10月7日(金)は美術展のハシゴをしました。日比谷の画廊で「清水史郎日本画展」を観た後、同じく日比谷にある「出光美術館」に足を延ばしました。家人がここの水曜会員になっているので、同伴者1名は無料と言う恩恵に浴します。出光美術館では、9月10日(土)~10月23日(日)まで、「日本の美・発見V大雅・蕪村・玉堂と仙-笑(わらい)のこころ」展が開催されています。
画展の構成は六章からなります。
第一章 笑いの古典ー瓢箪ころころ、鯰くねくね
第Ⅱ章 無邪気な咲(わら)いー大雅のおおらかさ
第Ⅲ章 呵呵大笑(かかたいしょう)ー幸せを招く笑いの型
第Ⅳ章 達観した笑いー玉堂の極み
第Ⅴ章 知的な嗤(わら)いー蕪村の余韻
第Ⅵ章 笑わせてちくりー仙さんの茶目っ気
タイトルの4人を一同に会し、笑いの差異を鑑賞下さいとの展示と、私は見ました。冒頭に4人の笑いの違いが、次の様に表現されていました。
池大雅(いけのたいが) 無邪気な咲(わら)い
与謝蕪村(よさぶそん) 知的な嗤い
浦上玉堂(うらがみぎょくどう) 達観した笑い
仙義梵(せんがい ぎぼん) 笑わせてちくり
絵を観るよりも書かれたコメントを熟読し、笑いの差異を理解しようと努めましたが、結局、咲い・嗤い・笑いの差異はよく分かりませんでした。ただ”咲い”と言うわらいもあることと、仙だけ何故か仙さんと、さん付けで呼ばれている事を不思議に思ったのでした。
4人とも江戸時代の、いわゆる文人画の代表的作家。文人画とは、中国では、官僚が屈折した心境を描き出した、余技としての画。官僚制度の無かった日本では、自在な水墨表現によって自由に自己を表出しました。その自由な創造力の源泉のひとつが、好奇心あふれる仲間との交遊で生じた「笑(わらい)」だったのだろうとの事。
特に印象に残ったのは重要文化財「十二ヵ月離合山水図屏風(右隻 池大雅)」と同じく重要文化財 「山水図屏風(左隻与謝蕪村)」です。画面の大きい屏風が私の好みです。
現在は、展示が変わるごとにこの美術館を訪れる機会に恵まれているわけですが、出光美術館の、重要文化財も含めて、作品の所蔵の多さに驚かされます。