橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

坂本龍一「Playing The Piano 2009 」

2009-09-26 17:12:58 | Weblog
帰宅してメールを開いたら、iTuneからのお知らせ。
坂本龍一の「Playing the piano2009 Japan fan's selections」の
リリースを知らせるメールが届いていた。
YMO時代から最近の曲まで(ほぼ30年!)、
ピアノで演奏したものの中から人気投票で選んだベスト版だ。
何気なく開いて試聴したら涙が出た。

実家の居間に寝転んで、
ラジカセから流れる曲を聴いている高校生の自分が見えた。
土曜日の誰にも邪魔されない昼下がり。
80年代前半、バブルがやってくるちょっと前(歳がバレるね)。
まだ世の中は、不景気と言われるカテゴリーのはずだったのに
その当時の曲は、なぜか、軽やかでキラキラしていた。

東京がTOKIOと呼ばれ、スーパーシティになったのが80年。
日本が高度成長期を経て、オイルショックも切り抜け
次のステップに向かう先触れみたいなものを
どこかで感じていたのだろうか。

うまく説明できないが、当時の曲には、
未来に向かって開いている感じの曲が多い(主観だけど)。
70年代の、まだクラシックな風情が残る日本から、
次の時代に向けて、軽やかな風が吹き抜けているような感じ。
(今考えれば、当時の日本はただの怖いもの知らず、若木の至り
  地獄への入り口だったのかもしれないが・・・とほほ)

ユーミンの「パールピアス」のジャケットはペパーミントグリーンで
ライナーノーツのイラストは安西水丸で、という、そんな時代だった。
ナイアガラトライアングルの音がそこここで聞こえていた。

そんな時代のそんな曲たちの中に、都会を見つけ、憧れている田舎の少女に
またそれとは別な軽やかさを見せてくれたのが、
坂本龍一の音楽だった。

このPLAYING PIANO2009にも入っている「セルフポートレート」は
1984年リリースの「音楽図鑑」に収録されている。
上記の、土曜の昼下がりの私は、ラジオのFMから流れるこの曲を聴いている。
私は、この曲に「なつかしい未来」という別名をつけていた。

そして、私は、その曲を聴きながら、こんな詩のようなものを書いている。

  <Self Portrait~なつかしい未来~>

   孤独なんだか 元気なんだか
   楽しいんだか 寂しいんだか

       なんだか

   お別れみたいな気もするし
   はじめて会った気もするし

      けっして戯れず

   未来をみつめるということは
   孤独であるということかな

   写真の中でぼくらは笑っている


これだと「セルフポートレート」ではなくて、
「グループ写真」だったりするのだが、
そこは、なんとなくこの曲から受けたイメージを書いただけなので
いいかげんですね。
なんでこういうイメージ抱いたかはわからないけど、
興味のある人は聴いてみてください。

教授の曲の中では「音楽」という曲(このアルバムには入ってないけど)や
「パースペクティブ」なんかが、
私の中では、この「セルフポートレート」と同じカテゴリーに入っている。

共通点は、日常のリリカル。

日々の生活や自分のまわりの世の中には、いろんな音符♪が踊っている、
跳ねている、揺れている、震えている・・そんなことを感じさせてくれた曲。
言葉とは違う表現手段がある、もとい、
音符一つ一つにも思いがあるということに
気づかせてくれたのがこれらの曲たちだった。
例えば、マグカップ、例えば、白いシーツなどなど、
じっとして動かないモノ、もの言わぬモノもたくさんの音符♪の集積で
できていて、何かの刺激があると飛び出して音楽を奏でる。
そんなイメージ。

そんなリリカルな音の玉たち、
いろんな色のカラフルな音符たちが集まって、
今の自分を形作っている。

そして、今、スピーカーから流れてくるピアノの音が、
私の中のいろんな色の音符を刺激して、
なつかしい未来を、昔の自分を、今の自分を、
未来の自分の姿を浮かび上がらせる。
かろやかな風吹く、やさしい未来。

時代がいくらデジタル化しようと、
緑の木漏れ日の下で、名前をつけたノートブックPCを開いて
のんきに鼻歌歌っていたい。
電子だって、自然の一部だ。

今、これらの曲を聴いてこんなことを考えるのは、
日本に、新しい時代に向けて風が通る穴があいたからかもしれない。
灰色の未来につながりそうなものには耳を傾けたくない。
やっと緑色の未来に繋がる道が見え始めたところだ。
心のアンテナの感度を高めて、なつかしい未来をキャッチしたい。

これを書いている今は、
あれから25年後の土曜の昼下がり。
青空の下、ベランダでは洗濯機が回っている(うちは洗濯機が外なのだ)。
9月にはめずらしいいい陽気で、さっきガリガリ君を食べたとこ。
洗濯物干したら、アルバム本体を買いに行こ。

今、ふと思ったが、25年前はまだ、
歌の歌詞の中に、都会の緑が結構登場していたかな。
東京がまだ、松本隆のいう「風街」だったのかな。
私は、それにあこがれてここにやって来たのにな・・。
そんな東京になったらいいな。

実は、昨日、某港区のTSUYAに行ったのだが、
発売日3日目だというのに、
「Playing the piano2009」置いてなかった!

ちなみに、昨日発売の橋本治の新刊「明日は昨日の風が吹く」
も近所の本屋どこにも置いてなかった。
いいものをちゃんと仕入れようね!







八ッ場ダム 

2009-09-26 03:59:25 | Weblog
八ッ場ダム報道については、ちょっとため息がでる。
テレビを見る限り、住民の中止反対を訴える声ばかりが
報道されている。
ダム中止によるコストは、継続した場合より大きいとか
治水には必要だとか。
まるで建設に反対し、中止を喜ぶ声は全く無いかのようだ。
そして、50年間国に翻弄された住民は、
また翻弄される事になるのかといって、前原国交相を責める。
確かに、住民が翻弄されているというのは事実だけど
そこでダムを造っちゃうという事は、
やり逃げした自民党政権の逃げ得じゃないか。
責められるべきは民主党政権なんじゃなくて
50年間も、反対する住民をねちこく責めて、
嫌な思いをいっぱいさせて、なんとか賛成に転じさせた
自民党政権ではないか。
このダム計画に群がった族議員たちだけがいい思いをして、
犠牲になるのは結局住民たちだ。

ダムは治水に必要と国交省は言うが、
本当に役人の出すデータが正しいかどうかは
どこのニュース見てもわからない。
それに、基本的に、もう巨大コンクリートダムの時代じゃないんだ。
前原国交相だって「緑のダム」と言っている。
これからの治水対策は、森の保水力を高めることを中心に行うべきだ。
コンクリートのダムを造る事で、川につながる自然を破壊し
それがいかに災害を生んで来たかも考えるべきだ。

それに壊すにもコストがかかると言うが、
それは反対側から見れば、
ダム建設中止で仕事を失う土木業者が「壊す」という新しい仕事を
得るってことでもあるんじゃないの???
それに、土建屋さんには、緑の治水事業という
新たな仕事をやってもらえばいいじゃない。
ノウハウがないなら勉強してもらえばいいじゃない。
そのくらいの努力はしてもらってもいいでしょう。
ダムに比べたら事業規模は小さいのかもしれないが
多分、そうした緑の治水事業に、都会の大手ゼネコンは
必要ないはずだ。地元の業者を下請け、孫請けに使う
大手ゼネコンにはここでご退場いただいて、
地元の土木業者が直接、治水事業を請け負えるようにするべきだ。
はあ~、一気に言ったら息が切れた。
(あ、今言ったような事、朝生TVで上杉隆が言ってる)

もとい、民主党がやるべきことは
緑の公共事業で、村に仕事は行きますよという話をして、
それで生まれる、自然豊かな村の姿を想像してもらって
住民を説得する事だ。
八ッ場ダム周辺を緑の象徴として、ダムをやめた勇気ある村として
今後の日本の田舎のあり方のモデルになるよう応援する事だ。

あなたは当事者ではないから言える事だと批判されるかもしれないが、
このダムが完成してしまうという事は、影でかつての自民党の族議員が
ほくそ笑むことではないのだろうか。そんな憎たらしいものを
保証金と引き換えでのうのうと作らせていいのだろうか。
そんな過去の遺物、負の遺産はぶちこわして、
新しい道を選び、そちら側から利益を得ることのほうが、
これから日本がいろいろな面で変わっていかなければいけない中で、
プラスに作用するのではないかと思う。
中止に反対してる住民のみなさん。
一度でいいですから、前原さんの話に耳を傾けてみてください。


最初、報道の批判していたのに、逸れてしまったので
最後にちょっと戻すとするか。

将来の世の中のビジョンの全くない、現在の報道は
まさに古い自民党体質だ。
発言の揚げ足をとっては、ワイワイ言ってる。
政権交代した今、
もはやメディアは、自分たちが今まで、古い体質を引きずってると
見下していた政治家よりも古い体質に蝕まれてる。
民主党の議員のほうがよっぽど先を見ている(違う人もいるようですが)。
おまいら遅れてんだから、ちょっと政府の言う事を一回じっくり聞いてみろ。
それから、文句をつけるべきところは文句をつける。
そうしないと、メディアは国民からも見放されるぞー。

同じようなイライラを抱えてる方は、以下のブログをどうぞ。

「保坂展人のどこどこ日記」
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7eaba4bbf3409d6bf7151d9501304ff2