橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

民主党代表選を政局で語るな!政策論に注目~ビデオニュース・マル激に鳩山前首相登場!必見~

2010-08-24 13:24:57 | 国内情勢
もう、政治の話ばかりしたくないんだけど、今日も政治の話だ。
だってさ、日経平均一時9000円割れ、円高も続く。どーすんだろ。
で、民主党の代表選まであと3週間ほどなんだが、なんかテレビ見ても票読みみたいな報道しかしてなくて、脱力。

「代表選」って、いまだ野党の党首選ぶ選挙だと錯覚して無い?
50年以上、総裁=総理だったからなあ・・。なかなか世の中の先入観を変えるのも難しい訳だ。
でも当然のごとく実質次の総理を選ぶ選挙。つまり日本を託す人を選ぶ選挙。

ボロボロの経済ばかりじゃない、100歳以上の高齢者は行方不明で、子どもも虐待死している日本は社会もボロボロ。
バブルの「♪想い出ボロボロ~こぼれるから~、寝返り~うって夢ん中~♪」だ。
なのに、菅さんは、どんどん政権交代時のマニフェストを後退させてるように見えるし、他に政治主導を強く押し進めてくれそうな人材も見当たらないし、自民党と連立なんて論外で、ちょい悪政党(みんなの党のことです)もいや。日本一体どうすんのよ!!!と、今後の収入の見込みさえついていない自分のこと以上に、国のことが心配になる(あ、言い過ぎ。やはり自分のことのほうが心配)。

そんな中、先週末の神保哲生氏のビデオニュースに鳩山前首相が登場した。
テーマは、代表選ではなくて、「私のやろうとしたことは間違っていなかった」。
自分がやろうとした事とは何か、そしてそれを「阻んだもの」について、1時間15分に渡って語った。実は、この鳩山さんが総理として「やろうとしたこと」そして「それを阻んだもの」こそ、代表選を前に、今最も知るべき事ではないかと思う。
この「やろうとしたこと」は政権交代時には、鳩山さんだけでなく、民主党の政権公約であったのだ。

次の代表選は、この「やりたかったことを阻んだもの」と再び対峙し「やりたかった事をやり通せる」代表を選ぶことが求められる重要な政治の岐路だと思う。

私はそもそも鳩山政権時代の小鳩体制に反対ではない。むしろ応援していた。
09年のマニフェスト、政策集には期待するものもあった。
つまり、上記の「やろうとしたこと」を支持していた。
普天間問題の右往左往も、メディアのつまらない先回り報道が、不必要に状況をかき回したと思っている。メディア&官僚の勝利というんですかね。
お前は沖縄県民とアメリカ、どっちの味方やねん!
まあ、そういうと、敵味方の問題ではない。日本全体の国益と安全保障を考えると・・とか言われちゃうんだろうけどね。

そもそも、私がテレビのニュース番組のディレクターを辞めたのは、日々のこうした報道がおかしいと思っていて、そこに加担するのが嫌になったというのが大きな理由の一つでもある。マニフェストに期待して、その新しい時代に向けた政策を、視聴者に伝え浸透させることで、民主党の尻を叩きたかったのに・・。

極端な事言えば、鳩山さんがもうちょっと官僚に抵抗してくれていれば、私もこんな無謀な形で仕事を辞めなかったかもしれない(笑)。いや、やっぱり辞めていたような気はするけど、それでも、鳩山さんが「やろうと思ってやれなかった」原因を作った戦犯は、ある意味、私が仕事やめるきっかけを作った戦犯でもあるわけで、もうこれは、ブログでも書かなきゃ!と思って、メモをとりながら見てしまったワケだ。

今回、ビデオニュースで鳩山、神保、宮台3氏によって語られた内容は、来る民主党の代表選だけでなく、その後の日本のあり方を考える上でも、かなり重要なポイントを語っていたと思う。
ただ、このビデオニュースは有料なので、是非とも会員登録されて有料配信で全編ご確認ください。月500円で毎週配信ですから。

というわけで、ビデオニュースの感想だが、
やはり、鳩山さん、かなりマスメディアと官僚、特にマスメディアに対しては、マジ怒ってた。はっきり言って、鳩山さんが「やろうとしたことを阻んだのは」官僚とマスメディアだ。もちろん、それを乗り越える事のできなかった「自らのパワーのなさ」も原因のひとつだと、鳩山さん自身も語っている。

神保さんは政権交代直前、民主党マニフェストの本を出し、宮台さんも民主党のブレーンをやっていることもあって、鳩山政権発足時に掲げたマニフェストに関しては、利害というか、志は結構近いところにある。
記者会見の解放(記者クラブ問題)にしても、友愛にもとづく地域の再生にしても。なので、話はおのずと、変化を妨げようとする官僚や、政策やマニフェストを正しく伝えないマスコミの批判になった。

普天間問題で沖縄に行きたいのに行かせてくれないとか、
ちょっと空き時間が出来たと思ったら、秘書官が入れ替わり立ち替わりご説明にきて、自分の頭の中の考えを変えさせようとして一日が終わるとか。
また、与党としての経験不足が言われたけれど、逆に経験ができると、行政と仲良くなって取り込まれる可能性があるとか。
これって岡田さんや北澤さん、さらには菅さんを多分牽制してんだろうなあ。
官邸に大臣席つくって各省庁から囲い込めばよかったとも言っていた。

記者クラブ問題は、さらにヒートアップ。
なんか、語気が違うんだよな。官邸の会見解放については、官僚も協力してくれたと官僚をちょっと擁護する一方で、あくまで記者クラブが最後までごねた事を批難してた(その後、3月には結局解放)。

記者会見については、いわゆる午前と夕方の「ぶら下がり」をやめて、時間をとって記者会見を開きたいと主張したが・・・

鳩山「記者クラブと官僚の抵抗がものすごかった。
   官僚は開こうと努力してくれたが、あまり記者クラブの人を怒らせると、
   それが結果として鳩山に響くだろうと、
   メディアを敵に回してヒドくなるだろうと言う配慮が官僚の中にはあった。
   最後松野さんたちが努力してやってくれたが。メディアの抵抗はきびしかった。
   既得権を持ってるメディアは、記者会見を開くのも俺たちの権利だって話でしょ。
   私どもがホントは記者会見を開きますよってやりたいんだけれども、
   記者会見を開く開かないか、場所を決めるのも、ましてや人間を決めるのも、
   自分たち記者クラブの権利なんですよって、いうふうに彼らは思ってた訳ですよね。
   今でも思ってんでしょ。だから中々開かれなかった。
   その発想自体がおかしいと思うんですよね。記者会見やるのは我々の側ですからね。」

あくまでも鳩山さんの言だが、これって、総理が会見開きたいので集まって欲しいと言ったけどダメだったっていう意味なのだろうか???

記者クラブって、確かに、権力が説明責任を逃れようとする時、みんなでタッグを組んで、説明しろ、会見を開けと詰め寄るための組織だったりするのだけど、総理が国民に説明したいって時まで、それを拒むのだろうか。
権力者のプロパガンダに協力することはないって姿勢なのか???
確かにヒトラーみたいな独裁者が戦意高揚のため国民に呼びかけるというなら拒めば良いけど。
それは時と場合じゃないのだろうか。今みたいに、新しい政府の方針、それもこれまでとはガラリと変わる政府の方針を国民に理解してもらうために説明したいというのだから、それはメディアも政府に協力すべきではないのか。そして、おかしなところがあれば、それは批判すれば良い。
もし、記者クラブが記者会見を開く権利があると言うなら、権力者に説明を求める基準とは何かが重要になってくる。記者クラブが聞きたくない事は聞かないし、聞きたい事は聞くってことになってしまう恐れだって無くはない。

別に総理が会見を開きたいならば勝手にいくらでも開ける。しかし、それを広く国民に伝えるのはマスメディアだ。マスメディアが黙殺すれば、会見は行われなかったに等しい。もちろんネットもあるがその影響力はいまだ雲泥のさがあるのは事実。
それこそ、マスメディアの方が目に見えない権力を持っているということだ。
今や、第4の権力が、実はもっとも絶大な力を持っているともいえる。

そして、そんなマスメディアの報道で問題なのは(これは番組でも指摘されていたが)、政局報道ばかりで、ちっとも政策について報じないことだ。今回の代表選だって票読みばかりしている。
記者会見での大手メディアの質問も、政局がらみがほとんどだ。

子ども手当や消費税など、一見政策について質問しているようにも見えるが、それは、「ばらまきだ!」とか「財源はどうする」など最初から批判するためだけの質問で、それらの政策がそもそもどういった内容で、どのような形で世の中に資するのか、もしくはそうではないのかということについて政府に説明を求め、自らの媒体で解説しようとするメディアは数少ない。

解説するにしてもーーこれは宮台氏が指摘していた事で、実はこれがもっとも重要なポイントだと思うのだがーー全て「再配分(ばらまき)vs市場原理(もしくは自助努力)」の二項対立を基準に判断し、別のオプションに思いを馳せない。
すでにこんな単純な基準で政策を論じる先進国など無いのに、日本のマスコミはいつもこの基準でのみ政策をぶった斬る思考停止状態。勉強不足!と番組でも一刀両断していた。

先進国では、もはや市場原理と再分配の考えだけでは、国家の危機は乗り越えられないことは自明で、特にヨーロッパでは、20年以上前から、「地域やコミュニティの相互扶助」など、「財政」による問題解決(平たく言えばお金で問題解決する事)という発想とは別の方策が模索されているという。

そういう意味で、民主党がマニフェストで掲げた「新しい公共」や「地域主権・地方の再生」は、今後の日本のあり方として取るべき方向だと思う。しかし、マスメディアはちっとも伝えようとしない。
これについては鳩山さんも怒っていたが、私も共感する。

去年の夏、政権交代前夜。私の職場のデスクの上にあった民主党マニフェストと政策集の束。そこには、「コンクリートから人へ」の「人へ」の部分である具体的政策、例えばNPOなどの民間を活用した地域再生、学校の空き教室を利用した保育所増設なども書かれていた。
そういうマニフェストに私はほのかな期待を抱いていた。しかし、『子ども手当の財源は?』「ばらまきじゃないか?」という事ばかりが報じられ、ほとんどそうした具体策は国民に伝わらなかったと思う。
政権交代してからも、「財源は?」という突っ込みばかり。

そうした中で、高齢者行方不明事件や、幼児虐待など、日本の社会のほころびがあらわになる事件が次々に発覚する。
日本社会はもはや「財政」とか「市場原理」など、お金だけでは解決できない問題が山積しているのだ。

今の民主党を見ていると、応援するのも萎えるのだが、この2009年のマニフェストと政策集は再度一読する価値はあると思う。
より抽象的なマニフェストよりも、ところどころに具体策が盛り込まれた政策集の方がいいかもしれない。
これが少しずつでも実現して行くなら、日本は再生できると思わせてくれる。

なぜ、民主党の政策はこの政策集からだんだんに遠ざかり始めているのか。
そこを考えてみるべきだ。
どんな圧力が政府にかかり、かつてのマニフェストの実現を阻んでいるのか?

今回指摘された官僚やマスメディアだけではないだろう。
政権交代後、新政府が行おうとする変化を拒んでいるのは、これまで様々な利権に浴してきた既得権を持つものではないだろうか。

そして、今世の中で問題にされる様々な「格差」の縮小は、世代間にしても正規と非正規にしても、この既得権を広く解放できるかどうかにかかっているともいえる。
いわゆる規制緩和だ。限られたパイをより多くの人で奪い合うような、例えばタクシー運転手を増やすような類いの規制緩和ではない。
電力の自由化とか、これまで一握りの人が握ってきた法外に大きな利益を、より多くの人で分け合えるようにしようという規制緩和だ。
電力の自由化は、今喫緊の課題である、代替エネルギーへの転換も促す絶対的に必要な施策のはずだ。

日本はピンチを迎えている。
そんな中で、次の総理を選ぶ民主党代表選の重要さは、政権交代にも匹敵するかもしれない。

もちろん、菅さん続投でもいいわけだが、もはや問題は、誰が総理になればいいという話を超えている。
菅さんでも、小沢さんでも、他の誰であっても、政権交代によって自分たちが何を目指していたのかをいま一度思い出し、目先の批判や、よく考えずにマスメディアに煽られて批判する人には、腰を据えて説得を行い、今の日本に本当に必要な政策を推し進めてほしい。

このビデオニュースの中では、民主党結党時の基本理念がフリップで示された。
基本理念は以下の通りだ。

1) 透明・公平・公正なルールにもとづく社会をめざします。

2) 経済社会においては市場原理を徹底する一方で、
  あらゆる人々に安心・安全を保障し、
  公平な機会の均等を保障する、共生社会の実現をめざしま

3) 中央集権的な政府を「市民へ・市場へ・地方へ」との視点で
  分権社会へ再構築し、共同参画社会をめざします。

4) 「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」という
  憲法の基本精神をさらに具現化します。

5) 地球社会の一員として、自立と共生の友愛精神に基づいた
  国際関係を確立し、信頼される国をめざします。

 (私たちの基本理念~自由で安心な社会の実現をめざして~
  1998年4月27日民主党統一第一回大会決定より)

今日本が直面している問題の本質も見ずに、ただ上面でワイワイ騒いでいるだけのマスコミやそれに引きずられる世論、そして政治家自身。

今回の代表選をただの政局にしてはいけない。この機会に、あらためて政策議論を活発に行い、民主党自身が、自らの足下を考え直す契機にしてほしい。

なんとなく、私が鳩山さんを応援してるように見えるかもしれません。
基本的には応援してるんですけど、彼も推進の姿勢を見せている原発推進策だけは納得行きません。友愛と言うならば、それにふさわしいグリーンエネルギーの推進を掲げるべきです。そういう意味では、民主、国民、社民の連立って私的にはいいと思ってたんだけどなあ・・・。

というわけで、その辺の具体的政策については、次回書きますが、
民主党の2009マニフェスト&政策集および2010年のマニフェストを見てみてください。
「民主党マニフェスト2010」
「民主党マニフェスト2009」
「民主党政策集INDEX2009」

あと、ビデオニュースも登録して、番組見てみてください。
「ビデオニュース・ドットコム」のサイト

あと、8月26日にこの記事の追記があるのでご確認いただけるとありがたいです。

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