17日、花からメールが届き不安を訴えてきた。
今にも泣きそうな文面。
私は残業を切り上げ、すぐに会いに行った。
そして静かに誰も気にすることもなく話せるようにホテルに向かった。
一瞬、花は戸惑ったが「SEXだけがホテルじゃない。ここならゆっくり静かに話せるから」
そう行って部屋に入る。
そして、抱きしめ話を聞いてあげる。
実は花は今勤めている会社でパワハラを受けている。
罵声を浴びせられ、大声で怒鳴られ苦しんでいる。
時には物を投げつけられる事も・・・
そのため、なんでもない時に大きな音がしたり大声が聞こえると恐怖心で怯える。
体調が悪いからと早退を申し出ると、「お前の根性が足りないからだ!」とも言われるそうだ。
私の胸でまた泣きじゃくる
「怖いよ 怖いよ」
口癖のように訴える。何度も。
泣きながら
女の子が男から脅されるように毎日言われたら無理もない。
頭を撫でながら「大丈夫、絶対守るから会社をやめようね」
しかし、辞めると意思表示をすれば「会社に損害を与えるからその分金を払え!」
そんな事も言うそうだ。
有り得ない!
だから、私は「そんなことは絶対ないから、安心して私を信じなさい」
「お前を愛しているから、私に飛びこんで来なさい」
少しは安心したのか、ベッドに横になり「少し寝るね」
私は花の頭を優しく撫でてあげる。
しかし、心に刻まれた恐怖心は根強く眠れない。
かわいそうに・・・
男女の関係など全くない、今は怯えるだけの花。
その閉ざされた心を開いてあげるのが今の私のできること。
辛いかな時間も無くなり花の駅まで一緒に電車で送る。
そして再び会い
普通のカップルのように街を歩く。
買い物をし、手をつなぎ百貨店で物産展を覗く。
二人で試食をしながら、あれこれ言って廻っていく。
見た目は親子に見えるかもしれない。
ペットコーナーに行きにゃんこに癒される
その後、パスタ屋さんへ入り軽く飲みながら話した。
ここでは昔話に花が咲く。
あ~だったね、こ~だったね
そんなうちに、久しぶりに花が笑った。
恐怖心ばかりの花も、昔話には笑った、
二人で笑った 心から
花に新らしい蕾が出来た瞬間
いいぞ、そうだ!
怖くないんだよ、笑えるじゃないか!
私も安心したよ。
お酒も美味しくなり、二人でパスタをシェアした。
花が私のために皿に盛ってくれた。
私も盛ってあげる。
美味しいパスタだ。心から。
笑えることっていい!笑えない時は辛い。
私も笑うこと忘れそうだった。
そして時間と言う魔物に縛られおのおの帰る時間。
この時が、みんな辛い時。
東京駅で良く見た「シンデレラ・エクスプレス」
私達はそんなことはない。
電車で20分もかからないから、いつでも会える。
私が車でで行けば何も問題ない。
これからも花の心を優しく開いて、安心させるように私は全力で向かっていく。
駅に向かう道で、花は私の腕を組んでいた。
ごく自然に。