンが降りても労働党に、ってことにはならないでしょう。UKIP(イギリス独立党)には仕切るほどのリソースはない。
Leaveが、50%じゃなくて60%ぐらいで勝ったら、保守党が大挙してEU離脱派に宗旨替えするとか? そのための布石としてのボリス・ジョンソンか? UKIP勢はエスタブリッシュメントからすればあまりにも革命的だから、セミ・エスタブリッシュメントみたいな人でまとめようとする、とか?
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こんばんわ
まず、ジョー・コックスさんが亡くなられた事は御気の毒様です、志半ばにして残念な事になってしまって、安らかにお休み下さい。世論誘導の為の○○でないか勘ぐってしまいそう。
もう次の枠組みに移って行く流れが止められないではないでしょうか?
日本も流れを見誤らない様に気をつけなければならないですね!