橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

謎。英語公用語化した楽天の社内はどうなってんの?

2010-08-22 20:16:13 | 国内情勢
鳩山前総理がゲストというので、神保哲生さんとこのビデオニュースマル激トークオンデマンドを見ていたら、そのニュースコメントの余談として、こんな話をしていた。鳩山さんの話は別で書くとして、この話もメモっときたい。

楽天の英語公用語化のこぼれ話だ。

先日行われた第2四半期の決算発表の会場での事。
取材記者が、エレベーターで会場に案内してもらっていた時、案内してくれた楽天社員に、記者が日本語で話しかけたところ、「・・・・・」返事が返ってこない。変に思って、「もしかして英語しか話してはだめなんですか」と聞くと「YES」と返ってきたという。

私はツイッター上ですぐさま、この話について「これホント?」とつぶやいたところ、「本当らしいです」とのリプライが。
そこで、その情報源を問うたところ、以下のリンクを教えてくれた。
日刊ゲンダイに掲載された記事がネタ元のようだ。

楽天 英語決算発表の大笑い ゲンダイネット

記事によれば、正確には、「『YES』と言った」、ではなく、「頭を大きく上下に降りうなずいた」なのだが、どちらにしても英語以外はだめで、なんと、外から来たお客さんに対しても英語以外でしゃべっちゃいけないようなのだ。
英語しゃべれないもんは来るなってことかと思ってしまうよねこれじゃあ。

ところで、三木谷社長は「英語だけの強制的な環境を作っています。1年から1年半で、全員が流暢(りゅうちょう)な英語を話せるようになりますよ。私は楽観的に考えてます」(もちろん英語)と満足げな顔を見せていたらしいが、これじゃあ、タモリ、たけし、さんまのお笑いビッグ3の英語禁止ゴルフの逆版だ。ビッグ3ゴルフは、英語のゴルフ用語を使って突っ込まれれば突っ込まれるほど、番組は面白くなるが、楽天では、その度に査定でも下がるのだろうか。
2年後英語のできない執行役員はクビっていうんだもんな。

にしても、さっきのエレベーター内にいた別の社員は「こちらからは何も申し上げられないことになっているんです……」とボソボソと返すばかりだっていうし、社内の英語の出来ない社員同士のコミュニケーションはどうやってんだろう?
筆談?筆談も英語のみ?謎は深まるばかりだ。

現在、楽天には、「英語は話せないが優秀な社員」というのはいないのだろうか?
そうした日本語オンリーの優秀な社員は、業務に役に立つ彼らの知識やスキルをどのように発揮しているのだろうか?

New Boss「Ms.Yuri,What do you think about this issue?」
ゆり「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  (その企画ヤバいす、なんどもクライアントからダメだし食らってんのに、
   ○○さんがそれ隠して、つらだけ直して再提出してるだけっす、
   ってどう言うの???)

ねえ、どう伝えてんだろう?
それに、英語習得に時間をとられた結果、本来の業務が疎かになってしまうということはないの?

楽天社員の方で、このブログを読んでいる方がいたら、ぜひコメント欄ででもいいので教えて欲しい。もしくはプロフィール欄にある私のメルアドにメールいただいても良いです。よろしくお願いします。

この楽天のエピソードを知った当のビデオニュースでは、神保、宮台両氏が、3年で全社員英語がしゃべれるようになるなんてありえないでしょ、と言った上で、英語公用語化というのはコストがかかりすぎると批判していた。少数精鋭で海外部門とかにしぼってやったほうがいいんではないということ。これからITの時代だから全員にプログラミング教えるコストを払うかということを引き合いに出していた。

私もそう思います。

英語の能力が高くても、必ずしも楽天の本来業務の能力が高いかどうかはまた別の話だ。
歌の上手な人が走るのも速いかというと、そこに関連性はないのと同じ。
せっかく、楽天の(日本語で行う)仕事に生き甲斐を感じ、成績もあげていたのに、英語の習熟が遅いために評価が下がり、会社に居づらくなったり、仕事が嫌になってしまっては本末転倒だ。
このエレベーターの中でのエピソードのようなことが起こっているとしたら、そんなことも起こりそうである。

100歩ゆずって、三木谷氏が言うように、1年半後にみんな英語ができるようになったとしても、そこでは語学に対する歪んだ感情を育んでしまいそうでもある。正しい日本語も満足にできないのに英語できるからとエリート意識を持ったり、逆に仕事の能力あるのに英語の習熟が遅いだけでコンプレックス持つとかね。

英語の得意な人は海外部門に、日本語の営業トークが上手い人は国内営業部門ではだめなのかなあ。

最近つくづく思うが、人には得手不得手がある。物事の上達は努力の量とは比例しない。
語学の上達が早い人もあれば、人の顔と名前はすぐに全部憶えてしまう人もいる。
ほかに得意なものがあるのに、たまたま英語が不得意で大嫌いな人は楽天にはいらないということなのだろうか。
「いらないということではない、努力しろということだ」と三木谷氏は言うだろうか。でも、その努力によるストレスというか、精神的な疲労のことも考えたら、それは膨大なコストであると思う。

それに、英語の義務化で、英語が出来る事が必要以上に評価されるようになった結果(英語が出来ないと評価の対象にもならなくなった結果)、社員たちに「自分はなぜ楽天に入社したのか」「楽天のどんな仕事が好きなのか」ということを忘れさせてしまう危険性はないだろうかとも危惧する。
自分たちは何をするためにこの会社を始めたのかというコーポレートアイデンティティがいつのまにか分からなくなってしまわなければいいけど。
もちろん、今後英語圏だけを相手に商売するというなら別ですけどね。

それにしても、英語しか使えないグローバル企業って、どんなんだろう。
スタバのコーヒー片手に「How is today」といってすれ違い、私がここに書けないような難しい英語を駆使して、スカイプを使いながら国際会議して、いつしか朝の挨拶代わりに「I had a dream in English last night」とかため息まじりに言うようになればいいのかな。もうコーラもコークだし、「暑いからクーラー温度下げて』って言ったら「What?」と言われるし、嫌だー。(クーラーは和製英語。エアーコンディショナーですな)
青いシャツのボタン3つあけた、外資系の自信満々なエリートとか苦手なんだよな私。なんか大味な気がして。
社食のEgg and Mentaiko Bukkake Udonもまずそうだしな。

なんか、国際ジャーナリスト落合信彦!ってCM思い出した。

全て私の勝手な偏見でしたね。三木谷さんすいません。
三木谷さんみたいな興銀出身、ハーバードMBAもっちょるエリートの頭の中まで分かりませんわ。

偉そうなこと、自分の道さえもしっかり確立できていない今の私に言われたくないですね(笑)。
でも、神保さんもちょっと疑ってたみたいに、実は「話題作り」半分だったりしてね。

最後にもう一言。
世界に日本を売りたいならば、日本語の響きが分かっていないと、世界に誇れる日本のイメージは作れないと思う。
言葉はすべての自然や文化や歴史を包含すると思うからだ。言葉の理解は世界(日本語の場合は日本という世界)の理解につながる。

楽天は多分アメリカの企業、もしくは無国籍企業になりたいんだろうな。

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