マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『月光荘』を訪ねて(マレーシアレポート その4)

2012年03月15日 | 

 キャメロンハイランドに着いて、数日後に聞かされた話に「月光荘事件」があります。
 舞台はここキャメロンハイランド。時は昭和42年3月26日。タイのシルク王と呼ばれたアメリカ人の大富豪ジム・トンプソン氏の謎の失踪事件です。
 もともと、キャメロン高原は英国の植民地時代に切り開かた別荘地で、その一角のマラヤ山中の、密林の中の開けた台地に建てられたリン博士の建物が月光荘。バンコクで骨董品店を経営するマンスコー夫人とトンプソン氏は毎年のようにイースター前の休暇を、ここ月光荘で過ごすことを常としていた。
 事件当日の午前中、4人は揃ってピクニックに出掛け、コテージに帰宅して後は各自部屋で昼寝をしていたが、ティータイムになってもトンプソン氏は姿を見せず、忽然と姿を消してしまったという。
 以後マレーシア警察や在タイ米軍の懸命な大捜索にも拘らずトンプソン氏の行方は知れず、現在に至るも謎のままであると言う。
 当地マレーシアやアメリカではこの事件は大々的に報道され、多くの推測が乱れ飛んだそうですが、当然の事に日本とは別世界のミステリー、日本のマスコミに取り上げられることは全くなかったのです。しかし、作家松本清張は何故かこの事件に興味を抱き、現地取材を敢行した後「熱い絹」を執筆していました。



 この様な話を聞き、是非「月光荘」を訪ねてみたいとの希望を話すと、妹夫妻はそこへ案内してくれるとのこと。その結果2月4日(土)、妹夫妻・Kさん・私の4人は、タナ・ラタ→ブリンチャンの屋台で朝食→月光荘見学という計画を実行に移しました。(写真:丘に建つ月光荘)







 月光荘は、ブリンチャンから車道を山の中に入り込み、車道脇に密林を見ながらかなり進んだ丘の上にありました。ここからはブリンチャンの街が良く見渡せます。標高差にして200メートルはあるでしょうか。建物は予想していたほどの大きさはありません。以前は建物内部に自由に入れたそうですが、現在は鍵が掛けられていて、内部は覗き見ることしか出来ません。事件発生から40数年の歳月を経てもなお、しっかと立つ洋館を飽かず眺めました。(写真:月光荘玄関側)

 この事件を題材にした「失踪ーマラヤ山中に消えたタイシルク王」というすぐれたノンフィクションが存在するそうで、「熱い絹」より先にこちらを読んでみたいと思います。