徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

散歩道で拾った話…第二百四十八「オオベニタデ・ウモウケイトウ・ニラ・ランタナ」

2008-09-20 17:21:17 | 植物
 台風が去った後というのは、いつもはわりと爽やかな日になるような気がしますが、今日はど~んと蒸し暑くて、とても爽やかという陽気ではありません。
これから台風が来るんだよ…ってな感じ…そんな予報はないんですけどね…。

  

 さて…今日の最初の花は…多分…オオベニタデ…。
中洲の真ん中辺り…遠くから肉眼で見ても花の房が大きく見えるのと葉っぱの形から、オオベニタデだと思うのですが…違ってたらゴメンなさい。
御存知の方…御知らせくださいね。

  

 これは植え込み跡の私設花壇の花…ウモウケイトウ…。
散歩道では普通のケイトウよりも、小ぶりなウモウケイトウを良く見かけます。
ケイトウという花…それほど好きではないので…あまり気をつけて見ていないだけかもしれないですが…。

  

 散歩道のあちらこちらに…今…ニラが花盛り…。
何故か今年はdoveんちの庭にも1本咲いています…。
前に植えたのは消えてしまったのに…何処から来たのだろう…?

  

 こちらはオレンジのランタナ…これも私設花壇の花です…。
ランタナ…撮影に失敗しました…。
これは距離の問題じゃなくて腕の問題…だな…。

 川の土手には野生化したピンク&イエローのランタナが咲いていますが、このオレンジ&イエローもすぐに逃げ出して野生化することでしょう…。

  

 夕方になって少し過ごしやすくなってきたかな…。
散歩道を歩く人が増えてきました…。
土手のヒガンバナが満開…。
時々…道行く人が立ち止まって眺めています…。
昔は縁起の悪い花として忌み嫌われていましたが、今では園芸種が登場するほど…。

慣習も好みも…時とともに変わっていくもの…。
ヒガンバナのために…乾杯しましょうか…。







今日の一品…冬瓜のアジアンテイスト・カレースープ…dove風…。

2008-09-19 17:00:17 | 簡単手抜き料理
 昨日に続いて今日も雨が降っています。
川の勢いは増していますが、今のところ、まだ増水には至っていません。
最近の雨は降るとなったら一気に来るので…油断はできませんが…。

 今日のひと品は、冬瓜を使ったカレースープ…。
ナムプラーやココナッツを使ったアジアンテイストタイプ…。
doveんちにはタマリンドがないのでチャッツネで…酸味はあまりないけど…。
トマトが入ってるからいいやね…。

 冬瓜は煮物にしたり、中華にしたり、鶏出汁のスープにしたりしてきましたが、今回、カレースープにもなっちゃいました…。
もともと味が淡白だから、独特の青臭味さえ気にしなければ、違和感なくいろんな味が楽しめます。

 こんな料理が実際に…アジアの何処かにあるのかどうかは…知らないけど…。
アジア通の方…もし…何処かの国にあったら教えて下さいね…。

もし…このいい加減な無国籍料理のレシピが必要であればコメください…。

オリジナル・アジアンテイスト…冬瓜のカレースープ…dove風…お試しあれ…!



 

散歩道で拾った話…第二百四十七「ハートのタネ・自生ネムノキ・水色のツユクサ」

2008-09-18 17:44:44 | 植物
 温度計は26℃を示しているのに、湿度が高いせいでムッとします。
ここ三日ほど鼻の調子が悪いせいか…今日は少し頭痛気味…熱はありません…。
ブタクサが生え始めていますから、多分、いつもの花粉症でしょう。

 毎度ながらボケ画像ばかり御覧に入れて、大変申しわけないとは思うのだけれど、今日の画像は特にボケています…。
ゴメンね~!

   

 ハートマークのタネ…これはフウセンカズラのタネです…。
ちょっと採取するのが遅かったみたいだなぁ…。
何しろ…他人さまの土地に生えているものなので…いい加減捨てて置かれる段階までは触れないから…。
枯れてほかされている実を1~2個頂いてきました…。
もう少し若いものだと、ハートマークが白くて綺麗なんだけど…。
因みに熟してない種は濃い緑に白のハート…とても可愛いです…。

   

 中洲に自生するネムノキ…。
向こう岸だからdoveのデジカメじゃはっきり撮れません…。
雰囲気だけでも味わってくださいね~…。
本当は手前側のネムノキを撮りたかったんだけど…花が咲いてなかったんで…。

  

 ひだまりさんがUPしていたシロバナツユクサ…。
こちらでは稀少で一本でも見つかればいい方なんだけど、水色のツユクサならたくさん咲いています。
傍に普通のツユクサが咲いているので、色の薄さを実感して頂けるかも…。

  

こういう変種は同じ場所に固まるみたいで、他の場所ではあまり見かけません。
多分、遺伝的な問題なんだろうね…。

   

 これは上流側の造成地で撮ったものですが、昨年は下流側の植え込み跡にも咲いていました。
今年は見かけなかったけれど…また探してみますね…。

 明日も天気は荒れ模様…。
その後土日だから…当分散歩は御預けかもなぁ…。
げっ…火曜日も休日じゃないか…。

う~ん…カイツブリを探しに…行きたかったんだけど…。









 

散歩道で拾った話…第二百四十六「カイツブリ・お尻を振るバン・首を伸ばすササゴイ・歩くカワウ」

2008-09-17 19:03:19 | 生き物
 今日は出かけないつもりだったのですが、急に用事ができて上流側へ向かうことになったので、いつも通りに散歩を楽しむことにしました。
上流側の土手は、すでに草が復活し始めています…。
…が…中でも成長著しいのがヘクソカズラなので…ちょっとは遠慮して頂きたい思いが否めません…。
ヘクソカズラの実はしもやけやあかぎれの薬になるそうですが…できれば…使いたくないです…。

 この小さな鳥…手のひらサイズのカイツブリ…。
散歩道では初めての出会いです…。
残念ながら画像はこれ一枚…。

 

 カイツブリは潜るのが得意で…小魚を取って食します…。
水棲昆虫やヒシの実なども食べるそうです。
あっという間に潜水して、魚を追いながら何処かへ行ってしまいました…。
探すといっても、動きが俊敏な上に、最高で25秒も潜っていられるそうですから、とても太刀打ちできません…。
残念ですが…そのうちまた機会があるかも…。

 

 しばらく姿を見せなかったバンくん…ようやく姿を現しました…。
繁殖期に赤くなった嘴…今は普通の色に戻ってますね…。
この画像の尾っぽがぶれているのは、バンがお尻をピョコンピョコン上げ下げしているから…。
バンは、お尻を上下に振りながら歩いたり、泳いだりします。

 

 カルガモの向こうで首を伸ばしているのは…ササゴイくんです…。
このところさらに下流に移動して行ったようで、あまり会えなくなりました。
ササゴイやゴイサギは、首を伸ばすとまったく別の鳥に見えて、動きを観察するのが面白いです。

 

 水の中であれほど動きの早いカワウも、浅瀬を歩くとなるとヨチヨチ歩き…。
カワウが移動する時には泳ぐか飛ぶかすることが多いのですが、なぜか歩いて移動中…。
浅いから泳げないのは分かるけど…何で飛ばないんだろ…?

 そうそう…この川の上流側…カイツブリが居たところにはオイカワがたくさん居るそうです…。
上流側の川沿いに御住いの方に伺いました。
オイカワにはハヤとかシラハエという呼び名もあります。
銀色がかった青色や薄桃色に輝く綺麗な魚…。
清流を好む魚です。

 オイカワは渓流釣りの対象魚にもなり、食用としても塩焼きや素焼きにして甘露煮に炊いたものが美味しいです。
子供の頃…亡くなった親父と…よく釣りにいきました。

久々に耳にした…懐かしい名前でした…。







散歩道で拾った話…第二百四十五「中洲の木々・白いコイ・ニシキゴイ・ヒガンバナ」

2008-09-16 17:52:00 | 生き物
 散歩道の川は散歩道よりかなり低い位置にあります。
下流へ向かえば向かうほど護岸壁も高くなるので、道路と川面の落差が大きくなります。

 

 ここは下流側…いつものコースより橋ふたつ下ったところ…。
画像で見ると手前側に大きく土手の草が写っているため、一見、背の高い草の中を小さな川が流れているように見えますが、向こう側の中洲の木々はどれもdoveの二倍を軽く超えます。
ひょっとしたら…三倍近い木もあるんじゃないかな…。

 

 散歩道が高い位置にあるため、土手の上から覗くと、ミニチュアの世界を眺めているような気がします。
コンクリートの壁と自然が作り出した不思議な世界です…。

 

 ゴミさえなければ、なかなか素敵な眺望なので、何度見ても飽きることはありません。
いつものようにぼんやり眺めていたら、なんとニシキゴイを発見しました。
純白と紅白…。
毎度のことながら…遠いのでボケ画像ばかりで申しわけない…。

 

 普段この川で見かけるのは、ゴールド・漆黒・黒っぽいグレー・濃い黄土色・赤っぽいグレーなど…で、ゴールドと漆黒を除けば、決して艶やかな色とは言い難い普通の野鯉色です…。

 

 この川の鯉の中には、川が整備された時に放流されたもの、或いは、その子孫がたくさん居るそうですが、これほどはっきりした色の鯉は上流側では見たことがありません。
後から放流されたコイなのかなぁ…。

 

 土手の草刈りが終わったばかりにも関わらず、なんと、ヒガンバナがあっという間に成長して花を咲かせました。
あまりの期間の短さに近所の御婦人もびっくりしておられました。
まだ…一週間経ってないと思うけど…。

何だか…猛スピードで…秋がやってきています…。
涼しくないのに…。










散歩道で拾った話…第二百四十四「テイカカズラ再び・イタドリ・この花は何…?(ルリヤナギ)」

2008-09-15 16:46:16 | 植物
 あ~ぁ…やってしまいました…。
午後からアイロンがけをしていたのですが、カッター3枚と制服2枚、ようやく終わって立ち上がったら腰が伸びません…。
作業の間はギクリともしなかったのに…いつの間に傷めたんだろ…?

 幸いなことにひどくはないので動くことはできます…。
けれどやっぱり…動くたびにいや~な感じ…きやっと痛いし…。
例年正月辺りに、二年に一度くらいの周期でやってくるのですが、今年は免れたと思っていたのに…。
今頃になって律儀に来なくてもいいんだけどなぁ…。

   

    

 さて…今年は秋になっても暑いせいか…テイカカズラがまた咲き始めました…。
テイカカズラは5月から6月辺りに咲く花で、その頃に一度UPしています…。
花期に咲くと辺りには甘いアマチャに似た香りが辺りに漂いますが、今咲いている花は少しばかり香りも抑え気味…。
それでも花自体は変わらず綺麗です…。

   

 散歩道にたくさん生えるイタドリの花…。
土手の草が刈られる前に何とか撮影できました。
地味な生成り色の小さな花は、それほど眼を惹きませんが、ひとつひとつはとても可愛らしい花です。

   

     

 橋ふたつ向こうの土手にたくさん咲いていたこの花…何という花でしょう…?
素敵な薄紫の花…園芸種のように思えるのですが…。
ツルハナナスによく似ていますが、ツルハナナスのようには花びらが反り返っていません…。
ほとんど全部の花が川の方向に向いているので、花の正面からの画像は撮ることができませんでした…。
御存知の方…是非教えてください…。

 午後から雨が降りだしました…。
少しは涼しくなるかなぁ…。
風呂で温めると楽なんですが…暑い時に腰を温めるというのも…つらいものがありますよね…。
今のところ症状が軽いから…明日には治まってるといいんだけど…。




上記の困ったチャンは、らっこさんの御協力により、ルリヤナギ(リュウキュウヤナギ)と分かりました…。
南米産のナス科の植物です。

らっこさん…ありがとう…!





散歩道で拾った話…第二百四十三「ヒヨドリ・キジバト・ツグミorムクドリ?・カルガモ」

2008-09-14 17:04:17 | 生き物
 夜中…雨音がしていたので、少し降ったのではないかと思いますが、朝にはその気配もありませんでした…。
今日も相変わらず暑い日になっています…。
庭の草を抜いた時に残しておいたイワヒバがカラカラ…。
ちょっと可哀想かなぁ…。

 今日の画像は今までにも何度かUPしている野鳥ばかりなので…もう飽きた…って方はスルーしてくださいね…。
撮ってるdoveの自己満足…可愛いんだ…。




 散歩道の鳥たちの中で最も良く見かける鳥のひとつ…ヒヨドリ…。
ヒヨドリはスマートなんだけど…この子はなんだかふっくらふわふわしていますね…。
幼鳥…だろうか…?




 つがいで歩いていたキジバト…。
一緒に居るところを撮れなくて残念…植え込みの低木が邪魔をしていました…。
キジバトのつがいはとても仲が良く、時々、ピッタリと寄り添っています…。



 この子は…はっきりとは分からないんですが…ムクドリかツグミだと思います…。
ムクドリは脚の色がもっとオレンジっぽいような気もするのですが…何しろ暗い木の陰なので色が良く判別できないんです…。

 群れでエノキの実を食べに来ていましたが…今年はエノキの実がみんな黒く傷んでいます…。
たくさん生っているわりには…食べられる実が少なくて可哀想だなぁ…。
去年は良い実が多くて…甘さも抜群だったんですが…。
因みに…エノキの実の味は干し柿に似ています…。



 このカルガモ…片方の翼が折れ曲がっているように見えます…。
怪我をしたのか…もともと畸形なのか…事情は良く分かりません…。
再度、様子を見に行った時には、すでにこの場所には居ませんでした。
移動できるくらいだから…元気は元気なんでしょうが…ちょっと気になります…。

 スーパーの中は冷房の効き過ぎで寒いくらいなので、毎度、おでんダネに眼が行くのですが、まだまだ外は暑くて…。
冷房かけながら、熱々おでんを食べるというのも…なんだかなぁ…です…。



続・現世太極伝(第百三十八話 刹那の選択 )

2008-09-13 23:54:23 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 急ごしらえの小さな白い祭壇の上から微笑みかける輝…。
西沢はひとり…ぼんやりと遺影の前に座っている…。
少し前に…滝川とノエルが最後の弔問客を見送りに出ていった…。

 喪主を務めた立場を考えれば…西沢が自ら送りに出てしかるべきなのだが…報道関係が煩くて外には出られない…。
西沢の代理人である相庭や玲人が巧く応対してくれてはいるけれど…顔を見せればそれなりに相手をせざるを得なくなる…。
弔問客には丁重に御詫びして…滝川が見送りの役を担った…。

 本来なら…輝の実兄克彦か…幼い絢人の代わりに絢人の父親であるノエルが喪主に立つのが筋なのだろう…。
けれども…妹を不憫に思う克彦が何気なく漏らしたひと言で…西沢が輝の夫として葬儀を仕切ることになった…。

どうしたって夫婦にはなれない…と…分かっているのに…馬鹿ねぇ…私も…。
それでも…同じ屋根の下に暮らすことを望んでしまったわ…。
今となっては…ただの…同居人…なのにね…。

引越しが決まった時…輝はそう言って笑ったというのだ…。
ふたりの結婚に半ば否定的だった克彦にすれば…思い出すたびに胸に棘を刺すような笑顔だった…。

同居人…だなんて…輝は歴とした僕の家族なのに…。
その話を聞いた端は…西沢もそう憤慨したが…すぐに思い直した…。
輝が本当に望んでいたこと…そして…諦めたもの…。
それは同時に…西沢が望んで得られなかったもの…だと気付いたから…。

 そういう経緯もあって葬儀は大事にはせず、身内と仲間だけで秘かに行うはずだったのに、何処から洩れたのか、今を時めく西沢の妻の葬儀である…という誤った情報を聞きつけて報道合戦が始まってしまったのだ…。
誤解だ…と言って言えないことではないが…ただ…沈黙を守った…。
明日になれば西沢は…最愛の妻を失った悲劇の夫…ということになっているだろう…。

何とでも言ってくれ…。
否定する気も起こりゃしない…。
まるで…気の抜けたビール…だ…。

どうしようもない脱力感に見舞われながら…西沢はただ…動かない輝の笑顔を見つめている…。

本当に…意地悪だなぁ…きみは…。
何にも言ってくれないのか…。

言えよ…いつものように…。
奥さんの肩書き…奪ってあげたわ…って…。

今さらなんだよ…何時だってプロポーズしてたじゃないかよ…。
すげなくふったのは…きみの方だぞ…。

子供は欲しくない…そう言ったのもきみだったんだ…。
僕は望んでた…。

けど…諦めた…。
失うよりは…そのままでいた方がいいんだ…と…。

「子供たち…はしゃぎ疲れて寝ちゃったよ…。
ケントは不安そうだったから…すぐ起きるかもしれないけど…。 」

子供部屋から戻って来た亮が、西沢に声をかけた。
弔問客の応対でバタバタしている間…子供たちの相手を買って出てくれていた…。

「紫苑…いったい…何があったの…?
輝さんほどの能力者が…何故こんなことに…? 」

仕事の都合で通夜に出られなかった亮は、まだ、ことの経緯をはっきりとは聞いていなかった…。

「何故…と言われても…僕等にも納得できる答えがないんだ…。 」

溜息混じりに西沢が答えた…。
これで元恋人を失うのは二度目…さすがに応えたのか…力のない声で…。



 それはあまりに突然で…西沢たちが輝の身に何が起こったのかを理解するまでに…かなりの時を要した…。
葬儀を終えた今でさえ…悪夢を見ているとしか思えないような出来事だった…。

「嘘でしょ…! そいつが能力者じゃない…なんて…? 」

 輝にとって降って湧いたような不幸…の経緯を聞いて亮は驚きを隠せなかった…。
島田一族の中でも指折りの能力者である輝が、ごく普通の人間の手にかかるなど、どう考えても解せなかった…。

「相手が普通の人間だったから…気付けなかったんだよ…。
輝は…そいつに狙われていたわけじゃなくて…突発的な事件に巻き込まれただけなんだ…。
警戒もしてなかったと思う…。 」

口惜しげに西沢が答えた…。

「あんなに…読みの力に優れた人なのに…どうして…?
あの場で何人もが犠牲になってるってのに…? 」

とても信じられないと亮は思った…。

「出会い頭…運悪くすれ違いざまの…最初のひとり…だったらしい…。
それに…輝の御腹にはふたりめが居たから…いつもより感度が鈍っていたのかもしれない…。
妊婦には時々…そういう現象が起こるんだ…。
逆に…鋭くなるタイプの人も居るけど…。 」

輝さん…なんて不運な…悪条件が重なったんだな…。
遣り切れない溜息が亮の唇から漏れて出た…。

「やれやれ…ようやく…外の連中も引き上げたみたいだ…。
以前なら…取材ったって記者ひとりふたり来りゃぁいい方だったのになぁ…。
ドラマの影響は怖ろしいぜ…。 」

喪主の西沢に代わって朝からあれやこれやで動きっぱなしの滝川が、さすがに疲れた顔をして戻って来た…。

「ノエルは…? 」

西沢が心配そうに開け放された襖の向こうへと眼をやった。

「キッチン…。 コーヒーを淹れてる…。 
僕が淹れると言ったんだが…大丈夫だって聞かんもので…。 」

滝川の後を追うように…芳しい香りが座敷の方まで漂ってきた…。
微かにバラの香りを含んで…。

ほどなく…小型のワゴンを転がしながらノエルが姿を現した…。
誰に声をかけるでもなく…ノエルは乗せてあるカップの中からひとつだけ取り上げると…ゆっくり祭壇の方へ向かった…。

「あんまり上手に淹れられなかったけど…ゴメンね…輝さん…。 」

そう言って…ノエルは花柄のカップを…輝の遺影の前に置いた…。
輝の好きなバラの紅茶…が白い湯気を立てていた…。

 ノエルが輝にそう語りかけている間に、亮がワゴンの上のコーヒーサーバーを取り上げてそれぞれのカップになみなみとコーヒーを注いだ。
ちょっとやそっとの量じゃ全然満足できない…とでもいうように…。

 輝は…西沢の元恋人というだけではなく…ノエルにとっても絢人を産んでくれた大切な女性…西沢以上にショックを受けているかもしれない…。
表情からは測りかねたが…亮にはそんなふうに感じられた…。

このところのノエルは…紫苑の嫁さんというより…輝さんの若い連れ合い…って雰囲気だったもんなぁ…。

「ノエル…何だか…顔色悪いよ…。
熱でもあるんじゃないか…? 」

先に西沢と滝川にカップを渡した後で、遺影の前のノエルにも手渡してやりながら気遣うように言った。
うぅん…と首を横に振って…ノエルは軽く笑みを浮かべた…。
その思わせぶりな笑顔に…亮は当惑した…。

「あぁ…そうか…亮くん…まだ知らなかったんだね…。
ノエルの御腹ん中には…輝の赤ちゃんが居るんだよ…。
あのままにしておいたら、到底、助からないんで、急遽、ノエルの子宮に移動させたんだ…。 」

どう捉えていいか分からなくて怪訝そうにしていた亮に、滝川が横から信じられないようなことを言い出した。
一か八かの賭けだった…と…。

「ノエルの子宮も…エリクを産んですぐに機能停止してたしね…。
下手すりゃぁ…ノエルの命にも関わることだから…すごく迷ったんだけれども…。

 連絡を受けて僕等が駆けつけた時には…輝はとうに亡くなってた…。
おそらくは…紫苑が…輝に何かあったと気付いた時点でもういけなかったんだと思う…。
当然…御腹の赤ちゃんも一緒に駄目になってるはずだった…。 」

それがさぁ…とノエルが引き継いだ…。

「輝さんの中で太極の気配がするって…突然…紫苑さんが言い出したんだ…。
で…探ってみたらさぁ…この子が…太極の光に包まれてちゃんと生きてた…。 」

普段より少し大きめの御腹をノエルはそっと擦った。

「だけど…大丈夫なの…先生…?
ノエルの子宮はもう…。 」

そう言いながら亮は…ノエルの御腹に…心配そうな眼を向けた…。

「止めたんだ…。 僕も…紫苑も…危険だから…って…ね…。
けど…助けられるかもしれない命を見捨てられない…とノエルが言うもんだから…。 」

輝の…最後のメッセージだから…と…。

 最初は産科医に相談するべきだと考えた…。
しかし…輝の死亡を確認した医師は…胎児の死亡をもちゃんと確認したのだ…。
今…再び医師を呼んでも…同じ診断が下る可能性の方が強い…。
胎児の生命反応はそれほど微弱で…治療師の能力で辛うじて捉えられるくらいのものだった…。
このままだと遠からず…灯は消える…。

 ノエルの強い決意を知って、それ以上は反対することもできず、西沢と滝川は胎児を移動させる方法を模索した…。
これまでに幾度もノエルの赤ちゃんを取り上げた智哉に、何か良い方法はないかと訊ねてはみたものの、さすがの智哉にも其処までの知識はなかった…。

宗主の内室…北殿なら…。

 そう思いついた西沢は、添田を通じて北殿に伺いを立ててみた…。
北殿は…家門の奥儀だから…という理由で、西沢たちにその方法を伝えることはしなかったが、わざわざ病院まで出向いて、ノエルの子宮に胎児を移動させてくれた…。

返事を貰ってから…北殿が到着するまでの時間が…どれほど長く感じられたか…。

「今のところ…何とか無事なんだけど…何時どうなるかは分からない…。
何しろ…六ヶ月にもなってたんで…自力での準備がまったくできていないノエルの子宮が耐えられるかどうか…。 」

すべては…運次第さ…。

そう言って滝川は肩を竦めた…。

滝川の言葉が途切れると…それまで黙っていた西沢が大きな溜息をついた…。

「どうして…もっと強く…反対しなかったんだろう…。
ノエルにつらい思いをさせるだけだと…分かっていたのに…。 」

相変わらずの…大馬鹿だ…と…自らを貶した。

 滝川にしても、ノエルの意思を変えられなかったことについては、後悔の念を禁じえない…。
胎児の命は大切だけれど…だからと言って…ノエルの命を危険に晒すようなことをしていいものだろうか…。
治療師としては…断固止めるべきでは…なかっただろうか…。

 あの場でも…西沢と滝川は繰り返し話し合い…ノエルに思いとどまるように何度も勧めた…。
このまま胎児が助からなければ…ノエルはつらい思いをしただけ無駄だったということになる…。
ひょっとしたら…ノエル自身も…無事では済まないかもしれない…。

 命の重みは比べようもないけれど、能力者でなければ…他人の胎児を受け継いで自分の胎内で育てる…など有り得ない選択…。
普通なら輝の死とともに胎児の命もとうに消えてしまっている…。
太極の光に護られている御蔭でなんとか命を保っているだけで…誰も気付かなければそれすらも時間の問題だったはず…。

 それなのに…止められなかった…。
ノエルの状態が必ずしも良好でないのは一目瞭然…。
刹那の判断の重さが…今になってふたりに圧し掛かる…。

西沢も滝川も…もし犠牲になるのが自分の身体であれば…ノエルと同じ選択をしたに相違ないのだが…。






次回へ…。

散歩道で拾った話…第二百四十二「橋の下のフヨウ・今年最初のアキノノゲシ・ポーチュラカいろいろ」

2008-09-12 17:52:00 | 植物
 散歩道の川の中洲には、そこが川の中だとは思えないほど大きな樹も生えています。
散歩道からは護岸壁の上から下の景色を眺めることになるので、あたかも小さな林の中を細い川が流れているかのように見える場所もあります。
面白い光景です…。
それがすべて…増水時には川に沈んでしまうのですから…。

 

 これは橋の下のフヨウ…。
下といっても真下からではなく少しばかりずれたところから生えていますが…。
フヨウは上流側下流側を問わず、川のあちらこちらの中洲で花を咲かせています。
中洲の土が肥えているのか、手入れをされているわけでもないのに、花も大きく色も綺麗です。

  

 こちらは初咲きのアキノノゲシ…。
中洲の遠い位置にあるので画像が鮮明でなくて申しわけないです…。
春のうちから葉を出して十分に大きく育ったところで花を咲かせ始めます。
強い花なので刈られた後でも再び葉を出して育ちますから、土手に新しく花が咲いたらまた、鮮明な画像を手に入れてきますね。

  

  

    

 最初の画像は橋の隅っこに溜まった僅かな土のところで咲いていたポーチュラカ…後は植え込み跡の私設花壇の花です…。
いろんな色があって眺めていると楽しい花ですね。

 

 9月も半ば…だけれど…今日も室内30℃を超えました…。
散歩道は秋の気配に満ち満ちているというのに…揚げ物調理には冷房…就寝時には扇風機の手放せないdoveです…。
あ~ぁ…暑いわい…。





散歩道で拾った話…第二百四十一「コスモス・ススキ・中洲に佇む美女(槿)…?」

2008-09-11 18:00:40 | 植物
 それほど過ごし難い日ではありませんが…今日も暑いです…。
ひと頃のようにジリジリと肌に焼きつくような感じはありませんが、それでもTシャツの袖をたくし上げたむき出しの肩には暑さがしみます…。



 土手の草がまだ残っている下流側の、いつもよりさらに橋ふたつ向こうまで行ってみました。
見つけたのはコスモス…。
自生種ではなくて植え込み跡の私設花壇の花です。
コスモスの季節なんですね…。

 この画像…もう少しおとなしやかにするつもりだったのですが、コスモスの左側の道に四角い白の道路標示が大きく塗られてあって、それがものすごく邪魔…。
カットしたのでコスモスがどアップになってしまいました…。



 残っている土手の草の中に…ススキを発見…。
つやつやの…まだ若いススキです…。
これを見ると…秋なんだ…って気がしますなぁ…。

そこかしこにハギの花…たくさんのトンボが川の上を飛び交っています…。



そうそう…中洲の際に麗しき乙女を見つけました…。



増水で削られた中洲の土の上に…凛と咲くムクゲ…。
夏の盛りの満開のムクゲも綺麗だけど…これもなかなかの風情じゃありませんか…?