78番 霊鑑寺
京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町12
山号 円成山
宗派 臨済宗南禅寺派
開基 後水尾天皇皇女 多利宮
本尊 如意輪観音
別称 鹿ケ谷比丘尼御所・谷御所
京都のお寺が大好きだ。おすすめ一番はここだ
霊鑑寺は、京都観光スポットのメッカである「哲学の道」沿いにある。琵琶湖疎水をたどりながら永観堂から銀閣寺に至る数キロの散策道は季節ごとの草花や近隣の寺院を楽しめる。若王子神社・安楽寺・法然院など見どころが続く。霊鑑寺はその中では地味な存在だが、知る人ぞ知る大文字山の麓の鹿ケ谷の斜面にひっそりと建つ門跡寺院である。
後水尾天皇は多くの皇子・皇女をたくさんの京都の寺院に門跡として送り込んだ。特にこちらは尼門跡寺院として明治維新まで続いていた。筆者は特に思い入れがある。先代の門跡様と何度もお会いしているのだ。寺の財産管理の件で関わった訳だが、ご門跡自身は全くの世間知らずで、それでいて気品と教養の漂う可愛らしいご老人であった。つるつるで真っ白な小さなお顔はまさに深窓のお人だった。
寺院の見所は、庭園と御所人形である。狭いが手入れの行き届いた回遊式庭園は斜面を生かした見事なものである。般若寺型の灯籠やこの寺でしか見れない日光椿(じっこうつばき)は、是非鑑賞したい。本堂や方丈内は非公開で、庭から覗いて見たが歴史的な文化財や御所人形などを多く所蔵していると聞いているが、残念ながらよく見えなかった。以前親しくお伺いした若い頃、その様な興味があればしっかり見せてもらえたかも知れないのに悔やまれる。
寺の創建は、承応3年(1654年)に後水尾天皇の皇女である多利宮を開基として創建されたものだ。ただ、普段は非公開なので確認してから出かけたい。