大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒が自殺した問題を巡り、関係ない人を、いじめをしたとされる同級生の親族などとする誤った情報がインターネット上で氾濫し、県警が名誉毀損(きそん)容疑などで捜査を始めた。8月上旬には、タレントのデヴィ夫人のブログに顔写真を無断掲載され、同級生の母親と誤解されたとして、兵庫県内の女性が損害賠償などを求めて神戸地裁伊丹支部に提訴した。ネットに一度書き込めば消しても、その前の情報がコピーされ無限に広がる危うさがある。
県警などによると、栗東市内の病院に勤務する60代の男性は7月上旬、インターネット上で、いじめをしたとされる同級生の祖父と名指しされ、ネット掲示板に写真と経歴を書き込まれた。
「人殺しの親族を勤務させるのか」「責任はどうなっているのか」-。こうした苦情の電話や無言電話が職場に殺到し、同月7日から9日までの3日間で計約300件あり、職場の電話回線は一時パンク状態になった。その後もしばらく、男性に対するこうした電話は鳴り続けたという。
「貴女の顔に濃硫酸をぶっかける」。大津市内の女性(65)宅には7月19日、こうかかれた封書が届いた。女性は、加害者の同級生の母親としてネット上に名前があがった。だが、同級生の母親とは、姓名のうち名字が同じというだけで、下の名前は違っており、全くの別人。デヴィ夫人のブログにはこの大津市の女性の姓名が書き込まれていたが、掲載された顔写真は兵庫県の女性のものだった。
病院勤務の男性と、大津市の女性はいずれも滋賀県警に被害届を提出し、県警が名誉毀損や脅迫の疑いで捜査している。
インターネット上では、一度書き込みなどをすれば、その情報がコピーアンドペースト(複写と貼り付け)され、瞬く間に広がる。書き込みを削除したり、訂正したりしても、すでに複写されていれば、間違った内容であっても、そのまま拡散し、その情報は全世界が共有できる。書き込みは匿名が多く、あやふやな情報であっても、一度ネット上に情報が乗れば、再生産される仕組みがある。
県警の捜査関係者は「ネットは発信も拡散も手軽。誤情報も一瞬で広がり恐ろしい」といい、ネット社会の危うさを指摘している。
【GAEA JAPAN】広田さくら vs つぼ原人 2003年2月11日 東京・後楽園ホール