致道博物館。山形県鶴岡市家中新町。
2024年9月11日(水)。
重文・旧鶴岡警察署庁舎。
旧鶴岡警察署庁舎は初代県令三島通庸が、明治新政府の指導の下で新しい秩序を作り、庄内の近代化と復興を勧めるために建築したものである。欧化政策が積極的に進められた山形県の擬洋風建築を代表する建物の1つで、和風と洋風の要素を巧に融合させており、明治前期に各地の工匠によって建設された擬洋風建築の1つの到達点を示すものとして、高い価値をもっている。
旧鶴岡警察署庁舎は、1884年(明治17)11月、鶴岡市の馬場町に完成した。設計・施工は大工棟梁高橋兼吉があたった。
建物は、桁行18.2m、梁間12.9m、木造2階建て中2階建築面積238㎡延床面積378㎡高さ19mの木造2階建ての擬洋風建築で、入母屋造りの堂々たる外観を示している。
1階は署長室と事務室、中2階に留置室、2階には取調室があった。2階正面中央にはベランダを突出して設けている。
木造入母屋造りの建物は、屋根の大棟、破風妻飾りなどの在来様式に、ベランダや車寄せ、下見板張り。上げ下げ窓などの洋風建築を取り入れており、明治新政府の警察署としての威厳が感じられる。
1957年(昭和32年)に現在の致道博物館内に移築保存された。
2018年までに大規模な保存修理工事を行った。工事中の調査によって建物当初の姿とその後の変遷が明らかになった。取調室の復旧や外部の塗装色の復元(白→水色)が行われた。
御隠殿(ごいんでん)。
御隠殿は1863年(文久3年)に庄内藩の江戸中屋敷を解体して、その一部を鶴ヶ岡城三の丸の御用屋敷地に移築したもので、木材や瓦などは、江戸から西廻り航路で酒田へ、さらに川船を利用して鶴岡へ運ばれた。帰郷した九代藩主酒井忠発(ただあき)が隠居所とした。現在は玄関と奥の座敷(関雎堂)が残り、関雎堂からは酒井氏庭園を望むことができる。
建物内では、江戸時代の鶴ヶ岡城下の様子を紹介し、庄内地方で盛んに行なわれていた磯釣り関係の資料や旧庄内藩主酒井家に伝わる武具・調度品、歴代藩主の書画などを展示している。
酒井氏庭園は、御隠殿の北面に造られた築山泉水庭で。国の名勝に指定されている。築庭年代は不明だが、典型的な書院庭園とされる。
幕末の名将・酒井玄蕃(了恒、のりつね)。