本日は、十五夜である。
月見祭
左 住吉大社(大阪) 右 上賀茂神社 (京都)
月見祭が京都の各地で行われるが、今回は番外として筆者の生誕地、堺市百舌鳥の「百舌鳥八幡宮」の例大祭(月見祭)を紹介する。
八幡宮は全国各地にある応神天皇を主祭神にした神社で主に戦いの神様である。御存じの通り母神功皇后の胎内にて新羅征伐に参加した事で「胎中天皇」と呼ばれる。15代天皇なので現在の日経新聞の小説「ワカタケル」が21代雄略天皇のまだそれ以前の神代の話である。しかし、25代武烈天皇で血統が絶えて、26代継体天皇につなぐ時に応神天皇まで遡って血統を探したのであり歴史上大変重要な天皇である。従って八幡様として崇められ、源氏の棟梁源義家が、「八幡太郎」と名乗って守護神にしたことから武家の守神となった。
百舌鳥八幡は29代欽明天皇(6世紀半ば)の命により創建されたと言う極めて歴史深い神社である。因みにすぐ近くには、応神天皇の皇子である仁徳天皇陵、履中天皇陵など大仙古墳群がある。百舌鳥は古墳時代全盛期の中心地でもある。
土塔町のふとん太鼓
その例大祭は、「ふとん太鼓「」という勇壮な出し物が主役だ。南大阪では岸和田のだんじりが有名だが、あちらは引っ張る。こちらは担ぐのであり、その違いは大きい。祇園祭は京都も博多も引っ張る。そして多くの神輿は担ぐのである。真っ赤なふとんを5段に重ね逆三角形の不安定な美しさ。金糸の綱で括り、四方の大きな房の揺れ具合が見どころだ。しっかり力強く担がないと房は美しく揺れて行かない。白い房だが揺れると内部の朱色が見えて得も言われぬ優美な感じが良い。担ぐ男たちの喧嘩腰の掛け声にその恋人たちの黄色い声援も良い。
ふとんを括る二本の羽子板のような帯は、ふんどしと言う。
近年は若者不足で担ぎ手が少なく、その重量に耐えられない町内も多いらしい。またふとん太鼓の中心をなす大きな太鼓を叩くのは、地元の6年生の男子と決まっていたが、今は3年生以上と幅広く。町内によっては女の子も担ぎだされるらしい。女人禁制と言ってられない現状が垣間見える。
筆者出身の本町のふとん太鼓。昨年新調した最新版で黒檀の掘り物が重厚で格好いい。
祭の主役がふとん太鼓なのは仕方ないが、この祭り本殿の「応神天皇」にお参りする者の姿がほとんどないのがやや寂しい。