吉野家の新カレー、風味自体は「ボンカレー」の時代に後戻りしたようなクラシックなものですが、味わいの下支えはかすかな和ダシや醤油でしょうか、その分動物性の油脂やエキスに頼りすぎる事なくソリッドな仕上がりです。濃度だけでなく味にも余分なモッタリ感が無い分、ジャパンクラシックな配合のスパイスが華やかに香ります。そしてこの引き算のカレーが牛丼の良いところを打ち消す事なく存分に引き立てます。
個人的に吉野家の魅力の本質は「粋」なカッコ良さにあると思っています。吉野家の牛丼そのものの味は昔も今もどの競合チェーンより粋だと感じますが、メニュー構成や商品展開に関しては、客層や利用動機の間口を広げて他社と競い合っていかなければならないという圧のなかで、かつてあったシンプルな粋が薄れている気がするのは正直なところです。しかしその中でこの新カレー、久々に吉野家らしい粋を感じました。とにかくカッコいい味です。