㊾ 漫才と万歳(萬歳)
千穐万歳と言う古典芸能が原点である。発祥は室町時代までさかのぼる。千穐も萬歳も長寿を意味する。貴人の繁栄を寿ぐ意味で二人の太夫が掛け合いで言葉を紡ぐ芸能であった。縁起の良い言葉を扇子を持つ太夫の一人が語り、鼓をたたき相方がそれをはやし立てた。時代が下り庶民の芸能に発展する中、卑猥で猥雑なものが多くおよそ子供を含む大衆芸能にはならなかった様だ。明治以降、上方落語が庶民の芸能として大発展した中でも萬歳は日陰の芸能であった。
しかし、エンタツアチャコの登場が歴史を変えた。一切の楽器を持たずしゃべりだけで客を笑わせた。画期的な芸能で、当時国民的人気の野球「早慶戦」で全国的な人気を得た。漫才の誕生である。その後、ダイマル・ラケットやいとし・こいしを経てやすし・きよしで頂点を迎える。一方、萬歳は、捨丸・春代など一部昭和の後期まで残っていたが、今は絶滅した。「萬歳の骨董品でしてね。」と始まり、「出た手足に目を付ける。」などの定番の爆笑ネタを思い出す。
現在の漫才界は、コントとの境界線を越えて様々な芸人を生んでいる。M1などでの隆盛を誇り有名大卒が漫才師を目指すと言う考えられない時代となっている。
小生が感じるのは、絶叫に近い突っ込みと全くアドリブの無いストーリーは2回聞けないネタばかりだ。耳にうるさい叫びとしか感じない。
ダイラケの「僕は幽霊」「僕は誰でしょう。」や、いとこいの「警察官」「湾岸戦争」など何回聞いても飽きない名人芸が失われる時代である。
勿論、当ブログ「アチャコの京都日誌」のアチャコは先ほどの花菱アチャコ先生から頂いた。